夏の暑さにうだりはじめる


今日も雲一つない快晴の日々が続いている。じりじりとしたこの暑さは毎年経ってもなれないものだ。

「今日も暑いですね」
「ですねー。羽がムレて地獄のような暑さです……」

私が呟くと、ピット君が反応して返してくれた。あまりの暑さにへばっているようで床にぐでーっと溶けている。
羽のあるピット君やブラックピット君はこの暑さは応えるようで、試合のない日はこうやって窓の近くに来ては床に溶けているのもザラだ。

「ピット君も大変ですね。暑いですし」
「はい……。フォックスさん達なんてもっと大変だと思いますよ」
「確かに……毛がある分暑そうですし」
「俺たちがどうかしたのか」
「あ、噂をすればです」

フォックスさん達のことを言っていたら、ちょうどリビングにフォックスさんが入ってきた。フォックスさんも暑いのか、ジャケットを脱いでTシャツ一枚にズボンといった感じの衣装で入ってきていた。

「あ、実はですね。フォックスさん達って暑そうですね……って話をですね」
「確かに、この暑さは俺には応えるな。ウルフなんて上半身裸で歩き回っているぞ」
「それは目に毒なのでやめさせないとですね……」
「俺がなんだって、小娘」

ウルフさんに苦言を漏らしていると、今度はウルフさんが入ってきた。ウルフさんはフォックスさんが言った通り、上半身裸の状態で入ってきた。毛がモフモフで分かりにくいが、筋肉がちゃんとあるってことにちょっと感動している自分がいる。じゃなくて。

「ウルフさん、この状態で歩き回るのはよした方がいいですよ」
「あ?別にいいだろうがよ」
「迷惑をかけていまいがいないがさすがにそれはまずいですよ」
「そうだぞウルフ。女性ファイターもいるんだから気をつかえ」
「なんでてめえに指図されなきゃいけねえんだ、狐」

ウルフさんがフォックスさんを睨む。フォックスさんはそれどころじゃないようで、ウルフさんが睨んでいるのもお構いなしにコップに水を注いで飲み始める。
床で未だ倒れているピット君を見ると、仰向けに倒れて「あ"ー……」とうなり始めている。急いで水を持ってこないと。

「おい狐、無視すんな」
「ピットの奴は大丈夫か、ななし」
「今から水を持ってきます、無理しないでくださいね」
「あ、ありがとうございます……」

夏の暑さにうだりながら、まだ夏は始まったばかりだ。


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