GLORIOUS DAYS | ナノ

第5Q


「高等部の体育館の場所、知ってるか?」

そう言って微笑む君は、誰──?
腰まで伸びた鮮やかな蒼の髪を靡かせ、神秘的な竜胆色の瞳の少女。はっきり言ってしまえば、綺麗だと感じた。

「──………君は?」

だけど、それと警戒を解くことは関係ない。俺達は女子が好きではない。むしろ苦手と言っていい。ファンを勝手に名乗って、顔にしか興味がない女が。

「………気を悪くしたのなら謝ろう。私は来月からバスケの推薦入学でココに入るんだ。それで今日から練習に混ざろうと思ってたんだが、想像以上に広くて迷ってたんだ。方向さえ教えてもらえれば、あとは自力で行くから」

だけど彼女はそれも見透かしたかのように答え、それ以上こちらに近寄ることはしなかった。淡々と告げる彼女に、俺達は唖然とした。いくら初対面とはいえ、俺達の外見に釣られない女子なんて、今まで居なかった。

「………面白い子だね、君は」

だからこそ、俺は今、この子に興味を抱いた。

「君、中学の方から入ってきたのかな?だったらそれは逆方向だよ。高校の校門から一番近い場所にあるんだ。俺達も丁度そっちから帰ろうと思っていたんだ。良かったら、一緒に行くかい?」
「幸村君!?」

一歩一歩彼女に歩み寄れば、後ろの方でブン太が驚いたような、抗議するような声を上げる。少し振り返って、視線だけを彼女に向けて、口を開く。

「──大丈夫、この子は何もしないよ」

そう小さな声で呟いた。するとブン太は目を見開かせたが、すぐに笑みを張り付けた。皆に目配せをしながら、全員が頷いたのを確認して。最後に、目の前の少女に、視線を向ける。彼女も何かしらを感じ取ったようだ。

「───…良いのか?」

少し遠慮がちにブン太を見る少女に、微笑みかける。大丈夫、君が気にすることはないよ。


「構わないさ。──それじゃあ、行こうか」





面白い子だね

(はじめまして、氷の女帝)
(君は俺と同じ、背負う者)

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