地獄少女2期のパロであってそうでない←
臨也:人気モデル
静雄:臨也の妹
「なあ臨也・・・話があるんだ・・・。」
「なに?シズちゃん。」
食器を洗っている臨也に、緊張した声がかけられた。
その常にない様子に違和感を感じながらも、臨也は水を止めて体を妹のほうへ向ける。
そもそも彼に妹より優先させるものなどないのだ。
この間も、妹のためにモデルをやめてもいいと言ったら、全国のファンが悲しむと呆れながら説教をされた。
「昨日・・・どこ、行ってたんだ・・・??」
「・・・え?」
昨日―・・・昨日は妹に群がる害虫(臨也にはそう見える)を駆除していた。
しかしそんなことを言えば妹が今までのように接してくれなくなるのは必須だ。
軽蔑の視線で見つめられるなど耐えられない。
ただでさえ駆除の方法が方法なのだ。
「昨日・・・って、仕事だったからスタジオに・・・」
「これ、なんだよ・・・。」
最悪の結末だけは避けたいと口を開いた臨也の声を静雄が遮った。
これ、と言うその手には可愛らしいフリルのワンピースが握られていた。
どこにでもありそうなワンピース。
ただ、それは静雄が着るには少し大きかった。
「それ・・・は、」
「俺、俺知ってるんだぞ・・・!お前が俺に告白してきた奴に女装して近付いてること!!なんでだよ!?自分より容姿が劣った妹に恋人が出来るのがそんなに気に食わないのか!?」
「な・・・!」
ばれていた・・・―?
しかしそれよりも臨也には妹の誤解のほうが衝撃だった。
彼女の言い方ではまるで、自分が静雄に嫌がらせをしているみたいだ。
そんなことはするはずがない。
ワンピースをぐしゃぐしゃに握りながら、静かに涙を流す静雄に心が痛む。
臨也は違うと呟きながら静雄に近付いていった。
「なにが違うんだよ!?」
「俺がシズちゃんに嫌がらせなんかするはずないよ・・・」
「じゃあ何で・・・!」
涙で濡れた瞳が臨也を射抜く。
あぁ、妹が自分だけを見ている―。
他でもない自分を!!
臨也以外を映していない強い視線に、臨也の思考は停止した。
変わりにもう一つの回路が活動しだす。
今まで必死に押し込めていた、禁断の回路が静かに動きだした。
あの女装もなにもかも妹を護るためだ。
そうだ、全て妹のため。
全ては自分が静雄を―
「愛してるから。」
ぽつりと呟かれた臨也の言葉に、静雄の体が強張った。
そのせいか、喉も震えず、否定の言葉すら紡げない。
ただただ立ちすくむ静雄との距離を急速に縮めつつ、臨也は今まで溜めていたものを吐き出すように捲くし立てた。
「愛してるんだ、シズちゃん。君のことは俺がよく知ってる。誰よりもだ!だって生まれてからずっと一緒だったんだからね!!女装して君に言い寄る男を誘惑したのも君を護るためだよ。じゃないと君が連れて行かれちゃうだろ?それはだめなんだ。シズちゃんは俺から離れちゃだめなんだよ。俺といないと君が危険な目にあっちゃうだろ?だって君を護れるのは俺だけなんだから!!」
強い力で自分の肩をつかんで恍惚と語る兄に、静雄は狂気を感じた。
早く臨也から離れないと。
しかし強張った体は静雄の言うことを聞かなかった。
なぜかヤンデレになってしまう\(^q^)/
補足:シズちゃんに告白した男子は女装臨也(甘楽 笑)に誘惑されて、他に好きな人が出来たとシズちゃんをフッていました。