第18Q
───ザシュッ
「ナイシュー!笑!」
第4Q開始2分。あれから、四天宝寺は主導権を完全に握り、点を重ねていた。64-64。ついに、その背中を捉えたのである。
「イケるわ!このペースで攻めるわよ!」
「絶対逆転するかんな!」
「「「おうっ!」」」
ここまで来たら、油断も慢心もない。ただ勝つために、必死になるだけだ。
「チィ…!」
くそ…っ。向こうのペースに乗せられている!
このままじゃあ、マジで逆転されるよ…!
「さっさとケリをつけんか!主将のお前が何とかしろ!」
東京を代表する強豪としてのプライドを傷つけられた氷帝の監督──相良龍臣はこの失態に激怒していた。
「へーへー!分かってますよっと!
(あーもう!鬱陶しいなあんのクソジジイ!!
ちったぁ黙ってろってんだ!)」
監督ならその何かを指示しろっての!
とりあえず、初穂を使うしか…な、い──
───ゾクッ
その時、コートに立っていた人物の全てが戦慄した。
「初穂…?」
無意識のうちに、その名前を呟いていた。
「(まさか──!)」
「俺が、負ける…?
───ありえねぇ、絶対に!」
その気迫に、息を呑んだ。
「(──初穂が覚醒した、なんて…!)」
▲▽▲
「(これが『神代の姫君』の真骨頂…!
相変わらず、化物染みてるぜ…!)」
二階のギャラリーからその光景を見ていた跡部は、冷や汗をかいて見ていた。
「よっしゃ!イイぜ初穂!負けんなよ!」
その隣で双子の姉を応援する岳人を見て、溜め息を吐きたくなる。
「(さすがは双子……姉の変化に戸惑うことすらないのか…)」
──だが、もしも初穂が負けるのなら…コイツは、どう反応するんだろうな。
なぁ、薫。お前なら、どう思う?
「俺は負けねぇ!!たとえ相手がお前らでも!薫でも!!」
「───…それは、アタシも同じよ!!」
『神代の姫君』───一騎討ち、スタート。
俺は負けねぇ!!(負けなど認めたくない)
(天才vs天才、勝利の女神はどちらに微笑むのか。)