今日はバレンタイン。そして長太郎君の誕生日。今年も例のごとく宍戸にチョコと頼もうとやってきたのだが・・・・今年は宍戸に完全に読まれていた。
「よぉ。」
「こんにちは。」
「・・・・。」
私がやってくる前に宍戸の元に長太郎君が既にいたのである。
とりあえずその場で止まると、宍戸がニヤリと笑う。
「今年は先に呼んでおいたぜ。」
「う、裏切りもの!」
「はぁ?毎年自分で渡せない奴がよく言うぜ。激ダサ。」
「うっ・・・・。」
宍戸はそう言うとじゃあなと手を振ると私の横を通り過ぎる。とっさに宍戸のネクタイを掴む。
「ちょ、どこ行くんだよ!」
「どこだ、っていい、だ、ろ、苦しい!とりあえず離せ!!」
苦しそうにそう言った宍戸に私はとりあえずネクタイから手を離す。首をさすりながら咳をすると、宍戸は私を睨みつけた。
「長太郎、お前もなんか言ってやれよ。」
「宍戸さん落ち着いて。」
「ったく、お前えはこいつに甘すぎなんだよ。」
長太郎君は宍戸にそう言われると苦笑いを浮かべて頭をかいた。
私だって直接渡せるもなら渡したいよ。でもできないんだもん。だってなんか恥ずかしいじゃん!
そんなことを考えていると長太郎君と目が合った。にっこり微笑まれるとますます恥ずかしくなってくる。
「じゃあ、練習する。」
「はぁ?」
「宍戸で練習する。長太郎君ちょっと待っててね!」
「あ、はい。」
私は宍戸と長太郎君のバレンタインのチョコそして長太郎君へのプレゼントを宍戸に差し出す。
「どうぞ!」
そう言うと宍戸が微妙な表情を浮かべた。ちくしょう、宍戸相手だったら簡単にできるのにな・・・・。宍戸はため息をついた。
「そのままでいろよ。
」
「う、うん・・・。」
「で、どっちだ?」
「え?」
「俺のだよ、どっちだ?」
「青い方。」
「こっちだな。」
宍戸は腕を伸ばした私をそのままにさせて、宍戸用の青い小さい紙袋を取った。そして「サンキュ」と言うと何を思ったか私の肩に手を置き、そのまま私をくるっと回した。私はされるがままに反対を向くと、そこには長太郎君。態勢はそのままなので端から見れば長太郎君にチョコを渡している図に見えるだろう。そう思うと思考が完全に止まる。
そんな私に長太郎君もちょっと驚いていているみたいだったが、やがてそっと私の手に自分の手を置いた。
「ありがとうございます、マシュマロさん。」
嬉しそうそう言うと私の手から長太郎君へのチョコとプレゼントを受け取った。
え、これは、直接渡せたの部類に、入る、のか?
「おい、大丈夫か?」
「だ、大丈夫。」
「宍戸さんもありがとうございます。」
「おぅ。」
「マシュマロさんに直接貰えて、嬉しいです。」
そう言ってまたぎゅっと手を握られた。本当に嬉しそうな笑顔で、ちょっとほっとする。これからはなるべく直接渡せるように、努力しよう。うん。
そう決めてその手を握りかえした。
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