アリサ
順調に感応種討伐をクリアすることが出来た
ただ私の体調はどんどん悪化していった
頭の中でひたすらにサイレン音が鳴り響く
何に対してのサイレンなのかもわからないがその警告音を無視し、ジュリウスの後についていく


救助対象であろう神機使いの女性の元に集まる
その時ふと、ジンさんが私を何かから守るように前に出てきた
警告音が強く鳴り響く
頭が痛い
でももう少しで帰れる。この程度我慢すれば大丈夫と言い聞かせることしか出来ない。


ジュリウスと女性が会話をしているその横で、私たちはいつアラガミが襲って来るかわからないので2人に背を向けて警戒していたら、ジンさんが私の存在を2人に隠すかのように立つ


さっきからジンさんの行動が可笑しい
新手のイジメかなにか?
軋む頭でそう思っていた
そう思っていたかった
彼女が、神機使いの彼女の言葉を聞くまでは






警告音が激しく鳴り響く。止まらないサイレン。音がどんどん加速する


「フェンリル極東支部。アリサ・イリーニチナ・アミエーラです。救援要請へのご対応ありがとうございます」


サイレン音が止まった
軋む頭はより強まった


彼女は今なんて?
なんて言った?


動揺し、手が震えて神機を落としてしまった
動悸が激しくなる
頭痛が、吐き気がする
苦しくて苦しくてたまらない
どうしてここにいるの?
怖い!
怖い!助けて!!


「あの神機落としましたよ?大丈夫ですか?」
「どうしたマシロ!?大丈夫か!?」
「・・・マシロ?あ、の・・・ジュリウスさん・・・今なんて、おっしゃいました、か・・・?」


ジュリウスが、皆が駆け寄ってくる
ジンさんが私と彼女の間に立ち塞がっている
ジュリウスと彼女の声が遠くで聞こえる
ジンさんの背中と神機の隙間から彼女と目が合ってしまった


私の中で時が止まる
彼女の中でも時が止まった


髪も伸びてる、服装も変わっている、より美人になっている
私を見つめる目も変わっている
彼女は紛れもなく3年前の・・・同じ部隊だったアリサだ


「マシロ・・・なん、ですか?生きて、生きていたんですか・・・?」
「・・・・・・」


彼女の存在が、私の過去を引き出してくる
怖い
彼女の目が!彼女自体が怖くてたまらない
また同じ目にあいたくない
彼女の声を聞きたくない
私の傍にいるジュリウスの服を震える手で掴んだ


「っ!マシロ!?一体どうしたんだ!?」


お願い助けて・・・
声が出せない。口が動かない。
止めどなく流れる涙を拭くことすら出来ない
私は必死に彼の服を強く握り締める
そしてこの恐怖から逃げるかのように、この苦しみから逃れるかのように
プツンと音が聞こえたと同時に意識を失ってしまった
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