「夏は暑いね〜」
「何を今更言っている。夏は暑いに決まっているだろう」
「もう、夢も希望もない台詞ね。昌浩が聞いたら呆れるわ」
「何故そこで昌浩が出てくるんだ」
「だって騰蛇には『昌浩』が一番だもの。昌浩に嫌われたら、全てお終いでしょ」
「言わせておけば…お前は他に考えることはないのか」
「騰蛇を弄る以外に考えることはないわ。あとは今、どうやって暇を潰すかを考えているけれど」
「……はぁ」
「ところで、何でもっくんじゃないの? お蔭で暑くて困っているんだけど」
「なりたいのは山々だが、なれない」
「へ? そんなこともあるの?」
「いや、初めてだ」
「ふーん…。じゃあ今のうちに色々楽しもうよ!」
「は? 何を楽しむんだ」
「もっくんの姿じゃ出来ないことよ。まずは……何をしよう?」
「考えてなかったのか…」
「とりあえず、夏っぽい何かをしよう!」
「夏か……」
「涼しいことがしたいなぁ…。たらいに水を入れて、足を入れようか!! はい、決まったら即座に行動! 騰蛇、たらいに水を入れてきて」
「結局俺が力仕事をするのか…」
「もっくんの姿じゃ出来ないでしょ?」
「間違ってはないが、おかしいだろ」
「口より手を先に動かす!」
「……仕方ない。入れてくる」
「ありがとう、騰蛇」
****
「はぁ〜気持ちいい」
「良かったな」
「もう、拗ねないでよ」
「別に拗ねていない」
「拗ねてるし。……明日は夜に昌浩を脅かしに行こうかな」
「そんなことはさせない。俺が止める」
「いいじゃない、別に。肝試しは夏の定番行事なんだから」
「寝込みを襲うのと肝試しは別だぞ」
「……何で解ったの?」
「遥の考えは単純だからな。第一、前もそう言って昌浩の寝込みを襲っただろうが。同じ手は二度も食らわん」
「……つまんなーい。ま、いいや。私は騰蛇が隣にいてくれるなら昌浩の寝込みを襲わないよ」
「……(複雑なんだが)」
〜キミが隣にいる夏〜
(ずーっと一緒にいてね)
紅蓮の口調がさっぱり分かりません。果たしてヒロインの正体はいかに!?(←