何気に仲いいよね



一般的な高校生活は、登校、授業、部活もしくは下校というふうに時間が過ぎていくだろう。しかし、来神高校は違った。

「死ねノミ蟲ぃぃ!!」
一般的には非日常で、来神高校では日常的な追いかけっこが今日も行われていた。生徒も慣れたように、廊下の端に移動して巻き込まれないようにしている。
「静雄ー。うるさいよー。」
「悪い新羅。で、ノミ蟲見なかったか??」
「ねぇ聞いてた??僕さっきうるさいって言ったよね??」
新羅が騒音に耐えかねて注意するが、まったく効果がなかった。
静雄と臨也の追いかけっこに口出しできるのは、新羅と門田の二人しかいない。他は関わり合いになりたくないので、声をかけない。入学当初は止めに入ろうとする生徒が何人かいたが、全員キレた静雄の犠牲になり、誰も声をかけなくなった。中には静雄の鎮静化に成功した人もごく僅かにいたが、なぜか次々と傷害事件に巻き込まれた。(その後から静雄に関わらなくなっていった。)

「ちょっと教科書借りただけじゃん。シズちゃんは心が狭いなぁ。」
廊下の角から、騒動の当事者の一人である臨也が顔を出した。すかさず静雄が近くにある椅子を投げつけたが、臨也には当たらなかった。
「まったく、シズちゃんて本当に短気だよねー。そんなんだからUFOキャッチャーもあんなに下手くそなんだよ。」
―・・・・・・ん??
「関係ねぇだろ!だいたい手前は俺がいいところに動かしたヤツ横取りしてっただけだろ!!」
「ああいうのは集中力が大事なんだよ。シズちゃんみたいに取れないからってすぐイライラしてたんじゃ、何も取れないよ。俺は何回やってもシズちゃんには勝つ自信があるね。

「―ちょっといいかな??」

どうしても気になることがあって、新羅は二人の会話に割り込んだ。正直すぐにでも遠くに避難したかったが、これだけは確かめたかった。
「君たち二人でゲーセン行ったの??」
「・・・?あぁ、昨日な。」
昨日・・・日曜日だ・・・。
「・・・・・・まさか遊びに」
「死ぬか??」
「だよねー。」
静雄と臨也といえば仲の悪さで有名だ。そんな二人が一緒に遊ぶなんて、天変地異が起こるに等しいことだったので、静雄の返事に新羅は安堵のような感じていた。
しかし、それもすぐに消えさった。

「俺はこいつとゲーセンで勝負してただけだ。」
「そうそう。まぁ俺の圧勝だったけど。」
「だから手前は―!!」

それは仲良く遊んでいたことになるんじゃ・・・とは誰も言えなかった。

「じゃぁ負けを認めないシズちゃんのために、もう一度チャンスをあげるよ!土曜日の祭りで金魚すくい勝負しよう!!」
「あぁ!?やってやろうじゃねぇか!!」
「じゃぁ集合場所は――」

静雄、気付いて。それってデートだよ。
―とは言わなかった。幼なじみの行く末を案じる一方、二人の展開に興味があったので、新羅は心の中だけで呟いておいた。








「浴衣着てきてね。どっちが似合ってるか勝負しよう。」
「よーし望むところだ!!」
(臨也・・・素直に浴衣姿が見たいって言えばいいのに。・・・無理か。)






100808
無自覚バカップル(?)な二人を書きたかったんです・・・。
誰か文才くださ(ry
傷害事件の黒幕はもちろん彼です。

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