第3Q
──桜が大空へ舞う、春。
立海大附属中学校卒業式
──ザッ
「…ココに足を踏み入れるのも、久しぶりだな」
中学時代、毎日通っていたテニスコート。俺、こと幸村精市は、内部進学でこの高校に入学する。しかし内部進学といっても、勉強しなかったわけではない。外部受験よりは多少は緩いが、それでも難しいものは難しい。
──特に、入院して遅れを取っていた俺には。
「(………まあ、俺や真田、蓮二とかは問題なかった)」
その問題は、ブン太だ。赤也は来年頑張ってもらうとして。
でも、やれば出来る子だからね。そんなに苦労はしなかった。
「(──楽しかった、なあ…あの頃は)」
騒がしくて迷惑だと思ったことがあるのは否定しない(主に赤也とかブン太とか仁王とか)。だけど、それを日常たと感じ、楽しいと思っていたのもまた事実。
騒がしい
後輩が居ない。それが、これからの俺達にどんな影響を与えるのか。
──瞼を閉じて、日々を想い出す。
この場所に来るのは、これで最後。
「───さあ、行こうか」
振り返れば、たくさんの仲間が居た。
これまで共に戦ってきた、これからも共に戦う、大切な仲間。
敗北は振り向かない、見据えるは
勝利のみ。
「勝利して当然──でも、楽しむことを忘れるな」
だって、仲間以上に大切なものなんてないだろう?
「行こう、皆。ここからがスタートだ」
「「「「「「おう!」」」」」」
──回り始めた歯車は、もう止まらない。
ここからがスタートだ(ねぇ、と声がした)
(振り向いたその先には──)