Devil May Cry | ナノ
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▼ love choice!

※分岐あり/分岐によっては3P


「アスタ、何やってんだ?」

キッチンに立って何かをしているアスタに背後から若もとい同年代のダンテが首に腕を絡め、抱きついてきた。アスタは嫌がる素振りも何も見せず、何時も通りに「今日のお菓子の下準備です」と言って微笑んだ。
シルバーの鍋の中には黒味が強いチェリーのコンポート。それが何を見て何を作っているのかを察したダンテは「Asta,I love you!」と騒ぎながら力を込める様にアスタの体をぎゅうぎゅう抱き締めた。
若は他のダンテと比べても精神的に幼い様な気がするとアスタは思っていた。テメンニグルで戦った時はそうは思わなかったのに。自分と同じで戦っている時とそれ以外の時は性格が違うのかと悩むがこれ以上コンポートを煮詰めていたら焦げてしまう。

「ダンテ、そろそろ離れてください。焦げる」
「俺のハグが熱すぎて?」
「ははっ、笑えませんね。コンポートがですよ」

乾いた様な、皮肉めいた様な笑みを浮かべダンテの腕を少し乱暴に払う。
コンロの火を止め、すぐにコンポートを予め用意して置いていたネロ特性のパイ生地の上に流しておく。このまま少し荒熱を取ってから蓋を作り、焼き上げれば15時にはゆうに間に合うだろう。
アスタに冷笑を浴びせられた若はその場にぽつんと立っていたがアスタは気に掛けずに次の作業に移る。ソファに座り読書に没頭しているバージルに飲み物を淹れるのもアスタの仕事と化していた。キッチンに入る前コーヒーを淹れてくれと言われたから彼の好みの内容でてきぱきとコーヒーをカップに注ぐ。

「ダンテも何か飲みますか?」
「いい。どうせコーヒーか紅茶だろ?生憎どっちも嫌いでね」
「そういえば昨日おじさまとネロが安売りしていたといってコーラを大量買いしていましたが……」
「それなら欲しい」
「解りました。なら今持って行くのでバージルの近くに行っていてください」

流石の若もこれ以上はアスタの邪魔に成ると思ったのか大人しくアスタの言葉に従う様に談話スペースまで行き、どかっとソファーに座る。バージルは相も変わらず騒がしい行動の弟に不機嫌そうに顔を顰めるがそんなもの若の知ったところではない。
しかしダンテに物申したい事が幾つもあるバージルは読みかけの本に栞を挟み、静かにテーブルの上に本を置いた。

「一々アスタに絡みに行くな」
「別に良いだろ?アスタも嫌がってる訳じゃないし」
「見ているこっちが腹立たしい。お前の絡み方がな」
「アスタに素直に愛の言葉すら囁けない癖に」

そう呟くとバージルのこめかみがぴくりとひくつく。アスタとの事をからかえばすぐに反応する。それが面白くて堪らないし暇潰しにはなるだろう。……後が怖いだろうが。
それでもダンテはバージルを気分的にからかいたかったという事もあるが、他にも様々な意味合いを込めて思いの丈を口にする。

「あーあ、何でアスタもあんたみたいな堅物にくっついてるんだ」
「あいつもお前の様な騒々しい男は嫌いだといっていたが?」
「へぇ?でも俺は嫌われてないけどな。と、いう事は俺に気があるかもな」
「? 何のお話をされているんですか、二人とも」

丁度良くトレーにコーヒーとミルクティー、コーラを載せたアスタが二人の元にやってきた。ダンテとバージルは一瞬互いに視線を交わらせるがすぐに「フン」と全く同じタイミングで顔を背ける。
アスタは何が何だか解らず、取り敢えず飲み物が注がれているカップをそれぞれの前に置き、二人の間に座り、紅茶を啜った。アスタがカップから唇を離した途端、その体は途端に大きく揺れ、ダンテの方に傾く。

「ダンテ?」

アスタの声にバージルは横目でアスタとダンテを視界に納める。
するとどういうことだろうか。ダンテが馴れ馴れしくアスタの肩に腕を回し抱き寄せているではないか。胸から腹にかけてどす黒い何かが

「なぁアスタ、あんたは俺とバージル、どっちが好きだ?」
「は?……二人とも好きですよ。でもそれがどうかしたのですか?」

お決まりの台詞を口にしたアスタにダンテは肩を竦め、「こういう事」と言ってアスタの唇に噛み付いた。
時が止まる。バージルもキスをされている当人のアスタも何が起きているか理解するまでに時間が掛かっている様だ。
しかし30秒程経った所でアスタは漸く理解が及んだのか、むーむー呻きながらダンテの胸板をぐいぐいと押しのける。男女の力の所為か中々ダンテは離れてはくれないが。それどころか呼吸が苦しくなって口を薄く開いた途端に舌を口腔内に滑り込ませて来た。

