【1059taisen】
琥珀色と花火の宴
)理科教師な段蔵先生×社会教師な一益先生の夏休み



【◎◎市 花火大会】
開催日時:△月×日 19:30〜
特設会場:○○川河川敷―――…

(…花火大会…か)

夏の夕暮れ刻。
激しい太陽の威勢が多少は落ち着く頃を見計らい、一益は夏休み中の見回りの意味も込めて夕涼みに出掛けていた。
とはいえ最近の暑さは夕涼みの風情も凌駕したもので。
じったりと蒸されて汗を拭うばかりな事に、一益の嘆息は止まず。
予定よりも早いが、もう戻ってしまおうかと考えていた折。
ふと、塀に貼られていたポスターが目に飛び込んだ。
この辺りで開催される規模としては、最も大きな花火大会。
昨年からこの街に住む一益も当然ながら覚えてはいたが、今年の開催日時に関してはポスターを見るまで知らなかった様子。
日付は、今週末。

(…花火は嫌いじゃないが…)

いや、どちらかと言うならば花火見物自体は好ましい部類。
積極的に見たいという己の気持ちを一益は理解しているのだが。
人で埋め尽くされる会場の事を思うと、どうにも気分が萎え。
結局は自室の窓から花火を見物しようとしたものの、高層マンションに阻まれて去年は申し訳程度の欠けた花しか見れなかった。

「…そういえば」

去年の残念な景色を思い返して、一益が嘆息を深める前に。
気付いた事がある。
その、高層マンションというのは今居る場所からそう遠くない筈。
行ったところで、どうするという訳ではないのだが…夕涼みの続行という事にして、一益は高層マンションの方へ足を向け始めた。

―――…

「…やっぱり、良いな」

マンションの正面玄関からは少し距離を取った位置で、一益は外観を下から上へ見上げてゆく。
良い、というのは。
それこそ外観でもなく、正面玄関から窺える内装でもなくて。
一益に言わせれば向いている窓の方向と、その先の花火大会の会場まで遮る高さの建物が無いという点の話である。
上層階の住人なら、問題無く自室で花火見物が出来るだろう。
ふうっ。
暑さとは別の嘆息ひとつ。
今年は観念して人ごみに紛れながら花火を見物するしか―――

「…貴様…」
「っ、と。…あんた、そんな後ろの取り方をするんじゃないぜ」

踵を返して元来た道へ振り向いた一益の目の前には。
何時から其処に居たのか、段蔵が静かに佇んでいた。
夏休みに入ってからは一度も会っておらず、突然の遭遇。
心臓が跳ねたのは、背後の不覚に驚いただけだろうか。
揺らぐ心中を気取られぬ様、一益は努めて普段と変わらぬ口調で段蔵の驚かしを諌めてみせる。
そして一益の口が奇遇という旨を続かせようとするよりも先に。
段蔵が口を開く。

「…何の用だ…」
「うん?いや、用も何も…あ」
「…何だと…?」

短いやり取りだったが、段蔵も一益も状況の理解が進んだ。
明確に表情には出ていないが、段蔵の様子は明らかに思い込みを先に口にした事を悔いている様。
訪ねて来たと、思ったのだ。
だが一益が此処に居るのは偶然であり、訪問ではない。
つまり、この食い違いから判明してしまった事といえば。

「…あんた…このマンションに住んでるんだな」
「…ち…」
「舌打ちする事はないだろ、ふうん…そうなのか…」

教職の身で、このクラスのマンションに住んでいる辺り。
やはり段蔵は他の素性を持っていると思われるが、今の一益は余計な詮索をするつもりは無い。
一益が今一番、気になるのは。

「因みに、何階なんだ?」
「…それを貴様に教える必要は、何処にも無かろう」
「そう言うなよ。なっ」

暫しの間を置き、渋々ながら最上階だと白状した段蔵に。
一益としては珍しく強いる形で、週末の来訪を約束させ。
涼風の如く微笑んだ。

―――…

ヒュルルルルル…ッ…
ドドーン…!

「お、始まったか…思った通りだな、綺麗に見えるぜ」
「下らぬ…」

週末の夜、一益は取り付けた約束を違える事無く花火見物の為に段蔵の部屋を訪れていた。
押し掛けたところで拒絶も想定したが、存外すんなりと。
段蔵は一益を迎え入れ。
いそいそと勝手にカーテンや窓を開ける一益の事も、段蔵は呆れながら好きにさせていたところで先陣を務める花が天上に咲く。
天井の間接照明だけが灯された室内は、花咲く度に花火の色で一益の事も段蔵の事も照らし出す。
満足気な一益に対し、段蔵は全く興味無しといった風だが。

「そう言わずに、あんたも見ろよ。勿体無いぜ」
「フン…金属の炎色反応を見たところで、何が愉しい」
「無粋な言い方をするなって。…あと、それから」

カシュッ。

「何だ?」
「…まあ、手土産だから構わないんだが…一応、一言くらい断りを入れてから呑んだらどうだ」

折角の特等席にも関わらず、花火を見ようとしない段蔵に。
少しは夏の風情を感じたらどうかと一益が振り返ると。
必要最低限のシンプルな家具しか見当たらない部屋の中。
窓側に寄せて置かれたベッドの端に腰掛けて、一益が持って来た缶ビールを開けていた。2本目。

「…わりと呑むんだな」
「呑まねば、やってられん」
「あんたにしては稀な台詞だ、急に雨が降り出さなきゃいいが」

揶揄する一益に付き合わず。
段蔵は琥珀色の液体を喉へ流し込み、3本目に手を伸ばし。

「…1本くらいは俺の分も残しておいてくれよ」
「クク、さてな…」

付き合う気が無いというのなら、それはそれで仕方が無い。
一益もまた段蔵からは目線を外して次々と打ち上がり続けている夜空の花へと観賞の目を向ける。
大なり小なり色取り取り。
花火の中でも花形の演出であろうスターマイン。
序盤で繰り出す辺り、観客を惹き付け留める意味合いか。
確かに連射打ち上げではあったが、クライマックスという雰囲気ではなく今からの盛り上がりを予感させる華々しさで。
豪奢に咲く花々の宴、一益は眩む様にして目を細めた。

「…おっ」

スターマインの輝きが失われ。
空に刹那の静寂が訪れた後、ひとつの大輪が上がり。
大きさを競い合う様、円の極みを魅せる花が続けて打ち上がる。
一輪、また一輪の見事さ。
どうやら一益の好みに合致するのは、この菊星らしい。
食い入る様に闇へ咲く花を見詰め、すっかりと心奪われて―――

…ギュウ…ッ…

「…っ…おい、何だ」
「フフ…」

有り体に言うならば出来上がった状態と言うのか。
しかしそれでも、花火に魅入っており無防備な背中とはいえ一益に気配を悟らせなかったのは流石と言うべきなのか。
背に倒れ掛かる様にして、段蔵は一益の身体を抱き締め。
一益の左肩に顎を乗せると表情を窺い、にたりと笑む。
先程までの態度とは異なり僅かに蕩けた赤は…自分に「構え」と。
そんな甘えた赤は初めてで、一益は花火を忘れ魅入りそうになる。
抱き締められる腕の擦り寄せも、戯れる小動物の様。
だが、その原因と言えば。

「…あんた…まさか本当にアレを全部、呑んだのかよ」

段蔵から感じられる明瞭な酒気。
一益が、背より抱き付く段蔵をどうにか制して室内に目をやると…持って来た本数と同じだけ缶ビールの空き缶が転がっていた。

…スル…ッ…

「おいおい、待てよ…!」
「クク…」

琥珀色が総て段蔵の喉を通った事を悟り、呆れる一益の。
シャツの裾を捲り上げて、段蔵は一益の腹筋をついとなぞる。
下から上へ、指を胸元へ寄せると乳首を弄り出して。

クニ、クニッ…きゅッ…

「このッ…酔っ払い、が…」
「まさか、何も無い等と思っていた訳ではあるまい…貴様の望みに応えてやろうというだけだ…」
「くうッ…だとしても盛るなら、せめて花火が終わってからにしてもらいたいんだが、な…っ!」

ギュウ…ッ…!

「ンんっ…!…ふッ…あ…っ…」

右ばかりを弄られている、と。
意識を向けていたところで左を強く摘まれてしまい、一益の口からは痛み混じりの嬌声が漏れ。
気を良くしたのか、それとも酔いで加減がままならないのか。
段蔵は一益の両の乳首を強めに捏ね回し、嬲りだす。

キュウッ…ぐに、くにっ…
くにッ、ギュウゥッ…!

「は、あァッ、やめ、ろ…っ!」
「フフ…そんなにココが悦いか…ではコレも気に入るだろう…」
「なに、をッ…」

乳首を嬲る指が離されたが。
段蔵の言い種からして安心して良いとは、とても思えない。
某かの準備をゴソゴソと始めた段蔵が一益の腰を押さえ込んで逃がすまいとしている様子からも、それは察する事が出来。
我が身に何が起きるのか身構える一益に、段蔵は改めて胸元へ手を滑り込ませながら両の乳首に指ではない何かを宛行わせると。
テープと思しきで貼り付けられ。

「…!…コレ、は…!」
「言い忘れていたが両隣は"空き"だ…ククッ、好きなだけ鳴いて構わんぞ…花火よりも、な」
「そういう問題じゃ…!」

カチ…ッ…
…ヴヴッ…ヴヴヴヴヴヴッ…!

「ふぁッ、あァッ…は、ア…!」

一益の両乳首に貼り付けられたローターが、「強」で振動を始め。
慎ましやかな先端が指とは段違いの激しさでいたぶられる。
強過ぎる刺激に身体を捩り逃れようとするが腕も腰も段蔵に囚われており、喘ぐ事しか出来ず。
一益自身、認めたくはないが痛みよりも快楽から涙が溢れ。
ほろりと零せば夜空に大きく咲いた牡丹星の花火が、ぼうと歪む。
潤む一益の瞳を覗き見て段蔵の嗜虐心は滾々と湧き上がり、テープで貼り付けている上から指でローターを押さえ付けた。

ヴヴヴ…ヴヴヴヴッ!

「やめ…っ…やめ、ろッ…!…ぅあッ、あァ…っ…アんッ…!」
「随分な悦がり様だ…フフ、となれば勿論…」

カチャ、カチャッ…ジイィ…
…シュル…ブル、ンッ…!

「…っ、く…」
「元気な事だな…夏休みに入って以来、相手をしていなかったが…溜めていたのか?ククッ…」

段蔵は一益のベルトを外すと、嬉々として下肢の衣服を払い始め。
ズボンを下着もろとも引き下ろすと、上を向く自身が露になる。
ローターの刺激に悶える度にビクリと脈打ちながら跳ね、鈴口には先走りによる溜まりが出来ている事まで晒された一益の自身。
その有様に、蕩けていた段蔵の赤が本来の姿を戻し爛々と輝く。
赤の中には…ある種の恍惚も含まれていると見えるのは。
今しがた打ち上げられた、花火の赤が重ねられた所為なのか。
ちろりと舌なめずりをして段蔵は逞しく屹立する一益の自身に手を伸ばすと、熱さと硬さを確かめる様に優しく竿を握り寄せた。

「はッ…さわ、る…な…!」
「フフッ…良い熱さだ」

シュ、シュッと。
手淫とまではいかないが、段蔵が軽く一益の自身を扱けば。
僅かな悦の刺激にも反応してしまい、鈴口に溜まっていた先走りが遂にトロトロと零れてしまう。

ヴヴヴヴヴ…ッ…
…にちゅッ、くちゅ…くち…っ…

「く、あッ…あアッ…んぅ…!」

胸元への刺激はそのままに、新たな悦が加えられ。
溢れた先走りに構う事無く扱かれるものだから、クチュクチュと厭らしさを煽る水音が響く。
花火が上がる轟音よりも、ずっとずっと耳に残る音。
微々たる音の―――筈なのに。

つぷッ…つぷ…ぐりっ…!
…ガシッ…!

「ふッ…う、く…あァッ…!」

段蔵が一益の自身を玩び始めた時から、背から腰回りは囚われたままだが一益の腕は自由が叶う様になっていた。
出来る事なら、それで段蔵を振り解きたいものなのだが。
足腰の力が抜けた一益は、反射的に身体の支えを欲し。
腕を開いて、開けた窓のサッシと窓際の壁に手を付く事で。
鈴口を撫でる指が、円を描いて口を拡げようとする刺激にぶるりと身を震わせながらも耐える。

「はッ…ア…こ、の…」

今更、な話。
周囲にはこの高層マンションより高い建物は無いものの。
外と呼んでも差し支え無い場所で、一益は自身を露にしており。
上がる花火で照らされる度に羞恥…だけではなくて。
自分の内で蠢く性衝動の疼きも、一益は感じていた。
そんなモノが、己の中に。

…にゅるッ…ぬちっ…

「っ…!…おい、これ以上…!」

否定し切れない一益の心の葛藤など知ってか知らずか。
一益の自身を玩ぶを片手に任せて、もう片方を尻に回したかと思うと一益の後孔に触れ寄せる。
先程まで鈴口を撫でていた指先は先走りに濡れているらしく。
滑る感覚と共に辿り着かれると、入り口をくにくにと。
ヒダのひとつひとつを丁寧に解す様な指使いで弄られ。
それは決して、強い力が伴われているという訳ではないのだが…全身の何処にも力を籠めきれない今の一益には充分で。
後孔の窄まりはキュウと閉じて段蔵の指を拒否する事は無く。
寧ろ、ヒクついたヒダの蠢きは何かを待ち望んでいる様。
だが身体が望もうと、一益の想いとしてはこれ以上責められる箇所を増やされる訳にはいかない。
乳首と自身を嬲られるだけでも、何かが弾けてしまいそうなのに。

…つぷッ…ず…ズヌっ…!

「ン、あっ…あアッ…!」
「フフ、一段と元気になった…」

一益の想い虚しく、段蔵の指が一益の内へと入り込む。
段蔵の言う様に一益の自身は、その挿入に対して萎えを見せず。
ビキビキと筋を浮かばせながら一層に上を向こうとする。
これでは全く。
否定したい想いなど無意味で。

ずっ…ちゅ、ずッ、ずちゅッ…

「くっ、う…んっ…!」

挿れられた指は、すぐさま抜き差しを始めてナカを解しだす。
繰り返される律動の度に、一益のナカは段蔵の指を深く咥え。
付け根まで咥え込んだと見るや、段蔵は指を抜かずにぐちぐちと円を描く様にナカを掻き回して。
熟した音が立つを聞いては、指の数を増やしてゆく。

ぐちゅッ、ずっ…ずちゅ…!

「はッ…はァッ、は…っ…」

立ったまま、指とはいえ後孔へ突き入れられる挿入に。
脚もだが、悦がもたらす甘い痺れは特に背を伝い頭から抜けようとして一益の思考を霞めてゆく。
熱い息を交えて喘ぎ続ける中で、ただ望むのは白い花火。
一益の自身が限界を迎えて射精に至ろうとした、時。

…ずるッ…
ヴヴヴヴヴヴ…カチッ…

「…は…っ…何、ッ…」
「止めて欲しいのだろう?…等と、お約束な訳ではないが…」

グイッ…ドサ…ッ…!

「っ、う…」
「フフ…どれ」

責められる三点の何れかでも、あとひと押しされれば果てた筈。
だが段蔵は、その総てを嬲る事を一益が果てる寸前に止め。
ローターの振動は止まり、自身を扱く手は離れ、指は引き抜かれ。
思わず懇願に等しい声を上げた一益へ段蔵は愉しげに囁くと、全身に力の入らぬ様子の身体を引き寄せてベッドに押し倒した。
仰向けで見上げる一益に覆い被さる段蔵は、遊び足りぬ童心。
ずっと足首に留まっていた一益の下着とズボンを外し脱がせ。
ローターの姿が露になるまでシャツを捲り上げると、貼り付けていたテープをペリリと剥がして乳首の有様を窺う。

スリ…スリッ、くに…

「ん、ンっ」
「随分と可愛がられたものだ…」
「…あんたの所為だろうが」
「ククッ、違いない」

露にされた一益の乳首は、ローターで散々に嬲られ続けた事から必要以上にぷっくりと主張し。
段蔵が優しく指の腹で撫でると、硬い芯を持っている。
撫でる指は、徐々にそんな乳首をクリクリと転がし遊び。

…キュッ…キュウ、ッ…!

「ふ…ぅ、んっ…!」

時折、乳輪ごと摘み上げれば。
痛みの中の悦に気付いた身体は過敏に反応を示してしまい。
一益はピクンと身を震わせて。

「…フフ…」
「ちょっ、おいッ…馬鹿…っ!」

…れるっ…れる…れろ…ッ…

一益の反応が好いたらしいものと感じられたのか。
段蔵は一益の胸元に口唇を寄せて吸い付くと、今度は指ではなく舌でもって乳首を転がし始め。
乳輪から大きく舐りながら乳首にはチロチロと細かな刺激。
ちゅ、ちゅっ、と。
胸板へ口唇を振り落とすも交えて段蔵は両の乳首を交互に味わい。
くすぐったい様な…しかし昂ぶりを伴い火照る様な。
言い様の無い切なさに、一益は堪える様に眉を寄せて。
胸元に吸い付く段蔵の背へ腕を回し、確と抱き締めた。

ちゅッ…ちゅうぅっ…
…クチュ…ちゅくっ、にちゅ…

「は、あ。」

抱き締めた事で、なのか。
右の乳首を舐る舌先が瞬間的に止まったかと思うと、段蔵は短い口付けから強く吸い上げる。
一益の切なさに応じる様、お預けさせていた自身へ手を伸ばし。
緩やかに扱いてやれば、一益は天井を仰ぎ喉を晒してうっとりとした官能的な熱い吐息を漏らす。
扱く速度は徐々に早まり…そもそも限界を迎えようとしていた自身は、既に射精前のドクドクと跳ね打つ脈動を段蔵の手に伝え。
一益の吐息も間隔が狭まり。
段蔵の愛撫に身を委ねながら、縋る腕に更なる力を籠め―――

「はッ、あァ…イッ…!」

びゅるっ…びゅくるるるッ…!
…ぼた…ッ…ぱたた…

段蔵の背に爪を喰い込ませて一益は射精に至る。
放たれた白濁の勢いは強く、一益の腹や胸元に飛び散り白い花火が打ち上がったかの如く咲く。
まだ段蔵に握られたままの自身は脈打つが止まらず。
荒い息を幾度も繰り返し、射精の余韻に浸りながら段蔵の背に回していた腕をするりと崩してシーツの上へ投げ出した。

「クク、やはり随分と溜め込んでいた様じゃないか…」
「…悪いかよ」
「悪いなど…フフ」

一益が段蔵の背を離した事から。
段蔵は身体を起こして一益を見下ろし、指に付く精を舐め上げ。
その濃さを冷やかす様に口角を上げて笑むと、自らの服を払う。

「あんたって、酔うと更にタチが悪くなるぜ…全く」
「ククッ、ナニの具合の話ならば酔おうとも問題無いがな」
「…そういう事じゃねえよ」

窓の外で打ち上がり続ける花火の中で裸身を晒す段蔵の自身は。
確かに本人の申告通り酒が入っているとは思えぬ逞しい屹立を見せ付けて、一益からしても少々…目のやり場に困る一物。

「貴様が上になれ…フフ、花火も観え易いだろうからな」
「…あのなあ…」

必要かよ今更その気遣い。
とは、口にしたところで何にもならないので言葉にはせず。
一益はひとつ、溜め息混じりを小さく漏らすと緩慢に身を起こし。
代わりにベットへ背を預けた段蔵の上に跨る姿勢を取る。
一先ず下腹に腰を落ち着かせると、一益の尻には勃ち上がった段蔵の自身が催促する様に当たり。
そんな熱塊へ、一益は後ろ手を伸ばして触れ寄せた。

(…熱い…な…)

逞しい段蔵の自身を捉えると、掌が火傷してしまいそう。
だが決して、手放したい等と思う気持ちは湧き上がらない。
スリスリと愛しげに自身へ指を絡ませて、互いを昂ぶらせると。
一益は頃合い良しと見て自らの腰を浮かせ、解された後孔の入り口と自身の鈴口とを口付けさせて。
腰を落とす先は、段蔵の自身。

…ちゅ、くッ…

「ふ、く…っ…うッ…!」

ぐ…ぷっ…じゅぷ、ぷ…っ…!

