▼ キド妹カノ夢【SS】
デフォルト名:ツバキ(椿)
※キドさんばっかり
※キド視点
「――うるさいっ、カノの馬鹿!!」
バッターン、と派手な音を立てて部屋から出て来たツバキに、俺は溜め息をついた。どうやらカノと痴話喧嘩でもしたらしい。
「痴話喧嘩じゃないっ」
「痴話喧嘩だろ、お前ら付き合ってるんだから」
「うっ……お姉ちゃんの馬鹿ぁ……」
ソファーの上で膝を抱えているツバキの前にお茶を置くと、顔を上げて少しだけ笑った。
「ありがと」
「で? 今回はどうした?」
カノがまだいるはずの部屋のドアに目をやって、丸投げするな、と思う。ツバキは大抵俺と話せば機嫌が直るので無理も無い判断だが、俺を巻き込むな、というのが本心だ。
「カノがね、ひっどいの!」
「それはいつもだろう」
「そうじゃなくて、何か……私服にうるさい」
むくれた顔をするツバキの服装は、確かに露出が多い。俺からすれば私服くらい好きにしろ、なのだが彼氏であるカノにとっては大問題なのだろう。
「いいじゃんねぇ、別に。言い寄られても断るし……ていうかカノ以外好きにならないし……」
言ってることは可愛いが、多分そういうことではない。
後カノは盗み聞きしないで直接話せば良いと思う。ドアをバンバン殴るのはやめて欲しい。
「あー……要するに、あいつはお前のことを見られたくないんだよ」
「……へ?」
「そこは男の気持ちの問題だからな……難しいとは思うが解ってやれ」
「そっかぁ……そっかぁ」
何やら先程までの怒りは何処かへ消えたらしく、妙に嬉しそうに笑うツバキは、お茶を一気に飲み干すと、
「ありがと、お姉ちゃん! 仲直りしてくる」
……毎度毎度くだらない痴話喧嘩を持ち掛けられて、それでも話を聞いてやってしまうのは、俺が世話焼なのか。
結局仲の良い二人のいる部屋のドアを見て、小さく笑った。
2013/06/21 23:01prev|
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