4th stage




転校して四日目。
大助はようやくクラスメイトと打ち解けた。
特に大助に親切にするのが、大助の前の席の男子生徒と右隣の席の女子生徒だ。

「丹羽、次は化学実験室だ。オレが案内するよ」

大助の前の席の男子生徒である、渋谷有利。
彼はよく大助に教室を案内していた。

「ありがとう、渋谷君」

大助がニコッと笑うと、有利は、うぅっ、と唸った。

「なんでオレの周りに居る奴らは、美形とか可愛い顔してる奴らばっかりなんだよ!?」
「し、渋谷君…?」

大助が疑問の目を向けると、有利は、はっとなった。

「悪い……現実逃避してた」
「だ、大丈夫だよ。それより急ごう? 授業が始まるよ」
「そうだな。よし、こっちだ、丹羽」

実は、今夜、下見で学園に潜入するために地図は把握しているのだが、怪しまれない為にも有利について行くことにした。
これ以上怪しまれては、仕事を終わらせる前に帰らなければならなくなる。
潜入するって大変だなぁと改めて大助は思った。




昼休み。
大助は右隣の席の女子生徒に声を掛けられた。

「丹羽君、お昼ご飯、一緒に食べない?」
「ご、ごめん。僕、今日は先客がいるから」
「そう? それじゃあ、また食べましょうね」

外国から来たという、美少女のアンジェリークは微笑んだ。
その微笑に照れながら笑い返すと、大助は弁当を持って教室を出た。
先客がいるというのは事実だ。
実は今日の朝食の時、祐喜に、一緒に弁当を食べましょう、と誘われていた。
大助が約束の場所に着くと、祐喜が先に居た。

「あ、桃園君!!」
「!? 丹羽先輩! 来てくれたんですね」

大助の姿を目にした瞬間、祐喜は微笑んだ。

「当たり前だよ。僕は約束は守る主義なんだ」

大助の言葉に、ダークが笑い始めた。

(なんでダークが笑うんだよ!!)

『だって、おもしれぇじゃん! アハハ、大助お前最高!!』

大助は意味が解らなかったが、とりあえず、ダークを放っておく事にした。
祐喜と二人で弁当を食べていると、後方から聞いたことのある声がした。

「お? 丹羽!! 弁当食ってるのか?」
「渋谷君!! うん。そうだよ」

有利の問いに大助は答える。
有利は少々驚いていた。

「ふうん。もう仲が良い後輩が出来てたんだな」
「あの、俺と友達になってくれませんか?!」

祐喜がすかさず有利に言った。
有利は何事かと思い、まじまじと祐喜を見た。
祐喜は何かを期待する瞳で有利を見ている。

「渋谷君、友達になってあげて。桃園君、友達が少ないらしいんだ」

大助が小声で有利に耳打ちすると、なるほど、と有利は頷いた。
そして、いいよ、と笑って応えた。

「やった! ありがとうございます! 雪代、咲羽、(以下略)」
『また同じこと言ってるよ、アイツ』

ダークが呆れたように言うと、大助は苦笑いをした。
三人で弁当を食べ始めると、ダークが、大助を呼んだ。

(何? ダーク)

『氷狩の美術品の気配がする』

(えっ!?)

大助は辺りを見渡す。
この辺に居るのは、大助と、楽しそうに談笑をしている有利と祐喜だけだ。

(もしかして、渋谷君か桃園君が……)

『その可能性は大だな』

ダークの肯定に、大助は複雑な気持ちで弁当を食べ終えた。




to be continued...

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