意を決して一益は腰を落とし始め、亀頭を受け入れた後はゆっくりと自身を根元まで咥え込む。
体位的には上に乗る一益に主導が有る騎乗位だが。
みっちりと、ナカを支配されて串刺されては主導も何も無く。
咥え込んだ段蔵の自身がピクンと脈打つ度に、しかし一益のナカはキュウキュウと自身を美味しそうに締め付けてしまい。
制御が出来ぬ悦をどうにか抑えるべく、身動き取れずにいると。

…ずッ…ちゅ、ぐっ…!

「う、あァッ…!…あん、たが…動くんじゃねえ、よ…ッ…!」
「貴様に動く気が無いのであれば、仕方が無かろう…クク」
「くそ…ッ…」

一益が上に乗る以上、段蔵から大きな挿入の律動は無いものの。
今の一益には短い抜き挿しでも充分な刺激が伝わる様子。
ずちゅっ、と一段深く埋め込まれた衝撃で頭の中も目の前も真白に染まり、夜である事を忘れた。
小さな花火達が幾発も打ち上がり、夜の方が夜を忘れて輝く最中だったからなのかもしれないが。

…ず…る…じゅ、ぷッ…じゅぷ…

「ンっ…あっ、あァ…っ…は…」

息が整うには、まだまだ程遠い。
だが一益は夜を取り戻すと、再び腰を浮かせて咥え込んだ段蔵の自身を亀頭近くまで引き抜き。
そこから上下に腰を揺らして卑猥な水音を奏で始める。
悦い箇所へと当たる毎に走る性感が、幾らでも欲したくなる甘い毒を秘めて巡れば、既に一益は自ら進んで段蔵の自身を貪り。

キュ…ウッ…ぐちゅ、ぐちッ…
…ずちゅ…

「…こういうの、も…好きか?」
「フフ、そうだな…悪くない」

不意に腰の動きを止めたかと思うと、一益は上下ではなく前後に腰を揺らめかせて自身を咥え舞う。
花火で室内が瞬間的に照らされる中で段蔵に跨り舞うは。
夏の一夜限りの儚い幽美か、下卑たショウのライトアップか。
段蔵がどう見ているのかは分からないが、この場合は後者で振る舞うべきなのだろうなと嬌笑し。
ぐちゅぐちゅと、わざと繋がりの音を甘美に鳴らし上げ。
腹や胸元まで飛び散った、自らの精が淫らに煌めくを見せ付け。
盛る情欲に、ちろり。
一益は段蔵が時折そうする様、舌を覗かせて口唇を舐めると。
段蔵の自身を挿れたまましな垂れ掛かり、口唇を重ね合わせた。

「んっ、ふ…」

すぐさま口を割り開いて段蔵の咥内へ舌を滑り込ませれば、応える様に段蔵の舌が絡み付き。
何時もより熱い気がする咥内は。
琥珀色の滴が持っていた独特の苦味が、まだ残る。
それくらいが心地好い。

ちゅ…ちゅくっ、くちゅ…
…み、ちッ…キュウ…ッ…

(…っ…ふふ…)

まるで段蔵の舌を自身に見立てて口淫の如く愛撫を施せば。
ナカに埋まる一物が大きくなったと一益に伝わって。
可笑しさか、愛しさか。
とにかく一益の内に込み上げた笑みは、何処かくすぐったく。
淫らな行為には似合わないくらいの純真をしていた。

…ちゅ…っ…

「…悪いな、待たせたぜ」
「フン…」

一益が段蔵の咥内から舌を引き抜き、重ねていた口唇との別れは名残惜しむ銀糸が刹那、ふたりの間に渡って玉と変わり落ちる。
"大きくした"事を指して一益が少しばかり悪戯な物言いをすると、段蔵からは短く無関心げな応じだけが返ってきたが。
微かに緩む口元、否定するという事ではないらしい。

