俺にはずっと中学の時からずっと一緒の奴がおる。
中学の時はあんましゃべらへんかったけど、高校で同じクラスになって仲良くなったら俺と趣味がほとんどかぶっとった。違うのは俺がテニス部であいつが帰宅部だったぐらい。
大学は違かったけど、何かにつけてそいつ、雪だるまと今でもつるんでいる。女友達もまぁいる方やと思うけど、なんかあいつはそれだけじゃないねん。うまく言えへんけど。
友達以上恋人未満っちゅーか・・・・・それ以上っちゅーか・・・・。そんなんだからよく付き合ってるって勘違いされもするけど、俺らはなんもしてない。手、繋いだぐらい。どっちの家にもよく遊びに行く、というか飲みにも行く。それを財前に言うたら馬鹿にされた事も何度もあった。



『なんやもう結婚したらえぇんちゃう?』



これまた付き合い長い白石に相談したら電話越しにそう言われた。



「あ、あほ!まだ付き合ってもないのに、いきなりけ、結婚って・・・。」

『今までのが付き合ってきたようなもんやろ。』

「せ、せやけど・・・・。」

『雪だるまの事好きなんやろ?覚悟決めんといつまでもそんなん言うてたら、他の奴に掻っ攫われるで。』







「謙也!!」

「うわぁぁ!!??」



我に返ると雪だるまが俺の顔を覗き込んでる所やった。思った以上に近い名前の顔に思わず後ろにのけぞる。



「ぼーっとして、さっきの綺麗な店員さん思い出してたんでしょ?」

「ち、ちゃうわ!」

「ホントぉ?」



そう言ってにやにやしながら離れた雪だるま。せやった、雪だるまと食事終わってぶらぶら歩いてたんやった。クリスマスのイルミネーションのすぐそばにあるベンチに座って缶コーヒー飲んでたんやった。
確かにさっきのレストランの店員可愛かったんやけど・・・・今はそんな事考えてる場合やなかった。
結婚・・・・・いや、それはいきなりすぎやから、せめて付き合うてって言わな。その覚悟もちゃんと用意してきた・・・・はずや。



「でも美味しかった〜。」

「せやな。確か去年は居酒屋で朝まで飲んどったもんな。」

「謙也べろべろに酔ってたよね。」

「あ、あれはたまたまや、たまたま。」

「あははは!じゃぁそう言う事にしといてあげる。」



そう言って笑った雪だるま。俺は単純にこの雪だるまの笑顔が好き。飛び切り可愛いってわけやなくて、綺麗ってわけやなくて、この笑顔が好きなんや。
去年の今頃もこの笑顔を見てそう思ったのを思い出した。そう言えば一昨年もその前もクリスマスは雪だるまと過ごしているような気がする。そんでそれは多分、これからも・・・・。



「なんかさ。」

「ん?」

「この先もクリスマスはずっと謙也と一緒に過ごしてる気がする。」



こいつも同じような事を考えとったらしい。
雪だるまが俺の持っていた缶コーヒーのプルタブを開けると、俺の隣にぴたっと体を寄せてきた。



「ねぇ、結婚しよっか?」



俺の好きな笑顔でそう言われ、俺手にあった缶コーヒーが滑り落ちた。



「あ、熱ぅぅぅ!!!!」

「わぁ、ちょっと大丈夫!?」



俺の手にアツアツのコーヒーがかかった。小春とユウジなら喜んでネタにしそうやけどもはやそれどころやない。
こいつ、今・・・・・。



「謙也。」

「な、何?」

「私の事、好き?」

「あ、当たり前やろ!!」

「じゃぁ結婚しても問題ないね。」

「お、おぅ・・・・。」



そう言って俺の腕に自分の腕を絡ませてきた雪だるまはすごく嬉しそうやった。勿論俺もやけど。少しひりひりする手に雪だるまの手が触れて、なんだかもういろいろ考えていた事や覚悟もどうでもよくなった。




「ねぇ、ケーキ買って謙也の家で食べよう!」

「おぉ、えぇで。」

「そしたら、結婚式の日取り決めよう。」

「早!」




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -