少年の過去
全治二か月


少年の怪我は二か月もかかることとなりました
2か月間、少年は病室から出ることを禁じられていました


少年はまだ少女になにも言えていませんでした
2か月間何もできない少年は苦痛でした
ただ少年は少女に会いたかったのです


少年はベッドの上で自分の胸を押さえていました
こんな感情を持つのは初めてだ…
少女のことを考えると苦しくてドキドキするのです
女なんて目障りな存在
いらない物…
そんなことを思っていた少年の心に変化が訪れました
いや他の女はどうでもいいのです
少女だけなのです
少女は違う…


少年にとって少女は自分の命を救ってくれた救世主いや、恐ろしい地獄から救ってくれた女神
自分の心を掴んだ、初めて恋をした。彼女の強い目、彼女という存在全てが少年の心を動かした愛しの女神
少年にとって少女は、二つの意味を合わせた運命の女神でした


早く少女に会いたい
会ってお礼を言って、沢山お話がしたい
そう思い続けました








2か月たってやっと少年は外に出ることが許されました
憂鬱な2か月は終わりました
早速、2か月前から言えなかったお礼を少女に言いに行こう
そう順調になった足を動かして極東支部の中を探し回ろうと思いました


でも極東支部の中は何とも言えない殺伐とした…覇気のない人達であふれかえっていました
どこを見渡しても暗い顔、泣きそうな顔、泣いている顔、絶望に染まった顔ばかりの者たちでした
異常なこの雰囲気に何故か嫌な感じがしました
近くにいた者に聞きました
どうしたのかと
何があったのかと
そして少年は知りました


もう極東支部に、自分が探し求めていた少女はいませんでした
1か月前に少女は消えたそうなのです


少年は絶望しました
少年はずっと病室にいたため、病室以外の外のことなど何も知りませんでした
もっと早くに怪我が治っていれば…
少年は歯ぎしりしました


少年は動きました
何故少女が消えたのか
少女に一体何があったのか
色んな者たちに聞き回りました
そして大まかですが理解したのです
少女がここ、極東支部で何があったのか
少女が何をされていたのかを


戻ってきてほしい、謝りたい、ごめんなさい、無事でいてくれ、信じていれば、許して欲しい…
そんな言葉が飛び交いました
そして少年は呆れを通り越して冷めてしまいました


一体今さら何を言っているのか
お前たちがしてきたことだろう
泣いたって、謝ったって彼女は帰って来ない
なんだこのバカの集まりは
少年は見る見る心が冷えていくのが自分で感じ取れました
そして嘆き悲しむ彼らに少年は冷たく言い放ちました


「彼女の何を見てきた?何も見てなかったんだろ。大切なものは失って初めて気が付くんだよバカが」


少年はそう言い放ち少女のいない極東支部を去りました


彼女は生きている
きっとまたどこかで会うことが出来る
何故だかはわかりませんがそう思えたのです
そして少年は心に決めました




俺はゴッドイーターになる
今度は俺が彼女を守る
何があっても、何を犠牲にしてでも、何かを捨てても
救われたこの命、今度は君の為に使うと
そして俺が君を見つけよう
君を導こう
君を笑顔にして見せよう
君の瞳に、心に光を取り戻して見せよう
君が心から幸せだと思えるものを作っていこう


例え嫌われても、俺は諦めない
君が怖がって逃げた過去に向き合う勇気を、道を作ってあげよう
君は俺の運命を変えてくれた運命の女神様
俺は君の未来を、君自身を守る騎士となろう






少年は少女の為に動き始めゴッドイーターとなりました
そして3年の月日が流れ、少年に運命が訪れました
あのときの、いやより美しく心を失くし感情を押し込めた女神と再会することが出来ました
女神は少年のことなど覚えていませんでした
それでもよいのです
あの時彼女に言えなかったお礼をしていこう
彼女の為に少年は仮面を被りました
彼女の為に道化師になることを選びました
彼女が傍にいる、それだけで少年はとても幸せなのです


愛しています。俺の女神様
貴方の為に俺は戦う






これは運命の女神に恋をした少年のお話
おしまいおしまい
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