ビーフシチューを作ろう


「うーん、これでいいのかな」

私はキッチンで鍋を目の前にして唸っていた。ビーフシチューに挑戦しようと試行錯誤していたのだが、これといって上手くいく自信がない。
材料は一通りレシピ通りに準備した。味付けもOKだ。でもこれでいいのかと自信がないのだ。

「どうしましたか、ななしさん?」

その時、食堂のドアが開いて、ある人物が入ってきた。つい最近この館にやってきたホムラさんだ。

「あっ、ホムラさん。大乱闘は終わったんですか?」
「はい。今大乱闘は終わりました。ところでななしさんは何をしているんですか?」
「実は料理をですね」

私が料理することを伝えると、ホムラさんはキッチンに入ってきた。ホムラさんは手を入念に洗った後、私の手元をじっと見た。

「あの、ななしさん、私もお手伝いしてもいいでしょうか」
「もちろん、大歓迎です」
「ところで何を作るんですか?」
「ビーフシチューを作ろうかと思いまして」

私がそういうと、ホムラさんは「任せてください!」と言って肉をフライパンに入れた。
そのままコンロの火をつける……と思いきや自らの手から炎を出してそのまま肉を炒め始めた。

「じゃあ私は鍋の準備してますね」
「わかりました。こちらは任せてくださいね」



「できました!」
「お、おお……!ちゃんとした料理です!」

私は思わず感動して涙を流しそうになる。ホムラさんが「大丈夫ですか?」と聞いてくるがお構いなしだ。
と、食堂に誰か入ってきた。フォックスさんだ。

「あれ、ななしにホムラ、どうしたんだ?」
「聞いてください、ななしさんと一緒にビーフシチューを作ったんですよ!」

ホムラさんが興奮気味にフォックスさんに話す。フォックスさんはちょっとたじたじしながら「あ、ああ。よかったな」と返した。
ちなみに作ったもののそんなに量はない。よくて5人分くらいだ。館にいる人数分はできる自信がなかったのでこれくらいにしておいたのだ。

「じゃあ、いただくよ」
「はい、じゃあ、よそりますね」

ビーフシチューを皿によそり、フォックスさんの目の前に置いた。フォックスさんが「美味しいそうだな」と言い、口に入れる。

「……美味しいな!」
「よかったです!」
「よかったですね、ななしさん」
「はい!」

私は思わず嬉しい、と顔に出した。それを見たホムラさんも微笑んだのだった。

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