テニプリ短編 | ナノ
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▼ cream puf

※ただの下ネタなので注意。かなり下品。ただの思春期


「あ、アカン。部室に携帯忘れてきたわ」

部活が終わった帰り際、謙也と笑いの正門まで来ていた白石は携帯をロッカーに入れっぱなしにしているのに気が付いた。
今日は日南が鍵当番だし、部室にまだ小春と一氏もいたから、当番である彼女はまだ部室に残っているだろう。
別に今日一日携帯が無くてもどうということも無いけど、急な連絡が無いとも限らない。
この後は謙也と参考書を買いに行く約束をしていたから謙也の方を見ると「なら取ってきたらええやん。待ってるし」と言ってくれたから礼を言って部室まで戻る。
しかし、白石は部室に入れずにいた。

「いやっ」
「ええやん、別に。部室に残ってるんは俺と小春と日南だけなんやし」
「せやで日南ちゃん、前からやってみたい言うてたやろ?」
「!!?」

ドアノブに手をかけたまま白石は硬直していた。
一体何の話や。部室で何をしようとしてるんや。
そう思ったけどきっときっと次のお笑いライブに日南も参加してみたいと言う意味合いだろうなと解釈して、ドアノブを握る。
だが。

「やだっ、絶対やらない!」
「往生際悪いやっちゃなぁ。ほらおとなしく口開けや。誰か来てまうやろ」
「大丈夫やって。痛い事は無いし口開けて、中に出してもらってごっくんすればすぐに済む話や。怖い事なんてあらへん」
「や、やだ!そんなおっきく口開けるなるてはしたない!無理っ」

部室の中から涙声な日南の声が聞こえて来る。全力で嫌がっている時の声だ。
これはお笑いライブ云々な内容じゃない。
この前クラスの友人がふざけて見せてきたいかがわしい本の内容に似てる。
そう言えばあの漫画のヒロイン、日南に似てたななんて場違いな事を思い出しながら現実逃避していると一氏が「ほら、早く口開けや。零れる」なんて焦りながら日南の口に何かを入れようとしていた。
零れるって何がや。何を日南に飲ませるんや。
悶々としながら考えていると痺れを切らしたのか一氏の口調が少し乱暴になって、「口開けんかい!自分が飲みたい言うたんやろが」「やぁぁぁぁっ!!」「一氏ぃ!女の子の体は優しく扱わんかいボケッ」なんて会話に切り替わっていた。
日南に乱暴を働いているやと。ぴくりとこめかみが反応する。

「あっ、アカンっ。出る、出てまう!」
「えっ?!あっ、やだっ……」
「あ、もう!ユウくん何してんねん!日南ちゃん大丈夫?あーあ、制服に掛かってしもたなぁ……」
「ど、どうしよう。拭っても掛かっちゃったとこかぴかぴになりそう」
「大人しく口開けんからこうなったんや阿呆日南」
「女の子に阿呆言うたらアカンでユウくん」

白石は何かを悟った。
つまり部室の中ではモーホー軍団もとい、ラブルスコンビが日南と3人でピンクなモザイクが掛かるような事をしているのだと。
一氏の猛ったそれを日南の小さい口に捻り込んで、その中に特農ミルクをぶちまけてごっくんさせて。あー、そういう事か。ってそんな事許せるか。
早く日南をラブルスコンビの魔の手から助けなくては。
そう思うけど日南の痴態を見るのもどうにも恥ずかしいと思う部分もあって中々腕が動かない。
と言うか明日から部室で着替える度に日南の蕩け顔を想像して大変な事になりそうだけどどうしようなんて、どうしようもない事すら考えてしまう。
沈まれ俺の煩悩!と首を横に振っていたらまた、部室内で進展があった。

「せや、それなら舌先でぺろぺろ舐めてみるんはどう?口の中に直接入れるんは抵抗あるんやろ?」
「おっ、それええなぁ。大口開けるの嫌なんやろ?」
「うん、それなら大丈夫そう!」

何が大丈夫そうなん?!ちゅーか小春も何提案しとんねん。
頭の中がぐるぐるして最早何が何だか理解できない。むしろ理解する事を放棄し始めていた。

「んっ、んん……」
「ん……上手い上手い。こぼさへん様にする?んやで」
「日南ちゃん、味どないや?」
「んー、甘い……。少し苦くても構わないんだけどなぁ」

ちょ。まっ、日南さぁぁぁぁん?!少し苦くても構わないってナニの味の感想、何でそんな幸せそうな声で……嘘やぁぁぁぁ。
なんて、部室の前でひとり葛藤しているといつまで経っても戻ってこない白石に痺れを切らしたのか謙也が「白石何してんねん!いくら何でも遅すぎやわ!」と大声で白石を呼ぶ。

