『新たな可能性』episodeシエル
ブラッドバレット検証実験から後日
私はシエルさんにまたもラウンジに呼び出された
その内容は検証実験ではなくてお勉強をしましょうとのことだった
まぁ私も分からないこととかあるから勉強は構わない
ラウンジという場所が嫌なのだ
昨日ラウンジで話したんだから今日は私の部屋でと言ったら黒い笑顔で首根っこ掴まれて部屋の外に放り出されました。最近私に対しての扱いが酷い気がする。なんてこったい


昨日と同じ場所で勉強することになりました
どうやら会いたくない人達はいないみたい。あぁ良かった助かった


「えーとですね…あ、それです」


シエルさんから渡された資料を読みつつ彼女の言葉に耳を傾ける


「そこにある通り、整備班の方たちのお陰で非常に興味深い、分析結果を手に入れることが出来ました。まずは、まとめですね…」


彼女の話を聞いていて確かに興味深い
突然変異したモジュールかぁ
普段の物にもう一つ特定の性質を得られる…
状態異常回復も追加されるようになったのはありがたい
彼女の説明は少し難しいところも多々あったがわからないわけではなかった


「…ここまで、OKですか?」


こくり、とうなずく


「今の、お話はこのあたりに記述がありますよ。ちょっと、読んでおいた方がいいかもですね…」


彼女が指差した文面を読んでいるとなにやら隣から凄く視線を感じる
な、なんだ!なんなんだ!?私の顔に何かついているのか!?何か言ってください願いします。顔上げづらいです見ないでください美少女にがん味されるほど整った顔してないんで見ないでください。むしろ私がしたい側なんですけど!


ギギギッと顔を少し上げれば穴が開くのではないかと思われるくらい此方を見ていた彼女と目が合ったのでまたギギギッと顔を元に戻す


「…どうしました?」
「…!?あ、いえ…すみません…ちょっとボーとしてました」


心なしか少しだけ頬の赤い彼女の顔など見えていない。絶対に見えていない。絶対にだ。


「えっと…あのですね…こうやって横に並んで、勉強するのとか…私、ずっと憧れていたんです…」


純粋なその答えに私は顔を上げ彼女の目を見つめる
綺麗な青い目だ。その目を見つめていたら吸い込まれそうだなと思った
その目は嬉しさで染まっている
純粋で心が綺麗で…可愛い子だな


肩を並べて勉強なんて私でいいならいくらでもしてあげるよ(できれば私の部屋がいいです)


「あ…何か、変な話しちゃいましたね…あっ忘れてました!見てください。変異モジュールが、発生した要因の考察です」


書かれた文面を見てみると何故か私の名前が挙がっていた
そして冷や汗が背中を伝う
おいまて。私は血の力が目覚めていますなんてこと誰一人として教えていない
バレたのか?私が血の力に目覚めていると…
もちろん目覚めたのはブラッドに入ってからではない。いや体から湧き出てくるこの不思議なものが血の力なのかという確証は入ってからやっとわかったことなのだが。血の力が使えるようになったのは入る前からだ。もし入る前から使えていたとバレたときあの恐ろしい博士が何かしらしてくると思ったから皆が目覚めた後一番最後に「あっなんか目覚めました〜」って恍けつつ伝えようと思っていたのだ


「…私の名前があるようですが」
「あ、はい。何となく、そんな気はしてたんです…“血の力”に目覚めた時の感覚と、とても似ていたので…」
「私はまだ目覚めてませんよ…きっと」
「…もしかしたらマシロが気づいてないだけなのでは?いつか自分で気づけて使いこなせるようになるといいですね」
「…そ、そうですね」
「報告は…以上です」


少しばかりこれはマズイかもしれない
対策を練る必要がありそうだ。取りあえずラケル博士にバレなければいいだけの話ではあるが、対策は必要だろう
だってそうだろう?ブラッドに入ってないのに血の力が使えていたと知られるとどんな研究されるかわかったものではない。自分でも何故なのか調べているが一向にわからない。此方に来てから自分自身の事がわからないから気づいたらいつの間にかアラガミ化してましたーも有り得たりして…ゴホンまぁこの話はいい。
何か博士から嫌な感じがしてならないのだ。冷たい底知れぬあの目が怖い。興味深そうに私をじっくりと観察してくるあの視線も口調も…何もかもが恐ろしい。まるで自分が実験動物になったような気分だ




