ヨコハマギャングスタアパラダヰス(後編)
事務所から彼らの元へ辿り着くのに5分も掛かってしまいました
ビルヂングの屋上のフェンスに腰かけて覗いてみると血塗れのナオミちゃんと谷崎君が倒れています
2人を傷つけてくれた元凶、美人さんと私がとーても遭いたかった奴が居ました。時間的にも丁度良かったですね。しかしまぁ容赦なくしてくれましたよ
流石マフィア!屑共の集まり!最高です!!


2人、と敦君は私の存在に一切気が付いていないみたいで好き勝手話し出します。何と何と、二人は敦君を生け捕りにしようとしていたみたいです。
わー驚きですねー。もちろん生け捕りにすること知ってましたけどー
しかも追い打ちをかける為に倒れているナオミちゃんと谷崎君が敦君のせいで巻き添えになったのだとか言うんです
さてさて…彼らの元に降り立ちたいのはやまやまですが、どこで出ましょうか
治としては早くに私が飛び出て止めた方が良いんでしょうが、個人的にはまーだ止めたくないんですよねぇ
というよりも、いつになったら私に気が付くんでしょうか。マフィアともあろう闇の人間が気づかないなんて、2人もまだまだですねー
しかし…敦君はどう出るのでしょうか?守られてばかりだと此処ではやっていけませんよ?




相変わらず大して怖くも無い奴の能力、羅生門。敦君は禍々しい能力に怯えてしまっているようです。奴の羅生門が敦君の足元の地面を抉れば敦君は簡単に腰を抜かしてしまいました


うーん、そんなに怖いですかねぇ。ただ地面を抉っただけじゃないですか怖くも何ともないと思いますけどねぇ
おや?腰を抜かしたかと思えばいきなり奴に突進していくなんて…
しかも羅生門を避けて地面に転がっている銃を手に取り奴の後頭部目掛けて撃ちました。迷いのない攻撃でした
でも、奴にその銃弾は届かなかったようですが…
空間そのものを喰うことも出来る…面白い能力ですよね。治の方が面白い能力を持ってますけどね!もちろん全てにおいて治が一番ですからね!


敦君の片足が羅生門によって喰われてしまった所でそろそろ限界だと思うので下に降りて止めようと思います。いやちょっと飽きたんですよ見てるということだけに。だって彼もうここまでだし、奴らも終わらせようとしてるし?
そーれーに
皆を傷つけてくれた彼で遊びたくてうずうずしてきたからです♪
あ、多分これが本音ですね!最近体動かしてないから久々にはしゃぎたいんですよね!
どういう反応してくれるんでしょうか。戸惑うんですかね!怒るんですかね!威嚇してくるんですかね!!あぁワクワクしてきました!!
ふふふ、どう虐めてやりましょう。やり過ぎたら治に怒られてしまうでしょうから手加減はしてあげないとですよね


私は太ももに忍ばせているナイフを抜き取り己の手首に刃先を宛がう
本当はこんなことしたくないんですけどねー。痛いし治るのに時間掛かるし一々傷をつけなきゃいけないから面倒くさいし…でもこれが私の能力ですからねー。
治や谷崎君みたいに表面的というか自分を傷つけなくていい能力が一番楽なので、能力選べるならそういう能力にしたかったですよー。まぁ言ってもどうにもならないから仕方がないんですがねー
いつもは治が私の体に傷をつけて欲しくないから能力使うことを禁止しているのですが、今回はお許しを貰えました。いや、傷をつけて欲しくない以外にも理由がありますがそれはちょっと置いておいてっと。


鼻歌を歌いながら手首に宛がっていた刃先を躊躇なく真横に引く。すると手首から真っ赤な血が溢れ出てきました。
私の能力は私の行動を見てくれればわかるように血を使います。自分の血をいろーんなモノに変化させることが出来るという能力なのですが…
今日は治が甘えてきたりキスしようとしてきたり可愛い姿を見ることが出来たので気分がいいのです。
だから気分がいいから特別に、今日は私の能力の中でも特に気に入っているモノを使うことにします♪
2人が私の“子供たち”でどのくらい踊り回ってくれるのか凄く楽しみです!
そして死なないように、子供たちの一部にならないようにお気を付け下さいね。
それでは行きましょうか。


流れ落ちた血が渦を巻きながら一ヶ所へと集まっていく。そしてそれは段々と人の顔や形を成していく。
“子供”は私の目の前にずいっとせがむように顔の部分を近づけてくる。
私は懐に隠していた包みを取り出しゆっくりと丁寧に包みを開いていく。包みの中にはお面が入っていて、数ある中の一つのお面を掴み早くとせがむソレにかけてあげる。
お面をかけたソレは嬉しそうに体全体で喜びを表す。その姿に私はふっ、と笑ってしまった


屋根の上で一人ほくそ笑む私は端から見れば不気味に写るだろう。
だけどそんなこと私には関係ない。久しぶりに知り合いに会ったのだ。何もしないのは失礼に当たるでしょう?
だから最上級のおもてなしをしなくては、ね
私の能力特とご覧あれ




「君達の出番ですよ。―――無題“Bloodydoll”」
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