極東支部第一部隊
エレベーターを降り、エントランスに出て自室に帰ろうとしたらいきなり腕を掴まれて転びかけた
一体誰だ
投げ飛ばしちゃうぞ★
振り向くと私の腕を掴みキメ顔をしている騎士様と気の強そうな小さな女の子がおりました
騎士様は私の腕を掴んでおります
もう一度言います
掴んでおります
私も掴み返しました
そして投げ飛ばしました★
隣で女の子が目を見開いてギョエッと言ってた


いや掴んでいたのが隣の女の子だったら投げ飛ばしませんよ。絶対
騎士様だからしました。許せ


「ぐッ…痛い…ゴホンッ!やあマシロごきげんよう!」
「今素が出ましたねごきげんよう」
「あなたがブラッドのマシロさん?私はエリナ、エリナ・デア=フォーゲルヴァイデといいます」


彼女の名前を聞いての率直な感想いいます
ながっ!
覚えられんッスよ!エリナちゃん!!


「私達は、極東支部第一部隊所属のゴッドイーターで…」
「極東はどうだい?フライアも優雅だが、ここはここで趣があるだろう。土と油の匂い、それは決して不快ではない。むしろ懸命に生きる人々の活力が伝わってくる。さらにそのなかで一杯の紅茶を飲む。それら全ての匂いが混ぜ合わさった時に感じるんだ。…あぁ僕は彼らを護り、また僕も彼らに護られているのだと」
「エミールうるさい!」
「む、どうしたエリナよ。新しい極東の仲間同士親睦を深めるべく…」
「私が話してるんでしょ!」
「そう!ここにいるのはエリナ。我が盟友、エリック・デア=フォーゲルヴァイデの妹、すなわち…このエミール・フォン・シュトラスブルクの妹と思ってくれればいい」
「誰がアンタの妹よ!」
「あぁ、いたいた。エミール、エリナ、任務だ・・・君たちそこで何してるの」
「「彼女に紹介していたの!/さっ!」」
「・・・誰もいないけど」
「「・・・・・・なあああああああ!!!」」


私は今自室にいます
エミールとエリナちゃん2人の世界に入ってたし話長くなりそうだから逃げてきました
にしても・・・フォーゲルヴァイデ・・・
彼の妹か
私が助けれなかった
ただ見てることしかできなかった
目の前で死んだ
彼の・・・エリックの妹・・・
そういえば彼女見たことがある
極東支部にいたあの頃、何度かもっと小さなエリナちゃんを見かけていた
話しかけられたこともあったな
きっと覚えていないだろうけど
まぁ何話ししたかも私自身覚えていないから別にいいのだけれど
今日の疲れを癒すため目を閉じてお昼目タイムに入った














「せっかく、会えたのに・・・」
「エリナ?」
「やっと会えたのに・・・お話できると思ったのに・・・」
「あぁそうだなエリナよ。せっかく久しぶりに会ったのだから話でもしようと思っていたのに投げ飛ばされるとは・・・」
「あんたと一緒にしないでっ!」


頬を膨らませ涙目のエリナを俺は見る
エリナは昔マシロと会っていたことがあるのか
昔・・・
昔か・・・マシロが消えてからもう3年
俺たちは三年も必死に探していた
死んだと思われていたかつての仲間を、友を・・・
いやもう友と呼んでは許されないのかもしれない


博士の部屋で見たときは自分の目を疑った
だってありえないと思ったからだ
彼女が、いるなんて・・・
でも、声が聞きたくて
顔が見たくて
必死に意味わかんないこと言った
そしたら振り向いてくれた
俺、すごく嬉しかった。けれど彼女は笑ってもいない
怒っても、泣いてもいなかった
人形みたいに、能面みたいに完全に表情を消していた
明るくて俺の大好きな金色の目は冷たくて凍えそうで光などなくて・・・


俺は自分の表情を引き攣らせてしまった
自分の顔が青くなるのがわかる
何も言えなかった
藤木隊長と、完全に自分たちとの過去をなかったものにして話す彼女に泣きたくなった
もうコウタと
敬語じゃなくて
笑って
はっちゃけて
お互いの名前を呼び合うことなどもう出来ない
もうするつもりはない
馴れ馴れしく話しかけてくるな、と
彼女の目は語っていた






俺は手を握り締める
そして


3年前、彼女に言われた"あの言葉"を思い出す




あの時の言葉が
あの時の俺は
理解できなかった
いや理解してた、けどしたくなかった
逃げたんだ
その言葉から




だから
今になって




それが・・・その言葉が・・・


帰ってくる羽目になった
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