ヨコハマギャングスタアパラダヰス
探偵試験を無事合格し、不本意ながら探偵社の仲間入りをした僕は皆さんと家財道具の買い出しをし食事処で休憩していた。
昨日と同じように小春先輩は太宰さんの膝の上であんみつを黙々と食べている
いや先輩は椅子にちゃんと座ろうとしたんですよ。でも太宰さんが座ろうとした先輩を自然な流れで掻っ攫って自分の膝の上に座らせたんです。そして、先輩は皆が見ていない隙を突いて太宰さんに目にも見えぬ速さで肘鉄を喰らわせていました。もちろん笑顔で。
一部始終見ていた僕だけが知っているであろうお二人のやり取りです。涙目で腹を抑える太宰さんとても痛そうでした、そしてこっちを見ながら笑顔で肘鉄した先輩が恐ろし過ぎて恐怖でしかなかったです。


二人のやり取りを見ながらお茶を飲んで一息ついていたら爆弾魔もとい谷崎さんは思いっきり頭を下げて謝罪してきました。試験の為とはいえ失礼な事をしたと謝ってくれる谷崎さんはとても良い人でした。いやー爆弾魔の印象強すぎて素も恐ろしい人かなと思ったけれどそうでもなかく意外と優しくていい人だったので良かったです。
そんなこんなで自己紹介が終わったら何故か前職当てクイズになりました
谷崎さんとナオミさんの前職はすぐに中てることが出来、国木田さんの前職が数学の先生ってことに何故か妙に納得してしまったのですが…


「じゃあ私と小春は?」
「太宰さんは…」
「無駄だ小僧。武装探偵社七不思議の一つなのだこいつと小春の前職は」


太宰さんをじっくり観察するも「あぁこれっぽい!」といった感じの職業が思い浮かばない
駄目だ…見ていても自殺のこの二つの言葉しか頭に浮かんでこない
先輩は何となくわかりそーなわからなさそーな…
まぁ中てられなくてもいいかと思っていたのだけど中てたら懸賞金が出ると、しかも七十万と来たら中てないわけにはいかないわけで


「ちなみに私は七十万だけど小春はその上を行く百万だよ」
「ひゃ、百万!!!!?」
「はぁ小春はこいつよりも謎なんだ。わかりそうで中々に中てられない」
「ふふっ。私の前職は治より難しいでしょうね。何たって普通に出てくるものではないですからねー」
「さぁどうだい?」


普通に出てくるものではない?一体どう言う事だろう…
より訳が分からなくなってきた。先輩が変な職業をしていたとは見えないし、太宰さんも少しは真面な職に就いていたのかもしれないし…
これは考えていても埒が明かない!当てずっぽうで行くしかない!


「まずは私からどうぞ」
「務め人」「違う」
「研究職」「違う」
「工場労働者」「違う」
「作家」「違う」
「役者」「違うけど…」
「役者は照れるね」
「見事に大外れですねー」


うーん他に何があるんだろう。浪人でも無宿人でもないって言ってるし…謎だ


「では小春はどうかね?」
「治の前職中てられなかったのに私は無理でしょう」
「まぁ思いつくものを言ってみると言い」
「はい…えーと」


あんみつを食べ終わった(5杯)小春先輩が此方をニコニコと見ている
僕と同い年かその下?ぐらいに見えるから学生…と行きたいところだけど絶対そんな簡単な答えではないだろうなにせ太宰さんの上を行く百万だ。
学生でないとしたら…


「家政婦?」「いいえ」
「料理人?」「いいえ」
「女将さん?」「いいえ」
「看護師さん?」「いいえ」
「女優?」「いいえ…でも」
「女優だなんて…敦君、照れちゃいますよ」
「ははっこんな腹黒いドS女優は嫌だなぁ」


女優と言われた先輩は真っ赤な頬を両手で押さえてクネクネして可愛らしい仕草をしていたのだけど太宰さんの一言で可愛らしく恐ろしい満面の笑顔で太宰さんの顎を下から殴り上げた先輩に周りの皆は唖然としてしまった
国木田さんもこれには「小春…?」と大きな口を開けてドン引きしている


「治おかわりいります?」
「痛い御免なさい。お腹いっぱいです」
「大丈夫遠慮しなくてもいいんですよ?」
「うん遠慮させて頂きます」


おかわりって…うん。鉄拳のおかわりってことだよね?それに太宰さん先輩に敬語使ってしまっている
うん。先輩は怒らしてはいけない人だ
笑顔で素早い鉄拳を振るわれるのは御免だろう。だって太宰さんの顎ゴキッって音しましたからね。顎外れる音しましたからね


「いたたたた…こ、降参かな?じゃ此処の払いは宜しく」
「あっ;」
「おーさーむ?」
「はい。あんみつ代は私が払わせて頂きます」
「ふふ。ありがとうございます」
「わぁ;」


先輩に対し胸に手を当て執事のように払わせて頂きますという太宰さん。太宰さんに向かってニコリッと貴婦人の様にお礼をいう先輩。
二人の上下関係が顕わになった瞬間の様でした


「恐るべし小春ちゃん」
「笑顔がとーても可愛いですわ小春ちゃん!」


ちょっとだけ引き気味の谷崎さんとおかしなことを言っているナオミさん。
いや可愛いけど絶対あれ黒い笑顔ですよ!うん!僕の勘が正しければやっぱり天然ではないと思う!そしていい加減こっちに帰って来てください国木田さん!いつまで「小春があんなことするなんて…いやそんな訳…」って現実逃避長すぎです!口開けたまんま固まらないでください元に戻って帰ってきて!!


この変な空気を壊すかのように谷崎さんの携帯の着信音が鳴り響いた


「うン?…ハイ…え。依頼ですか?」
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