ヨコハマギャングスタアパラダヰス
調査のご依頼で来られた方はとても美しい金色の髪の女性でした。
私の栗の様な色の髪よりも美しい金髪に目が奪われて羨ましくなりました
私もこんな髪色よりも金髪がよかったです
同じ同性である私から見ても依頼人さんは美しいのですからこんな美人を放って置かないクソ…いえ男が居るのもまた事実


「美しい…睡蓮の花のごとき果敢なくそして可憐なお嬢さんだ」
「へっ!?」
「どうか私と心中していただけないだろ――」


アホな事言いだした野郎の言葉を最後まで言わさず頭を思いっきり叩いた独歩君に心の中で盛大な拍手を贈ってしまいました
野郎を引きずり奥へと引っ込もうとする独歩君を止めると野郎は「心中ちょっとだけでいいか…」と依頼人さんに向かって言っていた言葉を止め引き攣った顔でこっちを見てきました


「独歩君後は私がやるので大丈夫ですよ」
「あ、あぁ大丈夫か小春?」
「えぇ大丈夫ですよ♪」
「く、国木田くーん。たすけ…」
「知らん」
「酷い!!」
「さぁ治。そんなに死にたいのなら私が手伝ってあげますからね♪良かったですね今日が治の命日ですよー」
「いや、あの!小春!」


独歩君から治を貰った私はこのアホの襟首を掴み引きずりながら奥の部屋へと退場しました
奥の部屋はタイミングよく私と治だけでした。治の襟首から手を離せば彼はいたたっと言いながら体を起こしました


「許しておくれ小春。本心で言った訳じゃない信じてくれ」
「それはわかってます…けど…やっぱり嫌です」
「すまなかった。私の目に映るのは愛しい小春以外いないよ。他の女性など視界に入らない、心の底から愛を伝えたいと思うのも君だけだ」
「私だって…治だけですよ」
「ふふ、大好き愛してる」


治は私を優しく抱きしめ甘ったるい愛を囁きながら顔を近づけてきた。
彼が今からしようとしている事に気づいてしまった私は自分の頬に熱が集まるのを感じてしまい思わず俯いてしまう。
そんな私に微笑した治は私の顎を優しい手つきで掬い顔を上げさせられ、強制的に上を向けば鼻と鼻がくっつく位の近い距離に治の顔があり咄嗟に目を瞑ってしまった
そりゃそうでしょう。治の綺麗な顔が目の前にあるのだから、間近でじっと見ることなんて出来るわけないじゃないですか
治の唇が私の唇に触れそうになる。
キスされてしまう―――――!










が、私は先程の件許してはいない。許しておくれと言われたが許すとは一言も言っていない。
なので、唇が触れるギリギリの所でキスしようとしていた治の頬を強く掴めばその気になっていた治が突然の事に「ほむっ!?」と変な声を出しながら驚きに満ちた顔をしていた


「誰も許すとは言ってませんよ?何いい雰囲気で流そうとしてるんです?」
「もふぅ」
「キスはお預け。キスしたいなら先程の美人さんとすればいいじゃないですか。睡蓮の花のごとき果敢ない美人さんとすればいいって言ってるんですよ」
「いむむっ!」
「あはっ、もし彼女とキスでもしたならば二度と私にキスしないでくださいね。てか触れて来ないでください。他の女の匂いがする治なんて好きになれませんから♪」


頬から手を離せばぶすっと少し拗ねたような顔をして此方を見てくる


「私がキスしたいと思うのは小春だけ。抱き締めて愛を囁きたいと思うのも君だけだよ。彼女とキスなんてしたいと思うわけないだろう」


普段いけしゃあしゃあとしている彼の違う一面を見ることが出来るのは私だけ
可愛い彼を見ることが出来るのも私だけ
私がキスを許すのは治だけです
拗ねた治は私を強く抱き締め肩に顔を埋めグリグリと押し付けてくる。そんな彼の可愛い行動に不覚にも絆されてしまいついつい頬が緩んでしまう。


「まぁ今回は許してあげますよ」
「!じゃあさっきの続きを…」
「ダメ。キスはお預けのままです。」
「そんな…」
「それで、上手く盗聴器忍ばすこと出来たんです?」
「気づいていたのか…うん上手くいったよ。後は彼女の行動を観察していくだけだね」


気づくに決まっているでしょうに。他の者達は気づいてはいないでしょうが私はしっかりと治が依頼人さんに盗聴器を仕掛けたのを見ることが出来ました
だって今までずっと治の傍にいて治のやることなすこと全て見てきましたからね
治を奥の部屋に連れてきたのもこのお話をする為ですし


「動きがあったら私行きましょうか?」
「…本当は行かせたくないんだけどね。彼と会うことにもなるだろうし」
「構いませんよー」
「私もすぐ行くからね」
「了解です♪」




奥の部屋から元居た部屋に戻れば依頼人さんの姿はなく、部屋に居たのは独歩君だけでした
独歩君に聞けば、谷崎君とナオミちゃん、敦君が依頼人さんと一緒に現場に行ったそうです
さて、敦君はどういった行動を取るのでしょうね


治と共にソファに座り私は携帯を弄り、治は音楽を聴いてグウタラしています
ま、もちろんグウタラしてませんよ!
私は携帯を弄って遊んでいるように見せかけて実はGPSで敦君たちの居場所を確認しているのです。
どういうことかというと、敦君に与えられた携帯ちょっと私が細工をしてまして敦君の居場所を私の携帯で知ることが出来るようにしたのです。あ、別に変な意味でじゃないですよ!治が言うには敦君これから色々な事に巻き込まれるでしょうから念のためにと細工させて頂いたのです
治も治で音楽聞いているフリして依頼人さんにつけた盗聴器から漏れる音や声をlive盗聴してますからね。
私達2人怠けられていると思われて独歩君にグチグチと小言言われましたが無視させて頂きました。


「…小春」
「?治?」
「頼んだよ」
「…りょーかい、です」
「わかっていると思うけど…」
「大丈夫!……殺しはしませんよ」


全く治も心配性ですね。
殺すわけないじゃないですか殺したら面白くなくなるんですから


「それではいってきまーす!」
「?小春どこかに行くのか?」
「お仕事デス♪」




そう。久しぶりに危険で兇悪だと言われている彼に会って彼で遊ぶというお仕事です♪
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