…じゅ、ぷッ…じゅぽ、ぢゅぷ…

「はッ…はァ、は…っ…!」

中断していた縦の律動を再開し。
一益は、段蔵の射精欲を高める為に自ら動いて終焉を促す。
悦い箇所を望んで当て続けた一益の自身も一度の射精から勃ち。
ビンビンと跳ね揺らしながら段蔵の自身を喰らい続け―――

…ガシ…ッ…ずちゅ、うッ…!

「か、はぁッ…!」
「クク、たっぶりと味わえ…!」
「あッ…あンっ、あァ…っ…!」

びゅくるっ、びゅるるる…っ…!…ぴゅっ…ぶぴゅ…ッ…
…びゅる…ううっ…る、る…!

一益の律動と自らの吐精欲とを計り、段蔵は落とす腰を掴むと奥を突き上げ律動を停止させると。
白濁を放ち、一益のナカは段蔵の精で溢れ返る。
垂直の重力や量の多さによるものか、一益の後孔からは精が吹き零れてぬらりと鈍く輝いており。
ナカに打ち上げられた欲の熱さは―――きっと、花火よりも。
そんな馬鹿げた事を想いながら。
一益の自身も量は少ないが射精に至り、今度は段蔵の身体へ小さな花火をぱたぱたと咲かせていた。

―――…

「…殆ど観れなかったな…」

想定外だった…とは言わないが、それにしても随分だった。
それが一益の率直な今の感想。
段蔵のベッドで身体を休ませながら、一益は何とはなしに天井の間接照明をぼんやりと見詰めて細く長く息を吐けば。
相変わらず、ひとつだけ灯されている柔らかな光が染みる。
それで主の段蔵は、というと。
嘘か真か分からないが、隣で既に寝付いている様子。
酒量と情交具合からすれば、普通は寝付いて当然と思うが。

「…やれやれ…」

ふと段蔵越しに一益が窓の外を見ると、閉め切りの甘いカーテンの隙から花火の失せた夜が覗き。
高層の窓の外は、臨むものが何も何も目に付かぬ闇夜。
じっと見詰めては…吸い込まれてしまうのではないかと想う。
だから、ではないのだが。
一益はそうっと、段蔵の腕に抱き付いて顔を寄せ埋め。


これで―――大丈夫。


「…来週も…少し離れた市で花火大会があるぜ、付き合えよ…」

届いても届かなくてもどちらでも良いと、ただの独り言を零し。
一益も双眸を閉じれば、やがて安らかな寝息だけが室内に残る。
腕に縋られたままの段蔵は何も応えず―――と、見えたが。
花火が咲けば気付けただろう、夜に気付かれる事無く。
だが、段蔵の口角は静かに上げられていた様な気がした。

■終幕■

◆5月28日も花火の日だそうですが…季節感的には8月1日の方が一層、花火の日らしいかなと。
そんな夏休み中の教師ズ段益。
とか言って、花火の日には間に合いませんでしたがorz
そして現パロ教師設定で書く3本目ですが益々、教師設定の意味が無くなっている気がします(滅)
えっち内容は最近あまり書いていなかった騎乗位を、うへへ。
しかし騎乗位はエロさを出すのが難しい…動かし難いというか。
それ以前の問題として騎乗位に至るまでが相変わらず長い件。
いや、こんな…筈では…
乳首を弄ったーの結果を取り入れた辺りから、ついつい。

段蔵が一益の慎ましやかな乳首をローターでいたぶると、「ふぁ、あ…きもち、い…っ…」と言って涙目で此方を見つめてきます。
一益の弄ばれ続けた乳首を執拗に舌で舐め回すと、「ぅあっ…馬鹿、やめ…んんッ」と言って切なく眉を寄せます。
http://shindanmaker.com/245067

以前は然程でしたが開眼すると乳首責めも良い、という結論。
花火はどうした(苦笑)

2012/08/15 了
clap!

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