運命論者の悲しみ
「ふんふんふーん♪」


美人さん騒動が終わり3人を治療室(晶子姐さんのお楽しみ部屋)に運び終え、現在私はスーパーから帰宅中です。
治が疲れたお腹すいた蟹食べたい〜と駄々をこねてきたので、今日は蟹鍋にしようとスーパーに寄ったのです。
いやー少し値は張りましたが活きのいい蟹をゲット出来て良かったです!


探偵社の前まで来ると何故か大きな風呂敷を背負っている敦君を見つけました
何をしているんでしょうね。古典的な泥棒役か何かですかね?
一枚写真を撮っておきましょう
カシャリという音に俯いていた顔を上げ驚きに満ちた敦君の面白い顔も記念に撮っておきました


「小春、先輩!?」
「はい、お元気そうで何よりです敦君。ところで…何してるんですか?」
「……安心してください。もう心配いりませんから」
「へ?」


敦君は私の質問に答えず情けない顔で微笑み心配ないと言って私の横を通り過ぎようとした
何処へ行こうと勝手なのだが、まだ私の質問に答えてもらっていない
その為、足を横に出し敦君の足に引っ掛けたら蛙が潰れたような声を出しながら派手に転んだ


「あぶぇ!!!」
「無視は失礼ですよ!何してるんですかって聞いてるんです!」
「いてて…容赦ない…」
「泥棒役ですか?姑に負けて追い出された無様で滑稽な嫁役ですか?それとも金持ちから一変し金無しどん底負け犬役ですか?」
「言葉も容赦ない!泥棒でも嫁でもある意味負け犬かもしれないですけど負け犬じゃないです!」
「えーじゃあなんですか?」
「探偵社を出ていこうとしてるんです」


ここでようやく理解できました
泥棒でも無様な嫁でも負け犬でもなかったですか。
にして出ていこうとは根性なしですねぇ敦君は。たったの数日で出ていこうとは、早い早すぎですよ


「なるほどなるほど。マフィアにボコボコにされて何とか死なずにすんで元気な体を取り戻せたけど今度は自分を狙っているマフィアが探偵社に押し寄せてきたら狙いは自分なのに関係ない皆に迷惑かかるから自分が出ていったらマフィアの目は探偵社に向かない自分に集中するだからこそ出ていこう自分VSマフィアの鬼ごっこをしよう。ということですね?」
「の、ノンブレス…」
「ふぅ。ちょっと疲れちゃいました」
「…そ、そう言う事です!小春先輩のいう通りです!そういうことですので!!」
「あ、行っちゃった」


逃げるように駆け出して行った敦君の小さな背中に向かってため息を零しました
安直というか単純というか…おバカですねぇ敦君は
ポートマフィアにとって探偵社は敵。敦君を守る探偵社をまず潰して捕まえようとしたりとか、探偵社を潰して戻ってきた敦君を捕まえる、とか方法は色々あるんですけどねぇ
自分が出ていったことで探偵社が安全安心になるわけないじゃないですか
やりようによっては探偵社にも被害が及ぶんですから
本当に敦君はまだまだですねぇ。早とちり敦君ならきっとマフィアの誰かに連絡とって探偵社を抜けるとか辞めるとか自らお話してそうですね
敵さんもおバカではないですからきっと考えるはず。だとしたら大きく2パターンにわかれるでしょう
そのまま敦君を追いかけるパターン、もう一つが後ろ盾たる探偵社を攻撃しに来るパターン


「うん。きっと探偵社に来るパターンでしょう。私だったらそうしますもん」


不確かで不安定な小さな的よりかは確実にそこに存在して動かない大きな的を狙う方が効率いいですもんね
そうとなれば探偵社の皆に注意だけでもしておきましょう
彼らの行動は早いですから来るなら今日。もしかしたら今日マフィアが遊びに来るかもしれないですよって伝えておきましょう♪
ま、その前にまずは蟹さんを冷蔵庫にインしてからですけどね
鼻歌を歌いながら私は蟹を冷蔵庫に入れるべくアパートの階段を上り自室へと向かった
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