「ユーリ、海に行きたい!」
「勘弁してよ…。俺はヴォルフラムに追いかけられて疲れてるのに」
「もう、だらしないなぁ。ユーリはまだ十六でしょ? 若者じゃん!!」
「…遥って何歳だっけ?」
「ん? 私は七十五歳だよ」
「あー…ソウデスカ」
「アハハ、ユーリってば異世界人みたい!」
「いや、異世界人だから! れっきとした地球人だから!」
「地球ってどこ〜?」
「はぁ…。もういいから、海に行こう」
「わーい! ユーリありがとうっ」
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「──って海に来たのはいいけどさ、一体何する気? 普通に普段着のままだけど」
「え、海といったら潮干狩りでしょ!?」
「普通は海水浴だよ、絶対。しかも潮干狩りは春だし」
「とにかく、潮干狩りしよーよ!!」
「はいはい。潮干狩りね」
「じゃあユーリはこのバケツをいっぱいにしてね」
「はぁ!? このバケツデカすぎっ」
「私はこっちのバケツ〜」
「うわっ、もっとデカい!?」
「どっちが早くバケツいっぱいにするか、競争ね!」
「いや、さすがにそれは俺も気が引ける……って早ッ!?」
「とりゃー!!」
「ちょ、タイム!!」
「はい、終わり〜。ユーリはどれくらい取れた?」
「ぜ、全然……」
「もう、ノロいんだから。じゃあ私の勝ちだね!」
「完敗です……」
「ふふふ、じゃあバケツはユーリが運んでね。罰ゲームだよ」
「え、両方!? かなり重いんですけど!」
「負けたのはユーリだよね?」
「(その笑みが恐ろしい…)はい」
「じゃあよろしく! あ、ムラケン!! 血盟城までおぶってっ」
「村田にも魔の手が来たか…」
「ユーリ、何か言った?」
「何も言ってませーん!!」
〜真夏の遊び〜
(暑いようで寒いよ…)
腹黒いヒロインとイジられる陛下(笑)
因みにこの後、ムラケンにもイジられる陛下は哀れです…。