「っばっ、阿呆謙也!大声出さなや!」
「はぁ?んぐっ、」

咄嗟に謙也の口を右手で抑えるも時既に遅し。

「あら、蔵リンに謙也君やないの。忘れ物したん?」

小春が部室のドアを全開に開いていた。
何故今このタイミングでドアを全開にした。そう思いながら部室の中を覗いてしまう。
日南の姿が気になって仕方が無いから。
しかし、白石の予想とは違い日南は四天宝寺の紺と黄色のワンピースセーラーをきっちり着ていて、一氏も学ランを乱す事無く着ている。勿論小春も。

「あーあ、蔵ノ介さんにバレちゃった。シュークリーム食べてるの」
「は?シュークリーム?」

モゴモゴと何かを言っている謙也を少し雑に離して、部室の中に入ると長机の上にシュー生地と生クリームが置かれていた。
置かれているシュー生地の大半は破れていたり、上手く膨らんでいなかったり、少し焦げている。

「え?さっきの会話、シュークリーム?」
「せやで。今日日南ちゃんと光のクラス、家庭科の調理実習でシュークリーム作ったらしいんよ。もう、日南ちゃんったら蔵リンには完璧な状態のシュークリーム渡したいから今日調理実習だったの内緒にして!って凄かったんよ」
「わ、ああああああ小春ちゃんだめぇぇぇぇ」

顔を真っ赤にした日南が小春の周りでぴょこぴょこ飛びながら口を抑えようとしているけど、小春の身長の方が高い所為かなかなか上手く行かない。
余りにぴょこぴょこし過ぎていたから一氏にこつんと拳骨を落とされてようやくおとなしくなった。
しかし、白石はそんな事を気に止める余裕などなく。ずっとさっきまで繰り広げられていた会話を思い出して顔を赤くしていた。
てっきりそういう事をしてると思ったから。
顔を手で覆い、長くて重いため息を吐きながらその場にしゃがみこむ。
日南は白石が急に具合を悪くしたんじゃいかと心配して同じ様にしゃがんで、白石の頭に手を伸ばす。

「蔵ノ介さん?どうしたの?」
「なぁ日南、ずっとやってみたい言うてた事って何?」
「うぇっ?!」
「あー、それはなぁホイップクリーム直舐めしてみたいっちゅーデブまっしぐらな日南の願望」

言葉に詰まっていると一氏が代わりに教えてくれた。
「せやから俺が口の中にこのホイップクリームを口ん中で絞ったる言ったんやけど途端に無理無理言い始めてなぁ……」なんてケラケラ笑いながら続けた。
今度は一氏に「何でバラしちゃうのユウジくんのアホー」とぽこぽこ叩きに行ってしまった日南に安心した。
日南が一氏と小春とそういう事をしていた訳じゃなくて。

すると謙也は話題についていけない事にふてくされているのか、不機嫌そうに声を零す。

「あー、何や話付いて行けへんわ。なぁ日南ちゃん、俺もこのシュークリーム食べてもええ?腹減ったわ」
「構わないけど、それ失敗しちゃってるから見た目不格好だよ?」
「見た目だけやろ?」

そう言って何事もなく、机の上に置かれた少しぺしゃんこなシューを取ってホイップクリームを付けて食べる。
何か気が抜けたら部活後の空腹感が急に襲来してきた。

「日南、俺も貰うな」
「えっ、あ……」

有無を言わせず、中にカスタードが詰まったシュークリームを口に運ぶ。
バニラビーンズを入れすぎているのか、ブランデーを入れているのか何なのかクリームが少し苦い。
でも、べたついた甘みが口の中に広がる。
さっき日南言っていた通りの味だった。
シュークリームの話だとは思わなかったけど、日南が2人に食べられてると思ったなんて恥ずかしくて口が裂けても言えない。

「あ、あの」
「ん?」
「それ、美味しい?」
「うん、美味いで。失敗したって見た目だけやん。味はちゃんとシュークリームや」

「今度また作ってや」と、精一杯笑顔を取り繕う。
美味しいのは事実だけど、きっと日南がシュークリームを持ってきたら今日の事を思い出しそうだから。
今日は参考書を買いに行くのは難しそうだな、と思いながら二つ目のシュークリームに手を伸ばした。


2016/06/10