どう〇する者達
「その名も!『ワタシの村』だ」
「……ワタシの村」
「うわぁ、もう村全てが支配されているかのようだ」


ドヤ顔で語る審神者様の村の名前はワタシの村だそうだ
どこぞのジャイ〇ン様のような感じに思えるのは気のせいだろうか…いや気のせいではないはずだ
もちろん村の名前なんてネーミングセンスなんかあったもんじゃない。
改名してあげた方がいい住民の為にも、審神者様の印象の為にも


審神者の村に入れば嫌な予感しかしてなかった二人は驚きを通り越して唖然とした。流石というべきなのか、おいお前と言うべきなのか…
地面一面が金の薔薇で覆い尽くされていた
そして南国フルーツも含め全てのフルーツの木が植えられている、が村の殆どが金の成っている木ばかりであった


絨毯の様になってしまっている金の薔薇たちの上を優雅に歩くプリンセスゲス審神者様。その手には金のジョウロが握られていた
金の薔薇絨毯はまるでアルバフィカの魔宮薔薇の様である。踏んで進むという道しかないが踏んだ瞬間猛毒を受け死んでしまいそう。それほどまでに毒々しい絨毯である
誰だ金に執着し過ぎだと偉そうに怒った奴は。お前の方が執着してるじゃないか


「ここが私の自宅だ」
「うん分かってた。だと思ってた」
「大きいですねぇ」


審神者の自宅は城を思わせるかのような大きさの家。そしてピンクの屋根
離れもピンク一式に染め上げた人物だ。屋根もピンクでないとおかしい
もしここで審神者がピンクの屋根を選んでいなかったら大変重篤な病に罹ったのだと思ってもいいぐらいだろう
中も思っていた通りの仕様であった。ラブリーシリーズで揃えられた立派なピンクラブラブルーム
意外だったのは二階がプリンセスシリーズで揃えられていたことだ。水色や白色をラブリーゲス審神者がチョイスしているとは思いもよらなかった
地下はマーメイド&ラブリールームとなっていた


「色々と見てよし」
「なら…」
「ただーし、地面掘ったり木を切ったり変なことしたーら。倍返し」
「シマセンヨソンナコト。アハハハ」


自分の村も好き放題荒らしてくれたのだ。上から目線のお許しが出たからちょっとだけ悪戯してやろうとこんのすけは思っていた。しかし今からしようとしていることを先読みした審神者に釘を打たれてしまった
倍返しだ。倍返しは倍返しでも審神者の言う倍返しは違う
きっと倍返し=10倍返しだろう。絶対そうだそうじゃなきゃおかしい


悪戯する気力も失せたこんのすけは言われた通り審神者の村を色々と見て回った
やはり流石というべきなのかもしれない
色々見てみたのだが、一番驚いたのは博物館。コンプリートしています
魚も化石も虫も絵画も
ゲーム始めて一週間ですよ?一週間で博物館が完成してるんですよ?
あり得なくね?どんだけやり込んでるんだよこの人
審神者様は我々3人の中でも群を抜いての凝り性です
そして3人の中でも群を抜いてのいじめっ子です
感心しながら博物館を後にし、外に出てみると余り好きではないのでしょう。一人の住民を徹底的に網で叩いて虐めまわっているゲス審神者様
ゲームの中でも通常運転の審神者道まっしぐら。言葉が出ませんでした


「…なにしてるんです?」
「あれくさんどらあげは、を捕まえたく…あ」
「あ」


散歩途中で何やら必死に網を振り回している太郎太刀様と出会いました
振り回す網の先にはアレクサンドラアゲハが太郎太刀様をからかうように優雅に飛び回っています
今だ!という所で別の方向を向いて網を振り下ろす太郎太刀は下手くそなのか何なのか。
中々捕まえられないことに焦りが出て下が金の薔薇と云う事も忘れ走り回っていると、一つの金の薔薇を蹴散らしてしまいました
蝶を捕まえることも走ることもやめ、私の顔を見て硬直する
金の中に一つだけポカリと茶色がある
枯れない消えない薔薇だが、蹴散らされれば消えるのも当然で
顔を青ざめる太郎太刀様。これは10倍返しどころではないかもしれない
そして


私達二人のやり取りを太郎太刀様が今立っている横の建物の裏に隠れて一部始終見ていた審神者様
もちろん最初からですから太郎太刀様が蝶を捕まえようとして走って金の薔薇を蹴散らした所もバッチシ見ていて
ポカリと空いた穴も知っているわけで
固まっている私達のゲーム画面にメッセージが届いた
2人ともギッギッと機械音を発しながら見合わせていた顔を画面に戻した
そしてまた音を出しながらお互いの顔を見合わせる事なった
メッセージはこうだ


『太郎刑に処す』












ザアザアと雨が降る中、離れの方から小さな叫び声とドシンという鈍い音が聞こえた
え?一体何の叫び声と音かって?
それはね
大事に大事に育てた金の薔薇を蹴散らしてしまった太郎は審神者の怒りに触れてしまったんだ
おこな審神者はアッパーをくり出し、見事直撃した太郎がよろめいた瞬間を狙いすぐさま後ろに回り込みスリーパーホールドで締め上げ、仕上げにツームストンパイルドライバーで止めを刺したんだ
だから変な叫び声と鈍い音が聞こえたんだと思うよ




しかしその声と音は雨にかき消され誰かの耳に入ることなく静かに消えていった
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