或る爆弾
「ふぁ……ここどこだ…」


目が覚めたら知らない場所にいた
目の前に見えるものは光が漏れている窓
心地よい温もりのある布団
そして、腹の虫を呼び覚ます焼き魚の匂い


孤児院の起床喇叭や早朝点呼の音も聞こえない
寝起きのボーっとした状態で考えてみる
するといきなり目の前に白いエプロンを着た小春?さんが現れた


「おはようございます!」
「うわぁ!!」
「ご飯の準備はもう出来ていますよー。さぁ起きるです!」
「う、うぇ?…えっと…」
「あっ!昨日きちんと挨拶出来ていませんでしたね。私、武装探偵社の月咲小春です。よろしくお願いしますね」
「は、はい…よろしくお願いします…月咲さん」
「小春でいいですよ♪」
「…小春、さん」
「小春でいいですよ♪」
「いやさすがn「んーでも普通すぎてつまらないですねー…あっ先輩と呼んでください!」
「…(何で先輩?;)」
「先輩と呼んでください♪」
「…小春先輩」
「はい敦君!」


ええええええええええ!!!!!
天然なの、か!?
終始笑顔で迫ってくるその顔凄く怖いです!!


「敦君」
「は、はい!」
「携帯鳴ってますよー」


彼女に言われて初めて自分の近くからピピピッと音が鳴っていたことに気づいた
釦が分からず適当に色々と押していたらやっと繋がることが出来た
少しだけ、彼女が釦の場所教えてくれてもいいのに…と思って小春さんの方を見たらもうすでにこの部屋から居なくなっていた


「は、はい?」
『やぁ敦君。新しい下宿寮はどうだい?良く眠れた?』


そうか…僕は彼のおかげで…


「お蔭様で…こんな大層な寮を紹介していただいて」
『それは良かった。ところで頼みが有るのだが』
「?」
『助けて死にそう』


………は?






清々しい朝
気持ちのいい空気
そして…
ドラム缶に入った太宰さん


「やぁよく来たね。早速だが助けて」
「え…?何ですかこれ?」
「何だと思うね?」
「朝の幻覚?」
「違う」


この人ホント何してんの、何考えてんの


「こうした自殺方法があると聞き早速試してみたのだが苦しいばかりで一向に死ねない。腹に力を入れていないと徐々に嵌る。そろそろ限界」
「はぁ…でも自殺なのでしょう?そのままいけば」
「苦しいのは嫌だ。当然だろう」
「なるほど」


この世は僕の分からないものばかりだということが分かりました


「同僚の方に救援を求めなかったのですか?小春さんとか…」
「求めたよ。でも私が"死にそうなのだ"と助けを請うた時何と答えたと思う?」
「死ねばいいじゃん」
「御名答」


太宰さん曰く…
「助けて」
『何で?』
「死にそう」
『良かったじゃん』
「そうだけど」
『じゃあね』


「愛しの小春は何と言ったと思うかね」
「死ねば?」
「違う」
「死なないで」
「ううん」
「…死ぬなら私も一緒に」
「…『油と火の用意はちゃんと出来ていますから、必要になりましたらいつでも呼んでくださいね♪』だよ」
「…」


見捨てるとかのレベルじゃない!
殺しにかかってる!!!!


「ところで小春は君を起こしに行ったのだろう?あの子のご飯食べたのかい?」
「はい頂きました。とても美味しかったです」
「…だからか…」
「はい?」
「小春はいつも私のご飯を作ってくれるんだ」
「…はぁ」
「朝起きたら書置きがあってね。"敦君の所に行くからこれ食べておいてくださいね"と生卵一つだけ置いてあったんだ」
「…」
「君はちゃんとしたご飯を食べたのだろう?何故私には生卵一つなのだい?これは新手の虐めかい?…ずるい」


そうですねそれは新手の虐めと受け取っていいと思います
そして…
え!?これ僕の所為なの!?僕の所為にしないでください!!!
ツッコみどころ満載の人たちにより朝から疲れが一気に出てきました
TOP
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -