動き出す日常
―sideフラン―




任務の件で少々お話があったので、ふらっと現れたマシロさんを引き止めて(捕まえて)お話をしていたらロビーの下の方から大きな声が聞こえてきた


「ピンク…いや!パステルピンク!俺はこれに決めた!」
「えぇ!パステルピンク…ううん〜」
「い〜や!今日の姫の下着は上下合わせてパステルピンクだ!俺のこの姫専用千里眼に狂いはない!」


私達の時が止まった
いや正確に言えば彼ら2人以外の者の時間が止まった
特に目の前の彼女の時が止まった


「お、俺は白かなー」
「白。白か。いいねぇ…純粋無垢な白。穢れ無き白。誰かに汚されるのを待っている白。その役が俺でもちろん同意の上で俺色に染められる白…最高じゃないですか。毎日キラキラした生活送れるじゃないですか。天国に直行で行くことが出来るではないですか!!」
「妄想方向がえげつない!」
「男は皆そんなもんさっ!」
「いやああああああ!キラキラした目で俺を見ないで!一緒にしないでぇぇぇぇ!!」


ジンさんの危ない妄想の声とロミオさんの悲鳴が聞こえる
誰か医療班呼んでください
彼の頭の治療を全力でお願いします


「あぁ!いつになったら姫の下着を拝むことが出来るのか!拝めるなら俺は…俺は…死んでもいい!!」


自分たちの上の階に話のネタにされている彼女がいるのだと思ってもいないのだろう
哀れな…
そして死んでもいい。その言葉にピクリと反応したマシロさん
今のうちに逃げるか、謝るかした方がいいと思う
そう言ってやりたいが何分、この状況で口を開ける者はそうそうにいないだろう
空気の読めない人達以外は


「パステルピンクの下着。そうそれは彼女の可愛さ、少女らしさを全力で発揮する色!Item!!それを見につけている彼女はいつもの10倍可愛らしさが増す。なお!!そこに笑顔付きで『ジンさん。だ・い・す・き!』この言葉が添えれば100倍の可愛さが増し厭らしさも増す!!まさに無限の生き地獄!!!!」
「…ごめん。言っている意味が理解できない。ついていけない。ちゃんとした言葉喋って」
「いやここは『何考えてるのジンさんの変態!ばっか!いやん!!消えて!!…でもそんなジンさんの事が私、大好きだよ』とツンで来てから〜のデレも最高だ!これもよし!!」
「俺無視されてる!」


アホだ
アホが下の階で騒いでいる
呆れていたら目の前の彼女が居なくなっていた
彼女が動き出したのか…
よかったじゃないですかジンさん。早くも彼女の手で直々に天国に連れて行ってくれるそうですよ


「はぁ、気になってしかたない。それに姫が足りない。俺を動かす今日の姫エネルギーが足りない」
「Shut up」
「しゃ、シャラップ?」
「freeze」
「ひ、姫だぁ!!今日の下着の色…あぎゃぁぁぁ!!」
「俺もかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


下の階で2人の悲鳴と不穏な音が沢山聞こえる


「私専用の千里眼?なにそれ怖い。滅びろ。星屑となれ…いや星に失礼だからただのクズとなれ塵となれ。その口塞いでやる。二度と私の前でつまらぬことを言わないように縛ってやる。こいつが副隊長になればいいと言ったの誰だ、私だ。ふざけんな。返せ、過去のその言葉をいう私を返せ。一度でもかっこいいと思っていた私の心を返せ」
「あぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「喘ぐなヤメロ。お願いします誰か私を助けてください。誰か彼の頭を救ってあげてください」
「姫が救って」
「却下」


上の階でその会話とボコボコにされている音を聞きながら、彼女は意外とノリがいいのかもしれないと思い少しほくそ笑む
普段頑なに喋ろうとしない彼女がここまで喋るとは驚きものである
もしかしたらジンさんは彼女の内面を引き出そうとあえてこんなことをしているのではないだろうか


「今日…の、し、下着の色…は?」
「ご想像にお任せします」
「うおぁぁぁぁぁぁぁぁパステルピンクぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」


彼の断末魔が響き渡る
いや、彼は多分何も考えてないと思う
当分彼女は帰って来ないだろう、今のうちに違う仕事を片付けよう。そうしよう








ちなみに本日のマシロさんの下着、上下合わせてパステルピンクでした
彼女は心の中で『当たっている…変態千里眼恐るべし』と心の中で叫びながら恐怖に慄いていました(2人を木端微塵の星屑にしながら)
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