少年の過去
昔々ある所、ある居住区に一人の少年が退屈そうに空を見上げていました
少年はこの平穏で平和な日々が退屈で飽き飽きとしていました
少年のいる居住区は他の居住区よりも壁が頑丈に出来ていて、壁が壊されたことはないのです


この世界の者たちはアラガミというバケモノに恐怖を抱き、毎日死と隣り合わせの生活を送っている者がほとんどです
でも少年は違っていました


少年は生まれたときから外を知らず、アラガミも見たことがありませんでした
全ては大人たちが語るもの、本の中でしか知り得ませんでした


少年にとっては怯え震えている人たちの気持ちが理解できませんでした
ここに居れば怖がる心配も、死という恐怖もありませんでした
大人たちは平和でも平穏でもないといいます
少年にとっては退屈でつまらない生活だというのです


外に出てみたい、アラガミを一度でも目にしてみたい
少年はそう思っていてもいつも誰かに止められ、外を、アラガミを知ることが出来ませんでした


少年は刺激が欲しかったのです
このつまらない日常を少しでも変えてくれる刺激をいつも欲していました






少年は空を見上げることが日課でした
そんな少年に支給の少ない中、頑張って着飾ってお洒落をした女の子たちが集まってきました
女の子たちは一目でもいいから少年の目に留まりたくて必死でした


ですが女の子たちが寄って集って来ても少年にはどうでもいいことなのです
人は言います、女の子より取り見取り、選び放題だと
でも少年は彼女たちの存在がウザくてしかたありませんでした


女どもの顔を見ればわかる
彼女たちは自分を見てはいない
ただ外見が整った男を捕まえ傍に侍らせていたいだけ
自分の欲を満たしてくれそうな男に媚を売っているだけ
着飾り、お洒落をした姿を見せてきて自分の腕に抱き着いてくる女どもは誠に滑稽で愚の骨頂だ
つまらない奴ら、群れてばかりのごみクズ
少年は女とはそういう物だと思っているのです


少年は常に冷めているのです
何もしなくても時は進む
女は勝手に集まってきて好き放題する
自分を満たしてくれるものは無い


笑顔を浮かべていても少年の心は冷え切ったまま
刺激を求めるあまり大人たちが困ることや喧嘩、防壁に穴を開けようとしたりと色々な事を試して刺激を求めました
でも求めている刺激は手に入りませんでした


常に刺激を求めているくせにゴッドイーターになりたいとは思っていませんでした
もしゴッドイーターになればアラガミというバケモノに喰うか喰われるかの世界の中で終わりのない戦いに身を投じなければならない
自分の命を投げ捨ててでも戦い、守りたいという思いは全くありません


そう少年はただの臆病なのです
臆病で卑怯、自分の命が一番の自己中心的な考えの持ち主でした
それでも刺激が欲しい
少年自体、自分が何を言っていて何を思っているのか自分自身でもわからなくなっているのです


好奇心からくる興味や刺激
でも自分が死ぬのは嫌
自分以外が自分の見ていない所で好き勝手に死ぬのはいい
自分が生きて行けれるなら他はどうでもいい
うっとおしい奴らは死ねばいい
少年は自他共に認める残忍で非道な性格の持ち主でもあったのです






そんな退屈な日々を過ごしていたある日
少年がいつだって求めていた刺激、そして死の恐怖が襲い掛かることとなりました
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