3rd stage




りくに一通り寮を案内してもらった後、大助とりくは食堂に来た。
食堂では、大勢の生徒が夕食を採っていた。

「うわぁ、すごい人数だ」

人数の多さに大助が思わず言うと、りくは苦笑した。

「百人ぐらいしかいないけど、丹羽にとっては多いかな」

りくの言葉に、大助はもう一度驚いた。

大助とりくが席に着くと、向かい側に座っていた少年が話しかけてきた。

「深川先輩、その人は?」
「後でみんなの前で紹介するよ」

りくがそう言うと、少年はじっと大助を見つめる。
大助はその少年の視線に疑問を抱いた。

「俺は今訊きたいです」

少年はりくに詰め寄った。
思わずりくは後退りをする。
そして、少年の気迫に負けた。

「…判った。紹介するよ」

りくは大助を紹介した。
大助は、よろしく、と笑う。
そして、今度は少年を紹介し始めた。

「彼は桃園祐喜君。丹羽より一つ下の一年生だ」

祐喜は、よろしくお願いします、と丁寧にお辞儀をした。
慌てて大助もお辞儀をした。

「仲良くしろよ、二人とも」

二人に微笑しながら、りくは席を立った。
先程、三年生の寮生に面会人がいると呼ばれたのである。
残された大助は、どうしようと悩む。

「丹羽先輩」
「え、はいっ」
「……後輩相手にそんなに堅くならないで下さいよ」

祐喜が苦笑しながら言った。
大助は顔が真っ赤になる。

「えっと……、それで何かな?」
「俺と友達になって下さい」

……何だって? と思わず訊きたくなるのを抑えた。

「俺、今まで友達出来たことがあんまり無かったんです。だから、お願いします!!」
「えっと……」

この時、大助はようやく祐喜の言葉を理解出来た。
祐喜が誰よりも早く、大助の事が知りたかったのは、誰よりも早く友達になるため。
そして大助をじっと見ていたのは、大助がどういう人物か見分けるためだからだ。
大助は迷ったが、ダークが『友達になっとけ。ターゲットについて情報が得やすくなる』と言ったので、肯定の意を示した。
すると、祐喜の顔は、ぱぁっと明るくなった。
そして、腕を高く挙げ、叫んだ。

「やった! ありがとうございます!! 雪代、咲羽、犬! 俺、友達出来たぞ!!」

あまりの喜びように、大助は戸惑ったが、犬と呼ばれた人は名前を呼んでもらえなくて可哀想だなぁ、と考えた。




ハイテンションだった祐喜と食堂で別れた後、大助は部屋に戻った。
初日にして様々な事があったために、かなり体力が疲労していた。
あまりの疲労の度合いに、ダークに笑われたぐらいである。
大助は布団に潜り込んで、先程の祐喜を思い出していた。

(桃園君、すごく嬉しそうだったね)

『良かったじゃねぇか。こっちでも友達出来て』

(うん。でも、一週間後に別れる時、淋しいなぁ……)

大助は布団を頭まで掛ける。
これからの事を考えると、つらい。
そんな大助に、ダークは言葉を掛けた。

『大助、大丈夫だ』

(ダーク、どうして??)

『お前は盗るのに失敗して、一週間以上ここに居るんだからな』

クククッと笑ったダークに、大助は怒った。
布団を捲り、居るはずの無いダークがそこに居るかのように心の中で怒鳴る。

(ダーク!! 僕は失敗しないよっ)

『よし、その意気だ』

ダークの突然の言葉に、大助は思わず訊き返す。

(え?)

『その意気で早くターゲットを見つけて、早く帰ろうぜ。笑子達が待っているあの家にな』

(ダーク……うん。頑張るよ)

どうやら、ダークは、祐喜と友達になれ、と言った事を後悔しているらしかった。
大助は、ダークが自分の事を考えて言ってくれたんだと嬉しかった。




午後十時。大助は就寝した。




to be continued...

top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -