えげつない者
【おまけ:某ファーストフード店マク〇ナルドに行っていた時のお話】




現世と言ってもここは政府が与えた審神者たちが利用する為に呼び寄せ作られたお店…食事処だと主は言った。そのため、私達以外にも沢山の審神者や刀剣男士が各仕切られた机で食事を取っている
しかし、この鼻に付くような油臭い臭いは何なのだろうか
眉間に皺が寄りそうになるのを耐える。しかし主は特に気にならないようでコッチだコッチと言い私の手を取り受付と呼ばれる場所へと連れて行かれた


そもそも何故この場所にいるかというと。遡ること数分前…
厚樫山で主によるすぱるた教育をされていた私は着々と自身に力がついていっていった
逆に主は私にすぱるた教育をしていた所為で腹を空かせ死体があちこち転がっている場所へと倒れた
奇襲でも受けたのかと焦ったが、主の盛大な腹の虫の音を聞いて奇襲ではないと知る。
いやある意味奇襲であったかもしれない。空腹という奇襲攻撃を受けた主はお腹空いたと呪詛を呟くかのように言い始めた
私も戦った後なのでそれなりにはお腹が空いている。
何処かで食事をしましょうと言えば、主の目に生気が戻りではついて来い!と先程の苦しげな表情は何処へ行ったのか。主は煙草を咥えケロッとした顔でスタスタと歩き始めました
私が言うのを待っていたのでしょう。良い性格をしていると思います


そんな主に連れて来られたのが此処、まく〇なるどという場所です。近づくと自動で開く透明な扉の近くに立っていた呪いの様な人形が少し気になりました
受け付けと呼ばれる場所に連れていかれればそこには机一つ挟んで笑顔で此方を見てきていらっしゃいませと言う女性が立っていました
めにゅーはどうされますか。と聞かれたがめにゅーとは
困惑した私に気が付いたのか主は机に貼られている紙を指さし紙に貼り付けられている写真の中でどれが美味しそうか選べ、と言った


「しかし、どれも同じに見えます」
「ふむ…」


選べと言われても皆同じに見えるのだ
ただ読みづらい名前が違うだけであとは形も色も同じで違いがよくわからない
選べない私に代わって主が選んでくれることになった


「太郎はハンバーガー食べたことないんだよな」
「えぇそうですね」
「ならそうだな…うん。一通り食べてみるのが一番いいな」
「え?」
「フィレオフィッシュ、ビックマック、ダブルチーズ、チキンクリスプ、てりやきにエビフィレオ。それとポテトのLとナゲット2個ずつ。バニラのシェイクにアップルパイ。これを太郎に頼んだ」
「え…あの…え…」


私は言われている言葉がよくわからなかったが、目の前の女性は主の言葉を聞いて笑顔が固まった。
何故固まったのか…それはよく分からない


「うん?どうかしたか?」
「い、いえ!!では、お、お客様はどうされますか」
「私はそうだな。バーガーは一通り全部で」
「…え…?」
「後ポテトはL2つ。ナゲットは…3つ。シェイクはバニラ、チョコ、ストロベリー。デザートはサンデーストロベリーで」
「へ、え、え!?お、お客様…が召し上がるんですよね?」
「うんそうだが?お腹が空いて死にそうなんだ。いいから早くしてくれ」
「ただちに!!!」


目の前の女性が顔を青ざめた意味が最初分からなかったが、奥から持ってきて私達の目の前に置かれた食べ物を見て納得した
沢山の食べ物を持ち、空いている席へと座った
座ると小さな主は主の頼んだ食べ物によって顔半分が隠れていた
私の方が量が少なく主は大量
いえ羨ましいとかではないです。大柄な私は目の前にある食べ物だけで満足はするでしょう。しかし主は私より小さく小柄だ。
そんな少女が私より倍ある量を食べようとしているのだ。
食べれるのだろうか


私の心配を余所に、主はものの30分で全てを食べきってしまいました。ケロッとした顔で黙々と食べ進める主を見ているだけでお腹が一杯になってしまいました。
ですが出されたものはきちんと食べるのが常識です。無理やり詰め込みました。美味しかったですよ、主を見なければ。主を見ていたら胸がムカムカとしてきたのです


果たしてきちんと味わって食べたのかと疑いたくなるような主の食べ方に度肝を抜かれた私ですが帰る際、透明な自動扉の横に立っている呪いの人形の足を掴み何事も無かったかのように平然とした顔で人形を引き摺る主にまたも度肝を抜かれました
一体この人形のどこがいいのか。気に入った部分はどこなのか…
問いかけたいが、疲れ切った私は見て見ぬ振りをすることにしました。勝手に取ることは犯罪ですが、主が本当にこの人形が欲しいと望んでいるなら私は何も言うまい




そんな主はこの後、その呪いの人形の顔の部分を一期殿の腹に埋め込みそのままの勢いで人形から手を離し、人形と共に一期殿は庭へと放り出されることとなった
どうしてあの人形を持ち帰ったのかと問えば、「え?笑顔は最強の武器だと言うことをアイツらに教える為」と言いました
汚れた庭に転がっている人形をチラリと盗み見しましたが、成程…
足を掴まれて引きずられても顔をお腹に埋め込まれても庭に放り投げられても終始笑顔でいるあの人形は誰よりも最強であると言うことが分かりました
呪いの人形よ…あなたは身を以って笑顔は最強の武器であるということを彼らに教えたのですね。それは私に教えてくれたのと同じ
ありがとうございます呪いの人形。あなたのお陰で少し現世に詳しくなれました








そんな人形も本丸の汚れた庭へと今も放置され続けているのである
誰も触れない。何故ならあの時の恐怖を思い出すからだ
一期一振は毎晩あの笑顔が夢に出てくると言う
人形は今日も汚れた庭で一人、笑顔を浮かべているのであった
TOP
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -