再開
2074年 贖罪の街にてジュリウス・ヴィスコンティと雪原ジンが足を運んでいた


―sideジン―


「なージュリウス隊長。こーんな所に本当に適合者がいんの?」
「あぁ、ラケル博士の情報だとここ贖罪の街に新型神機の適合者が住んでいるそうだ」
「適合者だとしても普通の人間でしょ。アラガミに喰われないで生きてるとかありえないんだけど」
「ずっとここに居たというわけではないらしい。ここ数年…いやデータによると3年前から確認できている。だが誰一人としてその人間を見たことがないという。」
「え…まじでその情報信じていいの?てか3年前からって…」
「どういう理由にしろここは危険だ。救助は当然、適合者なら尚更だ」


ありえないねぇ
存在は確認できてるのにそいつの姿形もわからない。誰も見たことがないってなぁ
そいつは本当に生きてんかな
もしアラガミに喰われちまってたら俺達無駄足だぞ


「後はここだけだな」


残るは教会の中
煙草そろそろ切れそう早く帰りてぇ


そう思っていたらいきなり緊急通信が入った
オペレーターのフランちゃん。通称フラッちゃんがもの凄く焦った声で呼びかけてくる
お、なんかヤバそう


「ジュリウスさん!ジンさん!緊急事態発生です!大型アラガミ1体がそちらの教会にもの凄いスピードで向かっています!それと教会の中から適合者の反応があります」
「どんなアラガミか分かるか?」
「いえ…わかりません。こんなアラガミみたことない…」
「そうかわかった。俺たちは緊急アラガミの討伐、適合者の救助を臨機応変に対応していく。ジンいいな」
「オーケー。どんな野郎でも叩き伏せてやりますよっと」
「くれぐれも警戒は怠らないでください」


ふむ、フラッちゃんも知らないアラガミか…
これは長期戦になったりしてな
とりあえず救助を急ぐか




適合者の救助を優先するため俺たちは教会の中へと入る
そして俺たちは驚きのあまり呆然と突っ立ってしまった


おいおいなんだよこれ
確かこん中に適合者がいるんだろ?
なんで神機使いがいるんだよ。適合者ってこの女の子のことか?3年間も放浪してたってのか!?つーかその間投与してないんだろなんでアラガミ化してないんだ!?
そんで大型アラガミが山のように積もってんだよ


訳が分からない
いつも表情を崩さないジュリウスでさえも呆気にとられている


俺達の存在に気付いたのか山のように積もっているアラガミを踏んづけて背中を向けていた女の子が此方を振り返った
光の逆光で顔が見えない
なんだよこのもどかしい感じ。
我に返ったジュリウスが彼女に声を掛けようとしたとき、俺たちの後ろから爆発音が聞こえた


「っなんだ!?」
「おいおいなんだよこいつ!見たことねーぞ!」


フラッちゃんが言ってた奴だろう
金色の鬣、3本の尾、しなやかな体、まるで昔本で見た狐ってやつに似てる
つかなんかこいつ!赤いスカーフ巻いてる!このアラガミお洒落野郎かよ!


アラガミは俺達を見て戦闘態勢に入る
これは見逃してくれそうにないな


「っジン!俺が奴を倒す!その隙に「その子に手を出したらあなた達を殺します」


今まで喋らなかった彼女が静かに凛とした声で俺たちに向かって言い放った
アラガミの山から下りた彼女の顔を見て俺は確信した
彼女は――――
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