委員会が行われる教室に到着すると既に来ていた東堂君が、前の席の星野さんと話をしていた。



「おせーよ、瀬名。」

「ごめん。」

「大丈夫だよ、まだ先生来てないから。」



そう言って笑う星野さんは楽しそうだった。
私は筆記用具を置いて席につくと、この間前より黒板がよく見えることに気づいた。そこでようやく天根君の姿がない事に気づいた。



「そういえば、ダビデは?」



私の心を読んでいたかのようなタイミングで東堂君が星野さんに聞いた。
私は動揺を隠しなるべく自然に、彼女に視線を移す。



「さぁ?」

「さぁ?って、お前同じクラスだろ?」

「昼休みが終わってすぐにどっか行っちゃったっきり見てないの。」

「そうなのか?ったく、サボりかよあいつ。なぁ、瀬名?」

「そっ、そうだね・・・・。」



何故そこで私に振ってきたの、東堂君!?
するとタイミングよく前のドアから先生がやってきた。
ざわついていた教室が一気に静まり返る。



「起立、気をつけ、礼、着席。」



委員長がそう号令し、全員が再びイスに座る。それを見て先生が持っていたプリントを配り始めた。



「はーい、今日は各仕事の分担をします。今配ってるプリントに仕事と人数が書いてあるから、その中から最低1つは選ぶように。」

「えー。」

「文句は言わない。」



若干の3年生からの苦情を、先生がびしっとたしなめた。
回ってきたプリントをさらに後ろに回し、見る。思った以上に仕事があり、憂鬱になる。



「なぁ、瀬名。」



プリントに一通り目を通すと、東堂君が話しかけてきた。
プリントが配り終えると、また教室が騒がしくなる。



「俺に提案があんだけど。」

「提案?」

「仕事の事なんだけどよ、連絡とかいろいろ面倒くさいから一緒のやらねーか?」

「えっ、あっ、うん・・・・。」

「よーし。何にするかな・・・・。」



東堂君は人のいい笑顔を見せると、プリントに戻っていった。
安請け合いをしてしまったが、星野さんの事考えて断った方がよかったのかな?
ぐるぐる考えていると、鎮めるように先生が手を打った。



「はいはい、静かに!今から決めます。じゃぁ、委員長お願い。」

「はい。」



先生がそう言って窓際のパイプイスに腰掛けると、委員長の男の先輩と副委員長の女の先輩が教壇に上がった。



「それでは、やりたい物がある人は手を上げてください。」



委員長はお決まりともいえる台詞をそう言ったが、この場合誰もいないのが多い。
なのでジャンケンやくじ引きなどで決めるというのを私は何回か経験しているのだが・・・・。



「はいはい!」

「はい、2年C組の彼。」



そんな私の横で東堂君が真っ先に手を上げていた。委員長に指名され立ち上がる。



「俺とこいつ、このアーチ?ってのやります。」

「はーい。」

「あっ、あの、私のクラスも!!」

「分かりました、これでアーチ係は決定っと。」



副委員長が間延びした返事をして黒板に“2-B 2-C”と書いた。
藤堂君が座ると、私は東堂君と星野さんの方を見つめる。



「あぁ、悪いな勝手に決めちまって。」

「いや、いいけど・・・・。」

「星野、お前らもこれでいいのか?」

「うっ、うん・・・・・。」

「ふーん。」



星野さんはそう言って俯いた。耳が少し赤かった。
彼女は絢ちゃんで言う所の勇気を出したんだ。
私は彼女を見つめながら、そう思った。



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