友達
―sideジン―




ぶっ倒れた姫をジュリウスと共に医務室に運び終えた俺は、アリサのことを詳しく調べてみようと自身の部屋に戻る途中ジュリウスに呼び止められた


「なーんだジュリウス。悪いけど俺今からちょいとやりたいことがあるんだよね」
「…聞きたいことがあるんだ」
「だーから何よ?早くしてくんねぇ?」
「何故、2人の間に入ったんだ?彼女からマシロを守るように立ちふさがったんだ?」
「…何言ってんだか」


本当に何言ってんだ
俺は俺として当たり前の行動を取っただけだってのに


「答えてくれジン」
「さぁな。俺には何言われてるか理解できないねぇ」
「俺は、気づいてあげれなかった。あいつが泣いて震えていても何もできなかった。俺はあんな顔を見たかったわけじゃない…」


下を向き強く唇を噛みしめるジュリウスを俺はただ静かに見つめた
当たり前だよ
だってお前は何も知らねんだから
って言っても俺も詳しくは知ってるようで知らねーし


「ま、お前だけのせいじゃねーよ」
「っ…。」


さすがの俺でもあの子のナミダに結構堪えたがな


「ジン。お前は彼女のこと何か知っているのか」
「今日はやけに質問するじゃねーの。…アリサちゃんの事は知ってるけど知らないよ」
「どういうことだ?」
「まんまの意味よー」


「ならお前は彼女のことをどう思っているんだ」
「美人で色白、その上巨乳ときた。もう最高だね目の保養保養〜」
「真面目に答えてくれ!」
「…“今”は好意的に取れるんじゃないかな」


これ以上話すことはない為、踵を返し目的地である自身の部屋へと歩き出す


「ジン。お前は一体何を考えているんだ…」


投げかけられた真面目な質問にあえて答えず


「タバコと女と酒ー」


それだけ言ってさっさと立ち去った


俺はただあの子を守りたいだけよ
そう
守りたい。笑顔を見たい
その言葉に嘘偽りはない
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