虚実の過去
昔々ある所にアラガミという化け物などいない平和な世界に平凡になに不自由なく過ごしていた少女がいました。
少女は大学の講義から家に帰るとゴッドイーターというゲームをするのが日課でした。
少女の家庭は共働きの両親と5つ上の兄がいます。兄は名高い小説家でよく考えたネタを真っ先に少女に語り少女が面白い、続きが読みたいと言えばすぐに本にし出していました。
誠実で優しく、沢山の人を魅了し虜にする小説を書ける兄は少女の憧れの人でした。
いつもと変わらない日常を過ごしていたとある日、その日常は崩れる事となります。




いつもの様に講義から帰ってきた少女はゴッドイーターのカセットが入ったゲーム機を手に取り電源をつけました。ですが画面は真っ黒のまま。不思議に思いもう一度電源ボタンを押しますが変わらず画面は黒いままです。


(充電はちゃんとしていたはずなのにおかしいな…)


もしかするとゲーム機が壊れてしまったのではないかと不安になり焦る少女。
ゲーム機が故障しているかどうか電気屋さんに行って見てもらおうと立ち上がろうとしました。
しかし、立ち上がることは出来ず何故か体はいうことを聞きません
懸命に何度も動かそうとしますが体と心が別々に離れたかのように自分の意思に反して、体は床に縫い付けられているかのようでした
次第に少女の体は鉛のように重くなり視界がどんどんぼやけていきます
抗おうとするも目の前が暗くなり朦朧とする意識に逆らうことなど出来ず気を失ってしまいました



それは長い間なのか短い間であったのか…
失っていた意識が浮上し目を開ければそこに広がるのは自身の部屋ではありませんでした
何もない砂漠のような荒れ地の中、ポツンと少女は座っていました


(ここは…どこ!?部屋にいたはずなのにどうして!?)


少女の手にゲーム機はありません。
広大な荒れ地に状況もわからず取り残されている少女はただ不安しかありませんでした
回りを見渡せば荒れ地の中に車らしきものが埋まっていたり、建物が傾き何かに齧られたかのようにポッカリと大きな穴を開けていたりしています。そして遠くから獣か何かの唸り声か叫び声が聞こえます。
怖くて恐ろしくて不安と恐怖に押しつぶされそうになっているとどこからかヘリコプターの音が聞こえてきました
その音は少女の真上から聞こえます
ヘリコプターから降りてきた人物に少女は唖然としました
だってあり得ないことだからです
ゴッドイーターのキャラクター雨宮リンドウが目の前に立っていることなど
夢を見ているのではないか…はたまた自分が作り出した妄想か…
混乱した少女を取り残しあれよあれよとリンドウに担がれ極東支部アナグラへと連れていかれました




アナグラに着いた少女はまたも混乱しました
リンドウだけではなく、自身の知り得るキャラクターたちがいたるところに居るからです
自分に何が起こっているのか
混乱させられっぱなしの少女に更なる追い打ちをかけたのは、フェンリル極東支部長ヨハネス・フォン・シックザールでした。
君から新型神機の適合者の反応が出ている、そう言われました
少女がどういうことか、ここは何なのか、夢なのか
そう問いたいのに問うことは許されず、新型は貴重だと強制的に神機使いにされてしまいました


少女を置いて行って話が勝手に進んでいくことに少女は考えることを放置しました
自分の好きなゲームで憧れていた世界。そうだこれは夢だと――
少女は夢なのだと考えを固定しました
夢であるのなら、夢が覚めるまで楽しもう
そう気持ちを前向きにしなければやっていけそうになかったからです。


ですが、夢であると…そういった考えが消える日がすぐに来ました
それはエリックの死です
ソーマと、ユウと自分の目の前で起こったエリックの死
少女は浮かれていました
夢であるならば死んでもゲームのようにリセットされるのだと
自分に都合のいい夢を見れるのだと、
ゲームをしていた、この物語の進む未来全てを把握していた少女は忘れていたのです
そして彼の死を目の前に思い出しました
そして悔やみました
何故止めることが出来なかったのか、と
彼らはゲームの物語と同じ未来を進んでいるのです
全てを知っているのは私なのに…何故彼を助けることが出来なかったのか
こうなることが分かっていても信じたくない、起こしたくない現実でした
そして同時に気が付きました
こんなリアルな夢はない。これは現実なのだ…私はゴッドイーターの世界にトリップしたのだと


少女はこれから何が起こりどうなるのか自身の記憶に刻まれたゲームの内容を必死に探ります
そしてそれらの未来が起こらないように動いて行かなければ
少女は自分を主人公に見立て、使命感に一人燃え上がりました
ゲームはゲーム
これは現実
少女がこの世界に来たことによりゲームとは少しずつ話が変わってきていること
その時少女はそんなこと知る由もありませんでした
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