今年のサンタは


「もうクリスマスですねえ」
「ぽよ」

私は横にいたカービィに同意を求める。カービィも同意して頷く。
世間は今、クリスマスだ。
そのせいか館もクリスマスの装飾が所せましと飾られている。おそらくやったのはマスターハンドだが。

「ところで今年もサンタ役はマスターハンドなのかなあ」
『いや、今年のサンタは君だ。ななし』
「うわあ!?」

突然現れた謎の右手……マスターハンドがフリップを持って現れた。現れたといっても中継映像のようなものだが。
私の素っ頓狂な声にカービィも驚いて飛び上がる。

「あ、あの……今年はマスターハンドじゃないんですか?」
『今年は君に是非お願いしようと思ってね』
「なんでまた」
『君はマネージャーとしてよく働いてくれている。だからサンタ役もやってもらおうと思ってね』

マスターハンドは親指をグッと上げる。いや全然大丈夫じゃない気もするが。
私は半ば呆れつつ、サンタを受けることにしたのだった。

「よし、こうなったら皆にプレゼントを配りましょう」
「ぽよー!」




「よし、最後も配り終わったぞ」

私は最後の人にプレゼントを届け終わると、被っていた帽子を取った。
プレゼント配りは最初は順調だったものの、宴会中の大人たちに捕まって散々からかわれたり、寝ぼけたカービィに吸われかけたりして、結構な時間がかかってしまったのだ。
私が自分の部屋に戻ろうとした時、マスターハンドが中継映像と共に現れた。

『お疲れ様、ななし』
「ありがとうございます」
『ふむふむ。プレゼントを配るのも楽しかっただろう』
「大変だったけど……そうですね、楽しかったです」

私はそう言って笑った。マスターハンドも頷く。
私が部屋に戻ろうとすると、マスターハンドがまたフリップを出す。

『ななし、メリークリスマス』
「マスターハンドこそ、メリークリスマス」
『では、おやすみなさい。君にもささやかながらプレゼントを用意した』
「ありがとうございます」

マスターハンドからの通信が切れ、私もまた、部屋へ戻るのだった。


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