「終わったぁ〜。」

「お疲れ様。私も終わったよ。」



開始から一時間。
既に教室の外は日が傾いていて、夕焼けがまぶしく輝いていた。
私はペンを置いて伸びをすると、星野さんはプリントの束をまた一つにまとめた。



「今日はこれぐらいにして、帰ろうか。」

「うん、また明日やればいいしね。」

「そうだね。明日は集計だから、パソコン室集合でいい?」

「うん、いいよ。」



私はそう言うとペンを筆箱に戻す。それを鞄に戻すと、プリントは職員室に運ぶことになった。



「あっ、私が持ってくよ。」

「えっ、いいの?一緒に行こうか?」

「うん、数学のノート提出しないといけないし・・・・・。」

「そうなんだ、じゃぁお願いするね。」

「それじゃぁ、星野さんまた明日。」

「うん、よろしくね。」



私はそう言うと星野さんと別れ、鞄を肩にかけプリントを持って空き教室を後にした。
鞄が肩からずり落ちそうになりながら私はようやく職員室に到着。数学のノートを先に提出し、担当の先生の机のたどり着いた。



「プリントです・・・・・。」

「あっ、ご苦労様。終わった?」

「いえ、まだです。でも各クラスの集計は終わったので、あとはそれをまとめるだけですから。」

「そう。じゃぁ、最後までよろしくね。」

「はい。」



私はそう言うと担当の先生に頭を下げた。
そしてそのまま帰ろうとすると、先生がイスから立ち上がった。



「よろしくついでで悪いんだけど、引き受けてくれない?」

「・・・・・・え?」




「・・・・おっ、重い・・・・。」



先生から突然仕事を頼まれた。仕事と言ってもあとは帰ろうとするだけの私には帰り際にできる仕事なのだけど・・・・。
引き受けた事をちょっと後悔した。
「教材室に戻してきてほしいの。」と言った先生に頼まれたのは百科事典やらやたら分厚い本やらの計7冊。薄い本もあるがやたら大きいし、とっても運びづらかった。
唯一の救いは教材室が昇降口より手前にあるという事だ。



「うぅ、やっぱり星野さんに一緒についてきてもらうんだった・・・・。」



軽くため息をつきながら、しびれてきた手で本を持ち直す。
階段を降りきり、左に曲がればすぐ教材室だ。もう少し!
が。
左に曲がろうとした私は、向かいからやってきた人と思いっきりぶつかった。



「わっ!」



バランスを崩した本が手から落ちていく中、私は少し後ろに傾いただけで転ばなかった。なぜなら、私は腰に回る腕で支えられているからだ。



「すべってころんで大分県・・・・・ぷっ。」



低くそう聞こえたその声に見覚えがあった。
エンジ色のジャージを纏い、長いラケットを持ちダジャレを言うのはこの学校に一人しかいない。


「あっ、天根君・・・・。」


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