最近は学校に行くのが待ち遠しい。誰かと会話を楽しむなんて何年ぶりだろう。
門田とより親しくなってから、学校は静雄の楽しみの一つとなった。前の晩から明日はどんな話をしようと考えるだけで心が浮足立ってくる。
数日前に、彼は静雄にとって特別な存在だと友人から教えられた。
確かにそうだ。門田は静雄と壁を作らずに話してくれる数少ない存在だし、何より一緒にいると落ち着く。彼の人格のせいだろう。
声のトーン、物静かな所作に考え方。
門田の全てが静雄を落ち着かせた。
だから最近は臨也と一悶着あってイライラしているときは、門田のところに行くようにしている。
静雄にとってその感情は恋愛ではなく、親愛だと思っていた。
彼女にとって恋愛と親愛の区別がよくわからなかったのだ。
キスしたいと思うことが恋愛感情かな?ぐらいの認識だった。
つまり静雄にとって門田は最高の親友だったのである。
「シーズちゃん。今帰るところなんだ?奇遇だねー。俺もだよ。」
図書館で時間を潰していたら下校時刻になってしまった。思いの外長居してしまったようだ。
そんな己を静雄は心の中で盛大に殴った。
さっさと帰ってればこいつの顔見なくて済んだのに―!!
とりあえず無視しよう。横で貼り付けたような笑みを浮かべる宿敵をなるべく視界に入れないように、静雄は下駄箱からローファーを取り出した。
「あ、シズちゃんあんま期待しないほうがいいよ?ドタチンって小動物系の可愛い子がタイプだから。ドタチンの彼女もそういう系だしね。」
ぴたり。
ある言葉に静雄の動きが止まる。
彼女?
今臨也は門田に恋人がいると言っただろうか。
「まあドタチンも人がいいからね。」
考えてみれば普通のことだ。門田は顔もいいし、人を惹きつける魅力がある。
そんな彼に恋人がいても何の不思議もない。
ではなぜこんなに―。
こんなに息苦しいのか――。
「シズちゃんも気をつけなよ?また傷つけたりしないようにさ。」
“また”
この一言で静雄の忌ま忌ましい記憶が蘇った。臨也は明言していないが、彼女の忘れられない過去のことを言っているのは明白だ。
あの時も今のように夕日で一面真っ赤に染まっていた。
その中に優しかったあの人が倒れて――。
「化物の君が誰かを好きになるなんて――!!」
臨也の揶喩が止まった。
しかし静雄の頬を濡らす涙は止まらない。
「…ぇ…シズちゃん、」
「門田君からも今度頼んでくれない?僕まだ―!?」
臨也が静雄に手を差しのべようとしたとき、玄関に新羅と門田が来た。
二人とも静雄を見て固まっている。
門田と目があった瞬間、静雄は一目散に駆け出した。
101007
臨也ファンの方すみません;
いや、私も臨也好きです。でも付き合うならドタチンとがいいです←
そして少女漫画展開で申し訳ないです。でも少女漫画ほとんど読んだことありません。
活路が見えてきたぞ!
もう少しお付き合いください!