ハイなテンションで


「お疲れ様です!」
「ああ、ななしか」

私は先ほど大乱闘を終えたテリーさんにタオルを手渡す。
テリーさんは「thank you」と言いながらタオルを受け取る。なんだか何時もよりキラキラしている、そんな気がする。
私はそんな上機嫌なテリーさんに尋ねた。

「テリーさん、ご機嫌ですね」
「ああ、なんたって今日は大乱闘でいい結果を出したからな」
「バスターウルフが綺麗に決まってましたね」
「off course!ななしも見てくれたようで嬉しいぜ!」

テリーさんは私の頭をわしわしする。ちょっとくすぐったいがこんな嬉しそうなテリーさんを見るのは初めてなのかもしれない。
と、テリーさんがスッと立ち上がり、控室を出て行こうとする。

「テリーさん、どこへ行くんですか?」
「まあ、ちょっと待っててくれ」

テリーさんは控室から出て行ってしまった。「すぐ戻る」と言っていたが何をするつもりなんだろうか。
今の上機嫌なテリーさんなら何をしてもおかしくない。でもそんな問題を起こすほどでもない。何があるのだろうか。
そう思いつつテリーさんを待っていると、ドアが勢いよく開き、テリーさんが戻ってきた。手には缶ジュースのような物を持って。

「よーし、せっかくだからななしも飲もうぜ!」
「私、未成年なんですが……」
「わかってるさ。ななしはジュースだな」

テリーさんは缶ジュースを私に差し出してきた。私が困惑しているとテリーさんは早速缶ジュース……ではなく酒を飲み始めていた。
そもそもここでは禁酒なのにこんな堂々と飲んでいていいのか。幸い誰もいないようだが見つかったら大目玉だ。

「ななしは飲まないのか?」
「ここで飲んじゃってもいいのかなって……」
「大丈夫だって。ここはオレとななししかいない。見つかったとしても逃げればいいさ」
「そんな、悠長な」
「気にすんなってことだ。さ、飲もうぜ」

勢いに呑まれ、私は缶ジュースのプルタブを開ける。缶ジュースはどうやらオレンジジュースのようだ。
オレンジのほのかな甘みと酸っぱさが溶け合っていてとても美味しい……じゃなくて、ここで飲んで誰かに見つかったらどうするのだろうか。
テリーさんは逃げればいい、とはいっていたがマスターがこれを許すはずがない。大乱闘を謹慎させられるかそれともあるいは……である。
そんなことを考えているとテリーさんはもう2つ目の缶酒を開け始めていた。早い。

「……まあ、なるようになれ!ですね」

私はそんなテリーさんを見つめ、ジュースを一気飲みするのだった。


その後、控室で酒を飲んでいたことがバレたテリーさんは2週間の大乱闘参戦の謹慎と館の掃除を押し付けられるのだった。
私もまた、同罪ということで大乱闘ステージの掃除をやることになるのだった。


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