えげつない者
汚部屋と化した離れに激怒した審神者様により私達はすぐさま離れのお掃除を開始しました。掃除と言っても掃いたり拭いたりとかではありません


「何もかも全て燃やせ」


という審神者様の一言で離れの全ての物(畳や障子も)を外に放りだし山のように積もったお汚い物たちに火をつけただけなんですけどね
あ、そうそう。太郎太刀様が持っていたもう一つの刀様はもう少し落ち着いてから顕現するそうで今の所保留中でございます。
離れに新品の物を頼むため私は政府に連絡を取っていました。今すぐに新品を下さいと言ったのですが今すぐは無理と言われましたので火の山と化した物をカメラで撮影し政府に送りつけると10秒も経たない内に私の目の前に新品の物や家具がポンと音を立てて送られてきました
いや、私だってこんなことしたくなかったですよ…誰かさんじゃあるまいし。
しかしその誰かさんは政府がすぐに新品を用意することはまずないだろう、もし無理だと言ってきたら火の山の写真撮って送りつけろ。そしたら絶対すぐ届くから。とおっしゃったのでそうしてみたら見事に大当たり
政府弱い…審神者様強い…


戦場から帰って離れの掃除を始めて約2時間。辺りを見渡すと少しずつですが浄化されていっているのが目に見えます。審神者様が意図的に浄化をしていってるわけではないでしょう。濁り淀んだ気に満ちているこの場所を審神者様は無意識に清らかな美しい気へと作り変えようとしている。
浄化が着々と進んでいるのは離れの全体リフォームも理由の一つでしょう。離れの隅から隅まで全体を覆うように濁った気で満ちていました。全てを引っぺがし焼却したことにより溜まり込んでいた気も薄れていったのでしょう。
この様子だと本丸の方に居られる刀剣様達の傷も審神者様の浄化により少しは軽くなるでしょう。動けない方達も足を引きずってでも動ける程度にはなるはずです。彼女の浄化の力に触れた程度で傷全てが治ることはありません。全ての傷を治し万全の状態になるにはやはり手入れでないと治ることはありません。
審神者様程のお力があれば一瞬でここの空間全てを浄化することも可能なはずです。しかし彼女は自分の力に気づいていない、その力の使い道も理解していない。
彼女の持て余している霊力が少しずつ溢れ出て勝手に浄化をしているに過ぎません。
早く己の力と審神者のお仕事を学んで頂かなくては…
そう思い、今にも此方に向かって崩れそうな新品の荷物の山から目を逸らし荷物が届いたと伝える為、火の山の前に立っている審神者様の方に顔を向けました


おや?なにやら審神者様の様子がおかしい
何故仁王立ちで火の前に立っているのでしょうか
何故腰に手を当てているのでしょうか
太郎太刀様も何で審神者様の隣に突っ立ってるんですか
嫌な予感がします


「はははははは!!見ろぉ!まるでゴミのようだ!!!」
「ゴミですから」


両手を大きく広げ悪役に相応しい笑い声とどこぞの大佐のようなセリフを真顔で言い放つ審神者様
そして多分セリフの意味を理解していないがキレのあるツッコミを真顔で返す太郎太刀様


ぇ…何この二人怖い…
そこは笑って言えよ審神者様真顔こえぇよ
そうだねわかってないから普通はそう返すよね太郎太刀様真顔こえぇよ


先程から気づいてない振りしてましたが、どうも視界の端にチラついて仕方がないので気づかない振りをするのを止めてそちらの部分を見つめる。
お二人は気づいているのかどうか知らないが少し離れた位置にある木々の影に身を潜めつつ此方を偵察している歌仙兼定様と愛染国俊様。
彼らの手には自身の刀が握られている。それはきっと不審な行動を審神者様が取った際、すぐさま切り殺すためのだろう…無意味に終わると思うが
私の位置から丁度見える所に2人が居るのでどうしても視界に入ってしまう
そんな彼らを警戒するまでもなく…
気配を消して偵察していた2人は、末恐ろしい審神者様の叫び声とお姿に恐怖してしまい、


