「はぁ〜、終わった・・・・・・。」



私はファイルを保存すると、机につっぷした。
星野さんが返って40分。ようやくアンケートの集計が全て終わった。後はこのデータを印刷して先生に渡せば、全て終了。



「流石に疲れたかも・・・・・。」



そう言いながらもゆっくり起き上がり、印刷のポタンをクリック。後は印刷を待つのみだ。
星野さんはピアノ教室に間に合ったかな?あっ、アドレスを聞いておくんだった。
ホワイトボードの側にある印刷機が音を立てて動き始めた。私は印刷機に向おうとゆっくりイスから立ち上がった。



ガラッ



その時、パソコン室の後ろのドアが開いた。
もしかして、星野さんが戻ってきた?忘れ物したのかな?
そんな事を思いながらそっちを見れば、そこに彼女の姿はなかった。代わりにいたのは長身で学ランを着た天根君の姿だった!?
さっきのさっきで、突然現れた彼に私の鼓動も突然早くなる。
荒い息をしながら部屋を見回し、やがて私に視線が向いた。そしてじっと私を見つめると、あろうことか部屋に入り私に向かってやってきた!?
えっ、えぇぇぇ!?



「あっ、天根君!?」

「悪い、匿って。」



天根君はそう言うと私の横を通り過ぎ、先生が使うパソコンが置いてある机の影に隠れた。



「どっ、どうしたの?」

「誰か来ても俺、いないって言って。」

「えっ?」

「しっ!」



天根君はそう言うと、人差し指を口に当て体を一層小さくした。
その姿にハテナマークが浮かぶ私に、開けっ放しだった後ろのドアからタタタと学ランを着た男子がやってきた。やはり荒い息をしながら部屋を見渡し、私の姿を発見する。
あれは確か、A組の小林君、だったはず・・・。



「おい、瀬名!ダビデ見なかったか!?」

「えっ、えっと・・・・・。」



私はチラリと横を見れば、隠れている天根君がぶんぶんと首を横に振って“俺はいない”と声なく私に伝える。



「あぁ、見た・・・・かも。」

「どこだ!?」

「さっき階段の方に走ってくの、見たけど・・・・。」

「おぉ、サンキュー!」



小林君はそう言って部屋を飛び出していった。ご丁寧に後ろのドアを閉めて。
そんな小林君の廊下を走る音が完全に聞こえなくなると、天根君がのっそりと机の下から出てきた。そしてほっとしたように胸を撫で下ろす。



「悪い、助かった。」

「うん・・・・・。何やってたの?」

「かくれんぼ。」

「かくれんぼ?」

「うぃ。さっきまで鬼ごっこやってたんだが、参加者が減ってかくれんぼになった。」

「そっ、そうなんだ・・・・・・。」



鬼ごっこというのはもしかしてさっき東堂君も参加していたやつなのかな?
またチラリと天根君を見れば、学ランの一番上のホックを外し下のシャツのボタンも開けていた。
その姿に、思わずドキっとする。



「お前は?」

「えっ?」

「お前は何やってんだ?」



我に返ると、天根君の瞳がまた私を見ていた。私は慌ててその視線を逸らすと、印刷したてのプリントを天根君に見せた。



「スポーツ祭のアンケートの集計!学年ごとに集計取るみたいだから2年生の集計してたの。」

「・・・あぁ、あのアンケートか。そう言えば星野がやるって言ってたな。」



天根君はそう言うとゆっくり立ち上がった。そして私の横に来ると、私の持っていたプリントを取った。
この前の教材室でも思ったけれど、やっぱり背高いなぁ・・・・。



「手伝うか?」

「えっ?あっ、大丈夫、もう終わったから。」

「そうか。」



天根君はそう言うと、私にプリントを戻した。
私は後から印刷されたものも印刷機から取りだした。


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