「…相馬、仕事しろ…。」
「仕事はちゃんと変わってもらったよ!」
「…そういう問題じゃねぇ、離れろ。」
「え、やだ。」
「……。」
仕事を違う人に押しつけて。
俺は調理中の佐藤くんの背中に抱きついていた。
混む時間でもないし、ちょっとくらいさぼっても別に問題ない。
しかも都合のいいことに、今キッチンには2人だけ。
ささやかな抵抗なのか、佐藤くんはフライパンを動かすたびにわざとらしく肘をあててきた。
2人のときはすごくべたべたな佐藤くんは、人前では構ってくれない。
俺としてはバイト中も、外でも、24時間ひっついていたいんだけど。
(佐藤くん、照れ屋さんだもんね。)
慣れた手つきでフライパンをかきまわす佐藤くん。
あとはもう煮詰めるだけなのか、左手があいていて。
思わずその手に、自分の両手を絡めた。
「相馬っ…!」
「佐藤くん、指細いよね〜。」
「離せ…っ。」
「俺、佐藤くんの手、好きだなぁ。」
「……っ!」
俺の言葉に佐藤くんの耳がみるみるうちに真っ赤になった。
後ろから抱きついているせいで顔が見えないのが至極残念。
(かわいいな…佐藤くん。)
佐藤くんはしばらく何も言わなくなって、それをいいことに佐藤くんの体をさわっていた。
ふんわりと、少し煙草のにおいが混じった佐藤くんのシャンプーの甘い香り。
俺と同じ香りなはずなのにどうしてこんなにもどきっとしてしまうのだろうか。
まるで誘惑されているような錯覚に陥る。
佐藤くんが何も言わないから、そのままさわさわと手をおろしていく。
さすがに太股に手が伸びたときは菜箸で手をつままれて、怒られた。
「いい加減にしろ…邪魔だ。」
「佐藤くんのいじわるっ!」
「佐藤くんとくっついていたいのに…」なんてつぶやいてみたら。
小さく佐藤くんがため息。
困ったような表情で頬を少し赤くしながら。
俺の耳元に、口を寄せて。
「あとで…な。」と呟いた。
スイートキッチン
(佐藤くん大好き!)
(…俺も、好きだ)
(!!佐藤くんがでれた!)
(うるせぇ…あとで覚えてろよ…)
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エアキッチン用に書いたもの。
相変わらずびーえる書くのへた…orz
2011/11 つき
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