夜の秘密


夜、私は眠れず、食堂へと向かっていた。
せめてなにか水とか飲めば眠れるだろう、と思いつつ廊下を進む。

「やっぱ暗いなあ……」

暗い廊下を私は1人で進む。窓から月の光が差し込んでちょっと不気味な雰囲気を醸し出す。
前を進んでいるとドン!と誰かにぶつかった。感触からいって人ではない。
恐る恐る上の方を見ると、そこには角とたてがみを持つあの方の顔が見えた。

「……クッパさん?」
「ん、おお、ななしか」

どうやらその方はクッパさんだった。クッパさんは私の姿を見るなりガハハと笑って体ごとこっちに向けた。
月の光がクッパさんを差し、どことなくちょっと恐ろしく見える。そんなクッパさんに対し、私は尋ねてみた。

「こんな時間になにをしてるんですか?」
「実は、吾輩も夜、眠れなくてな」
「もしかして食堂に向かうところだったんですか?」
「うむ」
「じゃあ、一緒に行きませんか?」

私はそういって手を差し伸べた。クッパさんは私と私の手を交互に見つめ、「うむ」と返した。どうやら一緒に来てくれるそうだ。
クッパさんと共に、暗い廊下を進むことになったのだった。




「これで食堂に到着ですね」
「うむ。ななし、吾輩にも水を頼む」
「わかりました!」

私はコップを2つ出し、水を注ぐ。それをクッパさんに1つわたし、私も水を飲み干す。
夜の食堂に長居は無用だ。一足先に戻ろうとすると、クッパさんが私を呼び止めた。

「なんでしょうか」
「このことは吾輩とななしだけの秘密にしてくれ」
「はい。ふふ、秘密ですね」

私は笑いながらそう言った。そして一足お先に食堂を出ていく。
この夜、クッパさんと廊下で出会ったこと、共に水を飲んだことは2人だけの秘密ってことになった。意外と可愛いところもあるんだな、と思いながら私は夜の廊下を歩くのだった。

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