運命論者の悲しみ
僕が探偵社を出て少し経った後、街中に銃声が響いた。銃声が響く方向を確認したら探偵社がある方向から聞こえてくる。
来た道を走りながら戻りつつパンクした頭で必死に考える。
どうして、何故、


「はぁはぁ…」


探偵社のビルの前に着き、上を見上げると事務所の窓ガラスにヒビが入っている。階段を駆け上がっている時も銃声音や叫び声がかすかに聞こえてくる。
一体どうして…
狙いは僕なんだろう?なら探偵社から出ていった僕を、僕だけを狙えばいいのに!
探偵社は関係ないのに!僕のせいで…僕のせいで皆が!!!


「やめろ!!」


思いっきり事務所の扉を開け中に入れば目の前には男の手首を掴み、男を地面に叩きつける国木田さんがいた


「え…」


よくよく周りを見てみれば…
倒れた敵の山に座って銃をクルクル回して興味津々の賢治君
場違いなほど優雅にのんびりと談笑している与謝野さんと乱歩さん
そして………


「きゃはははっ!とってもいい顔です!最高です♪」


大爆笑しながら目じりに涙を溜めて(多分可笑し面白すぎて)、ボコボコにされたマフィア達の写真を撮っている小春先輩


え…なにこれ…


「勝手に居なくなる奴があるか。見ての通りの散らかり様だ片付け手伝え」
「国木田さーん。こいつらどうします?」
「窓から棄てとけ」
「『パシャ』」
「いい加減撮るのをやめろ小春!!」


え…マフィアの武闘派は?
え…特殊部隊並みの…あれ?
あっ小春先輩のパンツ覗こうとしてる奴が…あ、潰された
………マ、マフィアより探偵社の方がぶっちぎりで物騒じゃん!先輩落ちてくマフィア見て笑いながら撮ってるし!鬼畜!!


なんだよこの恐ろしい集団は…
こんなの、僕が心配しなくても全然余裕だったんだ
いつもと変わらない態度でいてくれる皆のお陰なのか、安心して気が抜けたからなのか…
僕自身よく分からないけど、涙が出て来てしまった
国木田さんは僕にまだ仕事は山積みだと言う
僕はまだ…この探偵社に居ていいんだ


「あ?何だお前泣いているのか?」
「泣いてません」
「泣いてないのか?」
「泣いてません」
「泣いているのか?」
「泣いてます!」
「『パシャリ』」
「撮らないでください!!」
「『パシャシャシャシャシャ』」
「連写やめて!!!!!」
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