1年生編 | ナノ




甘いものは嫌いですか?

やっと学校生活にもなれてきて、行動にも余裕が出てきた今日この頃。

「スネイプ教授、甘いものは嫌いですか?」

「嫌いではないが、どうも甘いものは口に合わないのでな。」

「そうですか。
んー。甘くなかったら食べますか?」

「まぁ、そうだな。」

「紅茶ぐらいの甘さなら、大丈夫ですよね?」

「あぁ。」


白鳥家のご令嬢が料理できるのかって思ったでしょ。


白鳥家では、花嫁修行もしたからある程度の料理ならできるの。

馬鹿にしちゃダメよ。


ある週末の朝、柔らかな陽射しを感じながら私室に何故か備え付けられているキッチンでお菓子を作り中。甘くないように砂糖の量を変えたりと、なかなか難しい。

「雪ちゃん、これってどうしたら良いの?」

「お嬢様が料理にやる気を出すなんて、珍しいですね。」

「私だってそれなりにしようと思うわ…」

「お嫁にいくときは、私もお供しますよ。」

「雪ちゃん…
私、まだお嫁に行かないわ。
これも花嫁修行じゃなくて、お世話になってる人にお礼がしたくて。」

「もしや、お嬢様に勉強を教えていらっしゃる方ですか?」

「え…
まぁ、そうよ。
たくさん作って、シェリーたちにも渡したいな。」

「では、頑張りましょう。」


あれからスパルタ雪ちゃんに手伝ってもらってクッキーが大量に完成した。


「雪ちゃんありがとう。」

「いえ、お嬢様のためならいつでも。」

「渡しに行ってくるわ。」

「行ってらっしゃいませ。」

「にゃーぉ」

「ロココちゃん?」
「んにゃー」

「ロココちゃんも行くの?」

「にゃ」

雪ちゃんがお菓子を詰めてくれたバスケットを片手に、ロココを反対側の手に持ち、私室を出た。

談話室に行くと、シェリー、マリー、ソフィーがお茶会をしていた。

「あら、桃子!お昼も食べずに何してたの?」

心配したのよ、と口々に言ってくれる友人を見ると心が暖かくなる。

「ごめんね、これを作ってたの。良かったら食べてちょうだい。」

「え?いいの?」

「美味しくないかも「すごく美味しいんだけど!」

ソフィーの反応に手を伸ばす二人。

え?これ買ったんじゃないの?
と、シェリーやマリーにも驚かれた。雪ちゃんのおかげで大成功です!

ありがとう、雪ちゃん。

みんなとお別れし、おじいさまのところへ行って、途中で出会った、グリフィンドールの寮監のマクゴナガル先生や他の先生方にもお裾分けした。

お礼になるか、罰ゲームになるかはわからないけど、スネイプ教授に渡しにいく。

いつもどおり課題を渡して、質問という流れは変わらず。
そして最近はたまに、紅茶を淹れてくれる。約束を守ってくれる律儀な教授。

今日は紅茶を淹れてくれるみたいで、透明魔法をかけてあった、クッキーの入ったバスケットを現す。ついでにロココも現れる。

柔らかい湯気に心が暖かくなるなるような紅茶の香り。

「我輩は、甘いものは食べないと言ったはずだが?
どこぞのご令嬢は覚えていないらしい。」

これぐらいの皮肉はいつものこと。何だかんだおっしゃっても丁寧に教えてくださる。

「甘すぎなければ、食べれるとおっしゃったのは先生ですよ。」

先生の隣に立ち、口を開けてくれそうにないので鼻の頭に軽くキスをした。驚いて、少し開いた口にクッキーを入れた。

レディだってキスぐらいするわ…。

「にゃー」

腕の中にいたロココが教授の膝に移動した。

「あっ!ロココ、戻っておいで。」

「構わん。
このクッキーはどこで買ったのだ?」


「え?
私が焼きましたよ」

「まずくはない。」

嬉しくて叫びたくなるのを我慢して、私もクッキーに手を伸ばす。


色んな話をしていると、バスケットの中の大量にあったクッキーは残すところ二枚となった。


「もし良かったら、これもどうぞ。」

本当は、ドラコお兄様にプレゼントしようと思ったんだけどね。

「いや、我輩は十分いただきましたぞ。えー…
Ms.白鳥がもしよろしいのなら、また、何か作ってきてくれたまえ。」

咳払いをして、照れを隠そうとする教授も可愛い。

「もちろんです。
代わりに、紅茶を淹れてくださいね。」

「お安いご用だ。」

「ほら、ロココ帰るよ。」

応答なし…

「ロココちゃん?」

寝てるの!?

「気が向いたらMs.白鳥のところに帰るだろう。」

「教授の邪魔になりますから。」

「我輩は構わん。」

「本当にすいません。では、お言葉に甘えて。
失礼します。」

「あぁ。」


帰りに、ドラコお兄様の彼女に会った。
「パンジー先輩?」

「あら、Ms.桃子・白鳥。こんなところでどうしたの?」

「よければ桃子とお呼びください。
少し、スネイプ教授に質問がありましたので。」

「呼ばせていただくわ。

え、スネイプ教授に?」

「えぇ、そうですよ。
あの、もしよろしかったら、これをドラコお兄様と一緒に食べてください。
私の手作りなんで美味しくないかもしれませんが。」

「貴女の手作り?」

「はい。はじめて作ったんですけど…」

「いただくわ。」

「では、失礼いたします。」


「さすが白鳥家ね。物腰も柔らか、立ち居振舞いも素晴らしい。
ドラコのことをドラコお兄様と呼んでなかったら…」

ライバルには恐ろしすぎる。


パンジーの呟きは地下の冷たい廊下に吸い込まれていった。

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