シエルさんからの報告があったのは朝ご飯を食べる前の時だった
今日は一日中やることがなかったので午後ずっと部屋でごろごろしていたらまたもシエルさんの訪問があった。
何だろうかと尋ねれば、これまでスナイパーをベースに検証を行っていたのだがより理解したい為に他の銃身で検証してみたいと言った。そして全ての銃身タイプのバレットを作ってみたが使い道に困ったので良かったら受け取ってくれとの事だった


ふむシエルさんは確かスナイパーだったな
私はブラスト使いだからそれ以外の銃身は基本使用していない
正直もらえるのは凄く助かる
ただ全ては受け取れないが…


「助かります。ですが私は基本ブラストしか使わないので…」
「ブラストだけで構いません。受け取ってくれるんですねありがとうございます!」


優しい彼女にありがとうと伝える
まだ何かそわそわしている彼女を見ていて何を伝えたがっているか気づいた
きっとこのバレットを使って一緒に検証しに行きたいのだ
だがあいにく午前の事もあって少々警戒している私は行く気力がない
此処でふと気になったことを彼女に尋ねる事にした


「シエルさんは私以外の人と検証しに行ったことは?」
「あ、いいえ。マシロ以外にはまだ」
「でしたらジンさんと検証に行ってみたらどうでしょうか」
「副隊長…ですか?」
「彼も血の力に目覚めたばかり。シエルさんとジンさんの血の力を合わせれば何かしらの成果が得られるのではないでしょうか。彼の血の力は喚起と呼ばれて他者の意志の力を増幅させ自らの限界を超えることが可能と言われているのですからブラッドバレットの検証にはもってこいの人材かと」
「…確かに」
「それに私とは検証してみたのですから違う人と検証してみることも大事ですよ。…あぁそういえばジンさんもスナイパーでしたね。彼の銃身でも成功するのかとか、同じスナイパーはスナイパーでもどうなるのか、彼の神機と自分の神機なども比べてみると言うもの必要ですよ」


しまった普段あまり喋らないくせに饒舌しすぎたか。やらかした


「…そう、そうですね。私としたことが一直線に突っ走ってしまいました。もっと視野を広げて見ないといけなかったですね」


よかった心配し過ぎだった。彼女は前向きに考えてくれたらしい。此方としてはありがたい


「では今から副隊長に話しかけてみます!報告待っていて下さいね!」


風のように去って行った彼女はもういない。一人っきりになった瞬間どっと疲れが出てきてしまった。
いや、ホント…凄く…緊張した。だぁぁぁぁーーー!!!一件落着落着!
変な汗をかいてしまったため気分転換も兼ねてシャワーを浴びて汗を流そうさっぱりしよう。そうしよう






シエルさんが出て行って2時間後一人でお勉強をしていた所にノックも無しに荒々しくドアを開けシエルさんが部屋に入ってきた
思わずびっくりしてしまったのは仕方ないことだろう
普段そんなことしない人がするのだしかも笑顔で。びっくりしない人などいるのだろうか


「マシロ聞いてください!副隊長との戦闘中に血の力の発現を感じました!新しいブラッドバレットを手に入れることが出来たと思うんです!!」


よほど嬉しかったのだろう興奮気味に話してくる
一生懸命ジンさんとの検証実験の報告をしてくれるその姿がかわいいのかわいいの!
思わず頭を撫でたくなる。シエルさん可愛いよぉ天使だよぉ


「実験成功よかったですね」
「ありがとうございます!!」


「貴方に後れを取らないように、今度は貴方をフォローして行けれるように…私頑張りますね」


その言葉に心の奥底がホコッと暖かい何かに包まれた感じがした
可愛い彼女にお疲れ様、そしてありがとの意味を込めて頭を触れるか触れないかのギリギリのラインで少しそっと撫でたらシエルさんがピタッと固まってしまった
しまったもしかしたら嫌だったのかもしれない
思わず手が動いてしまったがもっと考えて行動すべきだった
ごめんねシエルさん嫌だったでしょう。
これからは自分の軽率に気を付けるようにしなければ……


「マシロ!!!」
「っっ!?」


気を付けるようにしなければいけないなっと心の中で呟いていたらいきなりシエルさんに飛びつかれ抱きしめられました。なんてこったい今度は此方が固まる番だ


「えへへ。マシロ私、凄く嬉しいです」


満面の笑顔の天使の腕の中で私のライフは0になりました




シエルさんの腕の中で天国に旅立っていた私を助けだしてくれたのはたまたま私に用事があったロミオでした
シエルは遠慮せずにもっと頭を撫でて欲しかったと言っていたが私には聞こえていなかった(天国散歩中)。シエルの独り言を聞いたロミオは「なん…だと…!?」と言って震えていたらしい
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