「はっ、ぁっ……んふ」
「その声、エロ……っ」
「ふあっ」
「っ!ダンテ!!」

ダンテの行動に我慢出来なくなったバージルが憤りに声を荒げる。しかしダンテはバージルに見せ付ける様にアスタに濃厚で熱い口付けを一方的に与える。アスタもキスだけで大分蕩けた顔になっている。
ダンテは知っている。アスタが口腔内を責められるのが弱い事を。逃げたり、抵抗しようとしたりするアスタの舌を追い掛け回して捕まえるのはとても楽しい。厭らしく唾液が絡まり合う粘着質な音すら鳴り始める。
そこでバージルは漸く行動に出た。額に青筋を浮かべ、ダンテに幻影剣を放つ。だがテメンニグルで何度も避けてきたそれを今も避けられない訳が無い。今回も楽に避けるとバージルは小声で「Sucm…!」と呻き、熱に浮かされているアスタの体を自分の元へ引っ張り寄せた。
そして先程のダンテの様にアスタの口を塞ぎ、口腔内を犯す。その光景にダンテは楽しそうに口笛を吹いた。
汚らわしい。アスタがダンテに侵されるだなんて。ダンテは血を分けた双子の片割れだが基本的には相容れない。だからこそアスタに触れられるのが嫌で嫌で仕方が無い。ネロにこの事を相談した時は流石に「潔癖すぎだろ」と呆れられたがどうしても許容出来ない。
アスタがダンテの事を好いて、自分から彼に近付くのであればまだ許容は出来るのに。

「あはっ、バー、ジル……、も、駄目れふ……。力、はいらな……」
「感じすぎじゃないかアスタ。バージルの方がテクニックあるのかよ?」
「っ!!」
「……痛っ」

ダンテはショートパンツから剥き出しになっている太腿を撫で、背後から耳朶を甘噛みしたらアスタはそれに驚いたのか体を大きくびくつかせて、挙句バージルの舌先を噛んでしまった。しかしバージルはアスタには目もくれずダンテを視線で殺せそうな位に睨みつける。アスタの肢体を抱き締めながら。
しかしダンテはアスタの首を少し動かし「So cute,my princess」などと歯の浮く様な台詞を口にして今度は啄ばむだけの軽い口付けをアスタの唇に落とす。
目には大粒の涙。少しやりすぎたかとは思うがダンテも余裕が無い。アスタはいつも自分ではなくバージルを目に映しているから。どんなに好きだ、愛していると思っていてもアスタには少しも好意が伝わっていない。
しかし、ダンテの首筋で黒刃が煌く。バージルがアスタが常に太腿に括りつけているナイフホルスターからアセイミーを引き抜いて怒りの形相を浮かべている。

「おいおい。何も其処まで怒る事はないだろう?アスタが怒るなら理解は充分に出来るけどな」
「黙れ」
「やっぱり俺達は双子なんだな」
「……俺はお前とは違う」
「そりゃ奇遇だ、俺もだよ。やっぱりあんたとは分かり合えない。でも、アスタの事が好きで仕方ない。違うか?」
「……」

「そうおっかない顔するなよ」とダンテは茶化す様な口調で言ってこそはいるが表情そのものは本気だ。バージルもそれは解っていた。
腕の中で荒く呼吸を繰り返しているアスタの恍惚を感じている表情に思わず心臓の鼓動が早くなる。もっと確りとアスタの体に触りたい。だがそんな事をしては今のダンテとやっている事は大差が無い。

「ばー、じる?」
「! どうした?」
「バージルは私の事、そういう風に想って下っていたのですか?ダンテも」
「……あぁ。軽蔑したか?」
「軽蔑なんて、そんな。……嬉しいです、とっても」

目に涙を浮かべながらも微笑むアスタに感情が加速する。
しかしダンテにアスタの体を引っ張られ、アスタは今度はダンテの腕の中に閉じ込められてしまった。

「なぁアスタ。俺の事はどう思ってる?」
「ダンテにも好きだと言って貰えて嬉しいですよ」
「ん、Thanks.じゃあもう一つ質問だ。俺とバージル、どっちの方が好きだ?」

我ながら意地の悪い質問だとダンテは思った。現にアスタは困惑しているのか「え、え?」と整いかけた呼吸と一緒に困惑の声を溢している。そしてバージルとダンテの顔を交互に見つめる。
そして少し考えた後にアスタは小さな声で答えを口にした。


バージルを選ぶ
ダンテを選ぶ
どちらも選べない


2015/03/16