「雅じゃない!!!」
「こえええよ!!!」


と叫びながら走って逃げていきました
可哀想な歌仙兼定様と愛染国俊様。きっと今日、夢に無表情の審神者様の叫び声とお姿が出てくることでしょう




さて、離れの掃除&リフォームも終わりました。何故か離れ全体がピンク色に染まったのは気にしません、ええ気にしません。襖も畳も柱も屋根も家具も全部パステルピンクに染まったのは気にしてませんよ?リフォームするのに前と同じで色も何もかも変わってないと味気ないだろって審神者様がいきなり言い出して送られてきた家具や道具をまた政府に送り返し、自分の好きな色がいい全てその色がいい。それを30秒で寄越せと無理難題言った審神者様の元にきっかり30秒でパステルピンク一色で染められた家具と道具が送られてきて政府どうした?お前たちの立場はどこいった?顎で使われたままでいいのか?お前らそれでも上に立つものか?審神者様にペコペコ従ってどうすんだ。少女に逆らえない大人達どうなのこれそれでいいの?なんて思ってませんよ、ええ思ってません。いいですよねピンク。殺伐とした雰囲気が打ち消されるほどの華やかさを持っている色ですね。場違いなほど浮いた色をしていますね。聞いたことありませんもんね外も中も全てピンク色の離れなんて。バカじゃないの?って感じですねいいですねピンクって。気持ちが和らぎますね。


「ぬ」
「どうしました主」
「フライパンが…」
「ふらいぱん?」
「フライパンが…オレンジだと!?ふざけるな何故ピンクじゃないんだ!オレンジは好かない色なんだ!ピンクがいい!!……くっそ政府め、私を馬鹿にしているのかそうだないいだろう売られた喧嘩は買うのが道理だ。行ってくる」
「フライパン如きで何を言いますかバカですか。いいじゃないですかorange爽やかで」
「おいバカって言ったなつねきち。しかも発音良く言いやがってムカつく。お前なんてな、いなりギャラリーでも開いてたらいいんだよ」
「つねきちじゃありませんこんのすけです。そんな平和な森でおいでよって言いながら暮らしてません。ふん、どうせ本物と偽物の区別なんてつかないくせに」
「私の目を嘗めるなよつねきち。あぁ?彫刻でも名画でも本物だけ見分けて買い取ってやろうか?」
「合言葉…頭隠して」
「金を出す」
「…おっこれはこれは大正解ー!!ささどうぞどうぞ中に入っ…てちがーう!!何やらすんですか!」
「つねきちが勝手にやったんじゃん」
「こんのすけです。リセットさん呼びますよ!セーブせずに一度電源切ってもう一回ロードしてやりましょうか!」
「ヤメロ!リセットさん来たら面倒くさいだろうが!長い説教されて何度も何度も言わされ続けていつになったら遊べるんだよ解放してくれるんだよ…いや諦めるな面倒くさくても逃げたらだめだ諦めるな!って思ってた瞬間に眠気がやって来て睡魔に勝てず寝落ちしてしまっている間に電源の所に赤ランプが点滅してお説教の途中で電源が切れてふと目が覚めたとき画面が黒くなっていることに絶望を感じてムンクの叫びみたいになったことがあるのか!?あの屈辱をお前は知っているのか!?」
「知ってますとも!!だからこそセーブは欠かさずにやっていたのですから!それでも電源が落ちることがあったので泣く泣く説教を聞いていましたよ!」
「わかって…くれるのかつねきち」
「わかりますよ…こんのすけです」
「リセットさん…一度お会いしてみた…」
「「止めとけ」」
「…わかりました」


ピンク一色で染まった離れはここがブラック本丸であるということを忘れさせるほどでした
いやしかし正直な話、ラブラブラブリーで目がチカチカして痛い…






ラブラブラブリー離れでの生活が始まり、ラブリーな生活しようめでたしめでたし。となるわけではなく、待ち受けていた…いや審神者様がやらかして…いや…………すぐに問題が起きました
最初の方にお伝えしたと思いますがここの空間は徐々にでありますが審神者様の霊力で浄化されつつあります。そして動けなかった者達が足を引きづりながら歩ける程には回復すると
その者達が動けるようになったことをいいことに、離れにやって来て審神者様の命を狙い始めたという問題が起きました。審神者様が危ない!守らないと!って気持ちにもなれませんでした…だって…なる前に…うん。
今からお伝えする出来事はブラック本丸に来た当日の夜から一週間後までのお話となります。私はマメなタイプのこんのすけですので一日一日何があったかを毎日日記をつけています。その一週間の間に一体何が刀剣様達をおそ…いや審神者様にあったのかという出来事を日記にしっかりと記入していますので皆様にお伝えします。
怒涛の一週間でした。いやホントマジで
先に言っておきます。刀剣様自業自得でも可哀想
それではこの一週間一体何があったのか!
ではどうぞ
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