last stage




転校して六日目。
大助は、祐喜と有利、アンジェリーク、りくと昼休みに弁当を食べていた。
明日、転校するという事を言わなければならないからだ。

「丹羽、どうした? 元気がないけど」
「そうなんですよ、深川先輩。丹羽が最近元気がなくて」

りくの問いに有利が同意する。
有利は大助の顔を覗き込む。

「丹羽先輩、大丈夫ですか?」
「具合でも悪いの?」

祐喜とアンジェリークが大助に訊ねた。
大助は慌てて首を振る。

「ううん。大丈夫だよ。僕は元気だから」

刹那――大助の目から、冷たい何かが流れた。

「あれ? どうしたんだろ? 僕、元気なのに……」
『大助……』

身体を共有しているダークは理解した。
何故、大助が泣いているのかを……。

「丹羽、大丈夫だよ」

りくが、優しく大助の頭を撫でた。

「オレ、先生から聞いたんだ。丹羽は明日、転校するんだろ?」
「!? ……はい」

りくの言葉に、祐喜や有利、アンジェリークは驚いた。

「オレらの事は大丈夫。みんなで仲良くやっていくからさ」
「深川先輩……」
「そうだぜ、丹羽!! 短い間だったけど、オレらは楽しかった。オレらはずっと友達だ」

有利が、そうだろ? と祐喜とアンジェリークに訊く。
アンジェリークは、はい、と笑顔で答えた。
祐喜は涙を流しながらも、必死に頷いた。

「深川先輩、渋谷君、桃園君、アンジェリークさん……みんな、ありがとう」

大助は、最高の笑顔で笑った。
ダークは、そんな大助を見て、微笑んだ――。




次の日、大助は皆に別れを告げて学園を出た。
祐喜のトラブル吸引体質については心残りがあったが、有利が、何とかする、と宣言していたので大丈夫だろうと思った。
……いや、きっと有利が祐喜を助けるだろう。
渋谷有利はそんな男だ。

大助が歩いていると、ダークが話し掛けてきた。

『大助』

(何? ダーク)

『お前、少し身長が伸びたかもな』

(そうかな? 全然変わらないと思うけど……)

『……とりあえず、早く帰ろうぜ』

(?? うん。帰ろう)

大助は疑問に思いながらも走り出した。
ダークは、大助に聞こえぬよう心の中で呟いた。

『お前は心の身長が伸びたんだ。良い経験をしたな、大助』

二人は、また一つ成長したのだろう――。




後日、“炎の鍵”は、有利の元に帰ってきた。
【大切にしろよ】というカードと共に――。




*fin*




Asuka学園といいつつも、あまりキャラが出ていない事実(←)因みに、これを書いた時期は3、4年程前なので、登場キャラも今のあすかとは全然違います。その辺はご了承ください……。

2007.11.04 完結
2010.04.06 加筆修正

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