あれから3日が過ぎ、とうとうみんなで集まる日になってしまった。
しかし天根君にプリントを渡す事ができていない。



「登録完了。」

「私も。後でメールするね。」



星野さんとようやくアドレスの交換をした。
彼女は可愛らしく微笑むと、ケータイを鞄に閉まった。



「ごめんね、プリント・・・・。」

「大丈夫だよ。でも、ぎりぎりまで頑張ってね!応援してるから!」

「・・・・・・・・。」



笑顔で逆に応援されてしまった。
彼女はそう言うと私に手を振り踵を返すと、そこに東堂君がやってきた。
東堂君は星野さんを見つけると話しかけた。星野さんも返している。
星野さんと東堂君、遠目で見るとなんだかいい感じじゃないか?
すると話が終わったのか東堂君が星野さんに手を振ると私の方にやってきた。



「瀬名。」



小さくため息をついた私の所に東堂君がやってきた。
見れば少し眉間に皺が寄っている。なんとも不機嫌そうだ。



「どうしたの、東堂君。」

「今日のアーチの組み立て、延期になったってよ。」

「延期?何でまた?」

「なんか手違いがあったらしくて、資材が来るのが一週間後らしいぜ。」

「いっ、一週間後!?」



一週間後と言ったらスポーツ大会まであと2週間もない時期だ。
「さっき先生からそう言われた。」と付け足した東堂君。



「しかもそれまで他の係りの手伝いしてくれれ、だってよ。」

「そう、なんだ・・・・。」

「結局部活の時間が減るじゃんかよな・・・・。」



そう言って東堂君は盛大にため息を吐いた。
まぁ東堂君が不機嫌になるのも無理はない話だ。



「しかもこれからって、先生も人遣い荒いよな。」

「これから?」

「クラスに配る応援旗が届いたんだと。それ運ぶの手伝えって。」

「あっ、私手伝おうか?」

「いや、いいよ。お前この前アンケートやってたし。俺とダビデでなんとかなるだろ。」

「あっ、天根君も!?」

「そっ、さっきあいつも一緒だったんだ。」

「そっ、そうなんだ・・・・・。」



私は東堂君から視線を外すと、彼は腕を組んだ。そして私を見つめる。
暫くそのまま無言が続くと、東堂君がようやく口を開いた。



「聞いたぞ?お前まだダビデにプリント渡してないんだって?」

「うっ・・・・・はい。」

「さっき言ってたぞ、『まだ貰ってない』って。」



私は東堂君から視線を逸らすと、今だプリントが入っている鞄を見つめた。
なかなか渡す機会がない私より、今これから彼に会うという東堂君に今渡してお願いしてもらった方がいいんじゃないか?と思ったが、東堂君は時計を見上げる。



「じゃーな、俺そろそろ行くわ。」

「うん、頑張ってね・・・・・。」

「組み立て前までにちゃんとプリント渡しとけよ。」

「・・・・・・・・。」



東堂君はそう言うと素早く踵を返し、あっという間に教室を出て行ってしまった。
私はその背中を見送ると、プリントが入ってる鞄を取った。そしてため息をついた。
本当に、どうしたものか・・・・・。




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