※ぼくはきみのいぬ、の別視点





別に俺のせいじゃない。
ぜんぶ、博臣のせい。


仕事も一段落したから、自分の部屋のイスに座ってまったりとしていたら、ノックが聞こえた。
「誰…?」と返事をすると、ドアからちょこんと博臣が顔を出した。


「あ、臨也、部屋の掃除いい?」

「…いいけど。」

「じゃぁおじゃまするね。」


はたきと雑巾を持った博臣がとてとてと俺の部屋を歩く。
もう、その瞬間に、すべて思考回路が止まった。

ものすごく、ごく自然で、無意識な動作だった。

俺は窓に歩いていた博臣の腕をつかみ、ベッドへと押し倒していた。
博臣はきょとんとした顔をしていて、その瞳に困惑した顔の俺が映っていた。
俺だって、正直驚いた。
別に欲求不満なわけではない。
もちろんいかがわしいサイトを見ていたわけでもない。


「あ、えっと……臨也…?」

「なに?」

「いや、なにじゃなくて…。」


博臣が逃げるように体を動かした。
その時にほのかに煙草の匂いが微かに香って、俺はイラっとした。
たぶん博臣はシズちゃんや佐藤くんの部屋も掃除したんだろう。
博臣から煙草の匂い…他人の匂いがするなんて、どういう理由であろうと許さない。

俺は博臣の白い首筋に口をつけ、強くすいあげた。
少し痛かったのか、「……ぁっ…!」と小さな悲鳴。
そんなの俺の理性を失わせる起爆剤でしかないのを、博臣は知らないのだろうか?


「い、臨也…?」

「ちょっと、黙って。」


この状況と、これから起こるであろうことを予測して真っ赤な顔をした博臣に。
無理矢理、抵抗も何も言えないようにその口を、深く深くふさいだ。


…きっと、たぶん、


おれのこころはきみにとらわれた


(それはきっと単純なこと)
(ただ単に、博臣が好きだから)
(そもそも俺の部屋に不用心に入るのが悪い…)

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臨也と相馬さんの組み合わせがすき
2011 つき

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