第20Q
「俺はお前が嫌いだ、晴菜」昔から、そうだった。
「(ウチ、初穂に何かしたかなぁ…)」
ボーッと、中学時代を振り返る。
「え…?」
「ミスディレクションだか薫に見出だされただか知らねぇけど。俺は、お前が気に入らない」
「…えーと、」
真っ正面からいきなりそんなこと言われても…何て反応すれば良いんか分からへんよ…。
「何で、お前が。俺だって、努力してきたのに…」
俯いて小さく呟く彼女の言葉を、ウチは頑張って拾おうとした。やって、初穂は真剣に言ってんのに…ウチが茶化してもアカンやろ…。
「………」
「…初穂?」
そのまま黙り込んでしまった初穂。……どないせぇっちゅーねん。
「──晴菜!」
「うおわっ!?」
急にガバッと顔を上げた初穂に驚いてしまう。
「な、なんや…?」
「俺と!勝負しろ!!」
「………えぇー…」
藪から棒に何や急に…勝負て。
「一対一に決まってんだろ!やらないとは言わせねぇ!じゃないと、俺が納得出来ない!!」
「…て言うてもなぁ。結果なんか目に見えとんで…」
「…言ってくれるじゃねぇか」
「(…アレ?何か勘違いされてへん?)」
ウチ、何かそんなこと言うたか!?
あわわ…と泣きそうになった時。
「──ハルに文句があるなら、あたしも聞こうか」
横から聞こえてきた声に、迷わず振り返った。
「「薫っ」」
初穂と声が重なり、気まずくなる。
「……ハツ、素直は愚直とは訳が違うよ。真っ直ぐなのはお前の良いところだけど…言い方というものを考えな」
「う…っ」
正論を言われて、何も言い返せない初穂。というか、薫に楯突く方がどうかしてる。
「だってよ…何か、ズリィじゃねぇか」
ボソボソと初穂が反論しようとする。……勇者やな、初穂。
「何が?」
「…俺らは昇格テストで成績を残したらから一軍に入れたっていうのに…コイツだけ、晴菜だけ、薫に認められたからって可笑しいだろ!薫の目が確かなのは分かってるよ。だけど…釈然としねぇんだ」
「…それで?」
「え…?」
「それで、お前は何が言いたい」
「何が、って…」
「───ハツ、よく考えろ。お前は『姫君』だ。あたしも、メグも。お前は、あたし達以外を何と呼んでいる?ハルは、お前にとってどの枠組に入る?」
「───っ!」
「……思い当たる節が見つかったようだね。それが答だよ、ハツ」
「……分かったよ」
「(……………え、分かったん?)」
二人の会話を聞いていたけど、何の話をしているのか検討もつかない。
ウチがアホなだけなん?これってさ。
……まぁ、大事にならんかっただけ、マシか。「(───今思い出しても、あの時の会話は理解できん。
やけど、初穂の覚悟はよう分かった)」
初穂が人一倍バスケに真剣なんは、分かってたことやん。
だからこそ、初穂に、勝ちたい。
薫に勝つんは、ウチらやねんからな!
それが答だよ(過去の話を思い出した)
(女帝の想定は、どちらなのか)