検証実験
敵のほとんどは彼女に回し、私はそこら辺の雑魚で鬱憤を晴らしていた
シエル…銃の扱いが上手いな
彼女はどちらかというと接近戦よりも遠距離戦の方が向いていると私は思う
確かに接近戦でも十分だが遠距離から攻撃し、支援に特化していったほうが彼女の戦闘スタイルにはあっている気がする


戦い終わった彼女がじっと神機を見ていたためつい声を掛けてしまった


「…」
「どうしました?」
「あ、い、いえ、気のせいかもしれませんけど…神機が…調子が悪いというか…いえ、違いますね…いくつかのバレットが、今までと違う挙動になっているんです。それも…悪くない方向に…その分、発射時の挙動に、少し違いが出ているので反動制御を修正しなければ、行けないんですが…」
「整備班に相談してみます?」


神機の調子どうこうは私達には何もできない
これは整備班に相談してみるしか他ない


「はい…そうですね…詳しく調べてみようと思います…」
「あ、今日は…ありがとうございました。また、よろしくお願いしますね」
「え?」
「え?また…はだめですか?」


まさかまた、よろしくされるとは思ってもいなかったからつい聞き返してしまった
私は…別にいいけれど
彼女は…私でいいのだろうか
つまんない奴なのに?
私何も出来ていなかったんだけどな…


「…私は、マシロに、お願いしたいのです」
「…どうして…」
「友達だから。マシロが好きだからです」


ニコリとほほ笑んだ彼女が眩しくて
その言葉が嬉しくて
涙が出そうになったから必死に耐えた
違う
目にゴミが入っただけだ
言葉に振り回されてはいけないんだ
でも…
でも…
たった一言だけど
私にとっては心に来る一言で
嬉しくて
眩しくて
悲しくなった










検証実験から帰って来た私の前にギルさんがいて
私の姿を見て少しほっとした方な顔をした
そしてすぐ私の元に来て何かを確認するかのようにじっと私の顔を見つめてきた


おいヤメロ
美男子が見続けれるほど出来た顔してないんですよ
そんなに見ないでください
どうしよう
こういう時どうしよう
誰か助けてー誰でもいいから助けてー


「ジンから聞いた。シエルと任務に行ってたんだってな」
「えぇまぁ」
「少しは気が紛れたか?」
「え?」
「極東の事だ。任務中だけでもそのこと忘れることが出来たんじゃないのか」
「あ…」


確かに彼のいう通りだ
極東の事すっかり忘れていた
何で?
あれだけ嫌で嫌でしょうがないものなのに
どうして?


「体を動かしたほうが嫌な事やストレスが軽減されるんだ。動かずにいたら溜まってばかりだからな」
「それで…」
「少しすっきりした顔をしていてよかった」
「…」


これは…もしかして狙ってやったことなのだろうか
いやわからない
ただ極東のことを忘れていた自分に驚くばかりだ


ギルさんがふと私の頭に手を置いた
ぎこちなく不器用に撫でる彼が少し可笑しかった


「守る」
「え…?」
「だから一人で溜めるな」
「…」
「お前には俺達がいる。だから、逃げるな」


いつの間にかギルさんだけでなくブラッドの皆が集まっていた
皆優しい目で、笑って私を見ている
そして皆して私の頭に手を置いてきた


何よ…
何でそんなこと言うのよ…
何でそんなことしてくるのよ…
逃がしてよ…
優しく、しないでよ…
皆のせいで逃げる気力もなくなって来たよ…
でも怖いんだ
どうしようもなく怖いんだ
勇気のない私は怖くて仕方がないの




お願いだから私に構ってこないでよ
皆酷い人たちだ


でも皆の手が暖かくてとても心地よかった
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