審神者という者
私に与えられた政府の一室で太郎と待っていたら、大慌てで担当がすっ飛んできた
ソファーを汚さないでくださいと涙目で訴えかけてきた担当に一瞬は?何言ってんのコイツと思ったがそうだった今、身体全身血塗れだったわ


「良いだろ別にソファーの一つや二つぐらい」
「よくないです…ひっすみません!」


睨みを利かせれば縮こまるその姿は蛇に睨まれたカエルの様だ。コイツも随分と低姿勢になったもんだ
縮こまりビクビクしながら私と太郎にお茶を出す担当様は最初の方は随分と偉そうな人間様だった。すぐに低姿勢ビクビク男になったが








「俺がお前の担当となる者だ。ふん、お前のような汚れたクズが審神者になるというのも変な話だが…使える物は使っていかないとな」


初っ端でこのようなことを言われてしまったので私も挨拶としてお偉い担当様のお顔をグーパンで殴り飛ばした


「な、なにす…!?」
「えー、政府審神者管理課豊後国の内一つの本丸担当者、斉藤光吉。年齢35歳身長176cmA型。今まで付き合った女性0人振られた回数数知れず。政府のお上の方達から与えられるストレスを解消するため自分より下の者を苛め回るのが日課。特技は子供の洋服作り特にゴスロリ系。趣味は幼女の写真を隠し撮って家の壁に貼り付け眺める事。幼女は幼女でもポワンとしたアホの子が好き、それに結婚するなら無垢な幼女を一から調教し首輪を嵌め…」
「うわあああああああああああああ!!やめろやめろ!なんでそ、そんなこ、事!」


先程まで偉そうな態度を取っていた担当はグーパンで殴られて鼻血を出しながら自分の隠していた情報全てを知られ絶望という言葉が頭に浮かんだのだろう。顔を青ざめながらアタフタと躍り回るその姿が滑稽過ぎて思わず笑ってしまった。
あー愉快愉快!面白い!
床でビチビチと跳ねている担当の元に行きしゃがみ込み人差し指で奴の顎を強制的に上げると担当は青から白へと顔の色を変えた


「調べるのなんて朝飯前だ。殺し屋だった私にとって一番の武器は情報なんだよ。自分の担当の者の情報を調べるのは当たり前だろ?」


ガタガタ震える担当に首をかしげる。何を怯える必要があるのか…あ、あれか?幼女趣味は知られたくなかったのか?まぁ許せ


「初めまして担当様よ私は元殺し屋の名も無き女だ。趣味は料理。特技は殺し、情報集めです♪」


初めて担当と呼ばれるものと出会って初っ端で立場が大きく逆転した瞬間であった








とまぁこんなことがありましたとさ
そんな彼も一応管理課で私の担当様だからお上からの命令には逆らえないわけで、私に一切の情報を寄越しはしなかった
だから殴りました
殴って絞めて分捕って情報を熟読しました。そして無理やり戦場に繋がるゲート開かせました
私悪くないから、私から情報を奪うのが悪いだけだから
そして戦場行って殺し合いして刀拾って顕現させ、太郎を連れて戦場から今帰って来たところである。担当も太郎を見てびっくりしてくれましたよ。まぁ驚くわな
私に一切の審神者の仕事を教えてないのに情報奪われたし、やらせるつもりなかった顕現を勝手にされちゃったんだからな
しかも結構な量の資材を集めたから大きな袋に入った資材袋がそこら辺にゴロゴロ転がっているし、私血塗れだし


「この資材何とかして」
「え?は、はい!此方にある資材は審神者様が本丸に着いた後、本丸の離れにてお送りさせていただきます」
「ん。あ、そうだ太郎」
「何ですか主よ」
「お前に先に今から行く本丸の事教えとくなー」
「え!?何故そのような事!」


担当が焦った顔で私に勢い着けて詰め寄って来たので蹴り飛ばしてやった
やめて。近いウザいキモい勢いつけてくれるな腹立つから
どうやら本丸の情報は知られていないと思っていたらしい。バカめ詰めが甘いわ


「審神者に関する情報資料と共にお前が見てない所で掻っ攫わせて頂きましたー」
「うわあああああああくそおおおおおお!!!」


頭を抱えて膝から崩れ落ちた担当を尻目に話を再開する


「ここに来る前にも言ったが今から向かう所はブラック本丸と呼ばれた場所だ。向こうには…おい担当」
「…こんのすけと呼ばれる狐の式神が門の前にてお待ちしております…」
「そんで資材はあるらしいが手伝い札と呼ばれるものが一つもないと書いてあったから購入した。担当後で金返せ」
「……横暴だぁ…」
「あ゛?」
「ひぃぃ!!」
「向こうにいる刀剣は38振り。居ないのは鶴丸、明石、日本号、長曽祢、浦島、前田、今剣、髭切、膝丸、大和守、蛍丸、物吉…そして太郎だ。だが太郎は今私の元に来てくれたから39振りということになるな。ま、今の所私の刀は1振りだけだが」
「随分と数が多いのですね」
「初期の審神者が結構集めていたらしい。そいつもお変わりになって散々な事をしてくれたがな。そうだよな担当?悪いのだーれだ?」
「…初期の審神者様と、担当であるのにも関わらずに止めず見て見ぬふりをしていた私でございます。申し訳ありません…」
「大まかにはそういうことだ」
「成程」
「うぅぅぅ…」
「ウザい」


さて、そろそろ行くとするかな
お茶を飲み干し立ち上がって床の上でメソメソと泣いている担当を強制的に立ち上がらせる


「ゲート開け」
「うううううう、お、お金は払いませんからねっ!」


おい待てふざけるな払え。私の諭吉さんが何十万人と飛んで行ったんだぞ。払えないというならその身で払え
お前より私の諭吉さんの方が大切なのだと胸ぐら掴んで振り回していたら太郎のため息が聞こえ、何やら取り出す音も聞こえた


「我が一振り(ハリセン)は暴風が如し!」
「あいた」


スパンと軽快な音と頭を叩かれた痛みに太郎の方へと振り返れば、大きなハリセン片手に仁王立ちしている太郎がいた…何故


「先程から思っていましたが、貴方は担当殿の扱いが酷過ぎます。嫌いな方であってもそれなりに節度ある対応をするものです」
「だがムカつくんだ仕方ないだろ」


反抗すればもう一度私の頭にビックハリセンを振り下ろした
私は担当から手を離し必殺!真剣白羽取り!でハリセンを防いだのだが、眼にも見えぬ速さでどこからか取り出したもう一つのビックハリセンで叩かれてしまった


「あべし」
「甘いですよ主」


油断した。この私が避けることが出来ないとは…ハリセン恐るべし
時計をチラリと見ると本丸に行く時間を少し過ぎていた。担当で遊んでいる場合ではなかったか…
本丸に繋がっているゲートの部屋に行くため今いる部屋を出ようとすると少し伸びていた担当が起き上がり、慌てて付いてこようとする奴を手で制す


「落ち着け案内はいらない。…そうだ担当」
「は、はい」
「お前にしてきた今までの恩、忘れんなよ」
「それは!もちろんですよ!!」
「もう仕事手伝わないし、上から何言われても助けないからな」
「うぐっ……少しは…」
「ダメ」
「(´∵`) 」
「ウザい」
「グスン」




担当に軽く手を振り私達は政府を後にした。
太郎もいるし、私自身付喪神様とやらに負けてやるつもりはない
なるようになるさ。死んだら死んだで別に気にしないが、まぁ審神者とやらを楽しむとしよう


そして私達は元ブラック本丸に続くゲートへと足を向けた
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